【ITパスポート】損益分岐点売上高の公式の導き方【簿記】

私がITパスポートの学習をしていて、すぐに理解ができなかったことのひとつが、損益分岐点を求める公式です。

テキストを見ると、次のように書いてあります。

損益分岐点売上高 = 固定費 ÷ (1-変動費率)

公式を読み下すと、損益分岐点売上高は、固定費を「1 – 変動費率」で割ったもの

そう言われても、なんだそりゃ?という感じですよね。

「なぜそうなるのか」という点が、テキストにはあまりきちんとかかれていませんでした。

このくらいは暗記しろ、ということかもしれませんが、私は暗記するのが苦手ですし、そもそもこの手の公式は暗記ではなく理解で対応するべきだと思っています。

あるいは、直接理解できなくても、理解できる内容から自然に導けるようになっておくべきかなと思います。

ですので、今回は上記の損益分岐点の公式がどのように導かれるのか、順を追って考えてみました。

その流れをまとめておきます!

損益分岐点については、簿記の学習でも出てきます。この記事の内容は、簿記の勉強をしている方にとっても、参考になると思います。
以下の内容を理解するには、最低限、高校のごく簡単な1次方程式の知識は必要です。
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前提事項の確認

損益分岐点売上高の話に入る前に、いくつか前提となる用語の確認です。

売上とは?

そもそも売上とは何でしょうか?

売上というのは、モノを売って手に入ったお金のことですよね。

もうちょっと商売人っぽい考え方をすると、売上から費用を引いて残ったものが利益なので、次の式が成り立ちます。

売上 – 費用 = 利益

上の式で両辺に「費用」を足すと、次の式が成り立ちます。

売上 = 費用 + 利益

なので、売上は、費用と利益の和であるとみることもできるわけです。

図にすると、こんな感じです。

念のため具体例も考えてみます。たとえば、たくさんモノを売って、100万円が手に入ったとします。

このとき、売上は100万円です。

100万円分のモノを売るために、テナントを借りる費用(つまり賃貸料)として20万円、モノを仕入れる費用として20万円かかったとします。

費用は合計で40万円です。

そうすると、残りが利益で、60万円ですよね。

このことを式で表すと、次のようになります。

売上100万円 = 費用40万円 + 利益60万円

ここまで、かなり単純な話だと思います。

固定費・変動費とは?

ところで、費用を「固定費」と「変動費」に分ける考え方があります。

「固定費」というのは、たとえモノが1個も売れなくても、毎日・毎月、一定の額がかかるような費用のことです。上の例で言うと、テナントの賃貸料がそれにあたります。

「変動費」というのは、モノを売れば売れるほど、増えていくような費用のことです。上の例で言うと、仕入費用がそれにあたります。

先に、売上というのは次の式で表せると書きました。

売上 = 費用 + 利益

ここで、「費用」の部分を詳しく書くと、次のようになります。

売上 = 固定費 + 変動費 + 利益

図にすると、次のような感じ。

単に「費用」を「固定費 + 変動費」に置き換えただけなので、簡単な話ですよね。

損益分岐点とは?

「売上」が分かったところで、その特殊バージョンである「損益分岐点売上高」について考えていきます。

損益分岐点売上高というのは、ひとことで言うと、「利益がゼロの時の売上」のことです。

もう少し詳しく説明します。

大抵のモノは、1個とか2個売れただけでは、固定費や変動費のほうが多くかかるため、利益が出ません。

それどころか、損が出ている状態になります。言い換えると、利益がマイナスの状態です。

でも、頑張って売って売って、100個、200個と売れると、ようやく少し利益が出てくる(利益がプラスに変わる)という状態になってきます。

ここで、利益がちょうどマイナスとプラスの間、つまりゼロになるようなときの売上が、損益分岐点売上高です。

たとえば、モノを売って30万円手に入ったが、固定費が20万円、変動費が10万円で、利益はちょうどゼロだった、というときの売上30万円が、損益分岐点売上高です。

式で書くとこのようになります。

損益分岐点売上高30万円 = 固定費20万円 + 変動費10万円 + 利益0円

もっと一般化して書くとこのようになります。

損益分岐点売上高 = 固定費 + 変動費

ここまでが損益分岐点売上高の基本なのですが、特に難しい話ではなかったと思います。

以上で前提事項の確認は終わりです。

固定費を求める(その1)

ここで少し視点を変えて、「損益分岐点売上高のときの固定費を求める方法」について考えてみます。次の問を例にしましょう。

「あるモノを売って100万円手に入りました。このとき、利益はちょうどゼロでした。そして、固定費は、売上全体の20%でした。固定費はいくらでしょうか?」

おそらく、多くの人が一瞬で計算できると思うのですが、固定費は20万円です。

皆さんの頭の中で行われた計算を書きだすと、次のようになります。

損益分岐点売上高100万円 × 固定費の割合0.2 = 固定費20万円

もっと一般化して書くと、次のようになります。

損益分岐点売上高 × 固定費の割合 = 固定費 ・・・(1)

損益分岐点売上高に対して、固定費の割合をかけると、固定費が求められますよ、ということです。

当たり前の式なので、どうということはないと思います。

固定費を求める(その2)

もう少し、固定費を求める方法について考えてみます。次の問です。

「今、あるモノを売って100万円手に入りました。このとき、利益はちょうどゼロでした。固定費の割合は分からないのですが、変動費の割合は、80%でした。固定費はいくらでしょうか?」

この問に対して固定費を計算する方法はいくつかありますが、先に出した(1)の「固定費を求める式」をもとにして考えてみます。

損益分岐点売上高 × 固定費の割合 = 固定費 ・・・(1)

上記の式で固定費を求めるためには、「固定費の割合」が分かっている必要があります。

今回、問題文で「固定費の割合」は不明ですが、変動費が80%ということなので、1 – 0.8 = 0.2 という具合に固定費の割合を求めることができます。

つまり、上記の式は次のように変形できます。

損益分岐点売上高 × (1 – 変動費の割合) = 固定費 ・・・(2)

実際にこの式を使って計算すると、次のように固定費が求められます。

損益分岐点売上高 × (1 – 変動費の割合0.8) = 固定費20万円

ここまで、特に問題無いかと思います。

損益分岐点売上高を求める式

以上をまとめると、損益分岐点売上高のときの固定費は、次の式で計算できます。

損益分岐点売上高 × 固定費の割合 = 固定費 ・・・(1)

また、上記の(1)は次のように変形することもできます。

損益分岐点売上高 × (1 – 変動費の割合) = 固定費 ・・・(2)

この(2)の式まではお分かりいただけたと思います。

では、(2)を変形して、左辺に損益分岐点売上高だけが残るようにしてみます。

つまり、1次方程式を解くときによくやるように、上記の両辺を (1 – 変動費の割合) で割るのです。すると次のようになります。

損益分岐点売上高 = 固定費 ÷ (1-変動費の割合) ・・・(3)

この(3)はおわかりいただけたでしょうか。

実は、この(3)は、最初に求めたかった式と同じです。

損益分岐点売上高 = 固定費 ÷ (1-変動費率) ・・・最初に求めたかった式

(「変動費の割合」というのと「変動費率」というのは同じ意味です。)

いつの間にか、損益分岐点を求める式ができてしまいました!

おさえておくべき点

以上の事から、(1)の式、つまり「損益分岐点売上高のときの固定費の求め方」だけをおさえておけば、いつでも、損益分岐点売上高の公式は導くことができます。

損益分岐点売上高 × 固定費の割合 = 固定費 ・・・(1)

すごく当たり前すぎる式で、暗記するまでもないですが、これを頭に置いておきます。

そうすると、この式以降は「固定費の割合」を「(1 – 変動費の割合)」に置き換え、さらに両辺を「(1 – 変動費の割合)」で割れば、損益分岐点売上高の公式ができあがるわけです。

以上、損益分岐点売上高の公式の導き方でした!

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