『マンガでやさしくわかるゲーム理論』を読んだら、ゲーム理論がなぜ重要なのかスッキリ理解できた。

私は経済学の素養はまったく無い。だが、ゲーム理論といえばなんだか格好良い響きである。なので長らく関心だけは持っていた。でも、これまで勉強したことはなかった。

今回も勉強というほどではないが、そろそろ雰囲気だけでも知っておきたいなと思い、ふと見かけた『マンガでやさしく分かるゲーム理論』を読んでみた。

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『マンガでやさしく分かるゲーム理論』の概要

本書は「マンガで分かる」系のゲーム理論入門書である。マンガの主人公は都会で働くサラリーマン。だが、ある事情で突然実家に帰ることになる。その実家は、田舎の温泉街で温泉宿を開いている。

一時は炭鉱都市として栄えた街だったので、客も多く温泉宿も賑わっていた。しかし、最近は街がすっかりさびれてしまい、温泉宿に足を運ぶ人も少なくなって経営が傾きつつある。

主人公は当初、その温泉宿を立て直そうという気はあまり無かった。しかし、突然現れた「ゲーム理論に精通した謎の女性アドバイザー」の助言を得ることで、少しずつ宿と街の魅力を高め、観光客を呼び戻していく・・・というストーリー。

ゲーム理論はなぜ重要か?

著者によれば、ゲーム理論は MBA スクールなどでも標準的な科目なんだそうだ。つまり、世の中のエリートな経営層の人たちに必ず求められる重要な素養として「ゲーム理論」が存在している、ということ。でも、なぜこの理論がそんなにもてはやされるのか?

本書を読んで得られたヒントは、ゲーム理論を知っていれば「俯瞰する」ことが得意になれるということである。そして、現実社会の様々な問題や、ビジネス上のプロジェクトを進める上でぶつかる新しい問題を解決するのに、この「俯瞰する」力が役に立つ。

たとえば、本書に出てきている例で考えてみよう。東京の人は、エスカレーターに乗るとなんとなく左側に立つが、実は世界の主要都市では逆に右に立つんだそうだ(これ自体は特に社会問題化しているわけではないが、何も知らない外国の人が東京に来てちょっと戸惑う、という程度の問題はあるかもしれない)。他方、私たちはワープロソフトで文書を作成するが、その際は一太郎ではなく Microsoft Word を利用する。

全く異なるように見える2つの事象だが、ゲーム理論を通してみると、この2つには共通の構造があることが分かる。ゲーム理論はその共通の構造を「コーディネーション・ゲーム」と呼ぶ。

コーディネーション・ゲームに属する問題の場合、一度状況が「安定状態」に達すると、容易にはその状況を変えられないという性質がある。具体的に言うと、東京の人々がいったんエスカレーターの左に立つようになったら、それをある人が右に変えたいと思ってもなかなか現状変更はできない。一太郎・Word の問題も然り。

でも、変える方法が全くないわけではなく、コーディネーション・ゲームの安定状態を変えるにはこうすればよい、という共通解が存在する(このことも本書では触れられている)。その解に沿って現状変更の方法を考えれば、安定状態を何とか変更できる可能性が高まる。

もっと分かりやすく言うと、たとえばあなたが新しいワープロソフト製品を開発したとしよう。そして MS Word 一色の現状を変えたいと思ったとする。もしゲーム理論を知らなければ、あなたは自分の経験に基づいた主観的な販促活動を行う以外に採れる方法が無いだろう。

でも、もしゲーム理論を知っていれば、今回の課題がコーディネーション・ゲームの問題であることを見抜き、現状変更の方法を効率良く検討することができるのである。

さらに考えてみると、たとえば会社の経営陣が10人いたとして、10人全員がゲーム理論を知っているのと、10人中1人しかゲーム理論を知らないのとでは、会社が直面する問題の解決のスピードが全く違うことになるだろう。

言うまでもなく、前者の経営陣は問題を俯瞰することでその構造を瞬時に見抜き、恐ろしく早く結論を出し、解決に向けて前進できるはずである。

MBA を取らんとする人々にゲーム理論の素養が求められる理由がそこにある。客観的に、かつスピーディに問題を解決する土台として、ゲーム理論の実用性は高い。

おわりに

ゲーム理論について何も知らなかった私だが、本書ではマンガ形式で噛み砕いた形でゲーム理論が解説されているので、上のような考察を巡らせてみることができた。

仕事や事業で行き詰まりを感じている方は、本書を一読すれば何かしらの突破口がきっと見つかることと思う。そうでない人でも、ゲーム理論に興味があれば、その知的好奇心を満たしてくれる一冊になるはずである。

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