未来工業・山田昭男氏の経営手法と哲学が分かる本

山田昭男氏

久々に心が震える本を読んだ。

以前の記事で触れた「社員が幸せを感じる企業」、未来工業。東洋経済オンラインによれば、その創業者である山田昭男氏は、「管理職には管理させない」という無茶なポリシーを徹底しているということで、私はこの人に興味をひかれた。

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そこで読んでみたのがこの『稼ぎたければ、働くな。』だ。

一言で言うと、すごい。このじいさんはぶっ飛んでいる。日本のほとんどの会社は儲かっていない、そんな儲からない会社と同じことをしていてもダメだから、とにかく反対のことをする!ということで、常識では考えられない手法で経営を推し進めた。

その結果、未来工業は儲かる会社になった。そんな山田氏の経営手法・哲学をまとめたものが本書『稼ぎたければ、働くな』である。以下、本書で私が特に気になった点を記してご紹介しようと思う。

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常識外れ!未来工業田中昭男氏の驚きの経営哲学

会社はセキュリティをかけない

未来工業ではセキュリティをかけていないという。理由は単純明白、盗られるものがないし、セキュリティ会社と契約すればすごくお金がかかるから。

いくらなんでも、会社にセキュリティをかけないなんて… 私のような凡人が聞いたら「は?」と言いたくなるような話だが、山田氏は「戸締りをせよ。鍵をかけよ」というような超基本の基本から疑ってかかり、ムダと判断すれば実施しない決断をする。

もうこれだけで、如何にこのじいさんがぶっ飛んでいるかが分かる。

ホウレンソウは禁止

未来工業では報告・連絡・相談は禁止である。理由は、上司の指示や判断をいちいちあおぐことを義務付ければ、自分で考えて行動することをしなくなるから。

これは本当によく分かる。私も社会に出て数年が経ったが、会社というものはとにかく報告・連絡・相談を求めてくる。それをしないとものすごく叱られたり責任を問われたりするので、私はとにかくなんでも報告・連絡・相談をするようになった。

ところが、ホウレンソウをすることで私の作業時間はどんどん奪われているし、何らかの理由でホウレンソウができないときは仕事自体が後回しになってしまう。このために、経営全体から見れば非効率が生まれていると私は思う。また、私は自分で判断することはすっかり辞めてしまい、上司の意見と判断に従って、それをただ実行することに徹するようになった。仕事は、他人が望む作業をするだけのつまらないものと化した。

ホウレンソウは非効率を生むし、判断力・意欲の低下を作り出す。それを理解している山田氏は次のように語る。

現場のことは現場がいちばんよく知っている。上がいちいちホウレンソウを求めなくても、任せておけばいい。そうすれば社員たちは自分で考えて、自然といちばん良い方法をとるようになる。一人ひとりが自立した社員として機能するので、社長は楽ができる。いいことづくめではないか。

リスク回避で何もしないより、やってみて失敗しろ

未来工業ではかつて、武山という社員がビデオテープの自動貸出機を開発・販売したが、結果的には失敗し、何億もの損失を出してしまった。武山氏はどうなったか?

ふつうなら武山はクビだろう。でも、未来工業ではそれはしない。何もしなかった奴より、百%失敗した人間のほうが偉大だからだ。

この後、武山氏は他の失敗も重ねつつも経営のノウハウをどんどん身に着け、最後は社長にまでなってしまう。

億単位の失敗を引き起こしたとしても、何もしないよりはマシ。失敗した分、学ぶものがたくさんある。だからリスク回避というマイナス思考をしていないで、色々なことにチャレンジしてどんどん失敗しろ、というのが山田氏の指導スタイルである。

こんな度量の大きい指導者のもとでなら、社員は当たって砕けろで色々な提案や企画を実行に移せることだろう。それができることが、この会社の成長を支えているのだと思う。

残業は禁止、でも給料は余計に払う

未来工業では、あるときから残業が禁止された。一方で、給料は一時間~二時間分くらい上乗せして支払うことにした。そうしたら社員たちは喜んで、一生懸命働くようになり、むしろ会社の業績は良くなったという。

世の中には、残業はさせてさせて、させてさせてさせて、でも残業代は全く支払わない、という会社がゴマンとある。でもそれらの会社は儲かっていない。

儲からない理屈は簡単で、残業させたり残業代を払わなかったりしたら、社員たちの働きたい・頑張りたいという気持ちがそがれるのである。だから会社は儲かっていかない。当たり前すぎる話だ。

山田氏はその真逆の理屈をいくから儲かる。残業はさせない、でも給料は多く払うということをすれば、社員たちは「こんなに会社は良くしてくれる」と恩義を感じるので、とても良く働くようになる。自然と会社の経営は上向き、利益が上がるようになる。本当に簡単な理屈なのに、多くの経営者が実行できていないのは不思議なことだと思う。

営業にノルマを課さない

未来工業では営業の社員にノルマを課さない。ノルマを課せば、社員たちは目先の売上のことばかり考えるので、長期的に見れば会社が儲かるようにはならない。

短期的な成績を求めるのではなく、「ノルマは無いから、商品を使うユーザーのところに行って話を聞いてこい」と伝える。それが営業社員の仕事であると分かってもらう。実際に社員がユーザーの不満や要望を吸い上げてくると、そこから商品開発のヒントや既存の商品の改善点が生まれてくる。

ここで私自身を振り返ると、最初についた仕事は営業職だった。そこでは「数字を上げろ。ノルマ必達」ということばかりが連呼され、「お客さんの話を聴け。そこからアイデアを持って来い」と言われたことは一度も無い。そこにしか、ビジネスの種や新しい差別化につながるヒントは無いはずなのに。

基本的に、山田氏は社員を深く信頼していると感じる。信頼して任せておけば、きっと良いものが返ってくると考えている。他方、私が今までいた会社では、社長や上司が社員を信じていると感じたことは一度も無かった。常にサボるのではないかと疑われているし、考えることは仕事じゃないから言われたことをやれというような指導をされてきた。山田氏はそのような体制からは対極のところに立って物事を見ている。

社員が喜ぶことをする

未来工業では社員が三人集まってサークルを名乗れば、どんなサークルでも年間十二万円の補助が出る。

5年に一度の慰安旅行の費用1億5,000万円は100%会社持ち。

休日は年間140日。

何か新しいアイデアを出せば、どんな小さいアイデアでも1つあたり500円を支給する。

社員のやる気を百%引き出すのが社長の仕事だ。

ちゃんとアメをばらまけば、社員は応えてやる気を出してくれる。

プライベートも含めて、どうしたら充実した人生を送ることができるのか。そこまで考えてやる気を引き出してやるのが上に立つ者の義務だ。それができる経営者だけが、稼ぐ社員と儲かる会社を育てられるのだ。

とにかく社員を喜ばせる。そうすれば社員が頑張って、成果・成長が返ってくる。だから社員を喜ばせるためにお金を出すのは安い投資だ。これが山田氏の信念なのだろう。

おわりに

稼ぎたければ働くな

ここに挙げただけでも、山田氏がいかに普通の経営者と違うのかが分かってもらえたと思う。常識と言われていることは徹底的に疑ってかかる。そしてとにかく社員を信頼し喜ばせ、そうすることで懸命に働いてもらい、会社の成長につなげていく。

さて私としては、この山田氏の考えをどうにかブログで応用できないかと考えている。ブログはこうだ、●●するなんて有り得ない、と言われているものを疑ってかかり、何か差別化ができないだろうか?

すぐには思いつかないが、考えていこう。それができればこのブログを書く私も、読んでくれる誰かも、もっと楽しく思えるに違い無い。今回は本書『稼ぎたければ、働くな。』にとても心を動かされた。これから私が何か物事を考えていくときは、山田氏になったつもりで考えてみたいと思う。

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