漫画『刻刻』第1巻レビュー!静止した世界に侵入した樹里の運命は?

超人気漫画『刻刻』を読んでみることにしました。

ホリエモンこと堀江貴文氏の著書『マンガを1000冊読んで考えた』で紹介されていたのがきっかけです。

ホリエモンは「背筋がゾクッとする、忘れられないマンガ」だと評しており、ずっと気になっていました。

この記事では、第1巻のあらすじを紹介しつつ、感想や気になった点をを書いていきたいと思います!

(ネタバレは最小限!)

スポンサーリンク

『刻刻』第1巻のあらすじ

物語は、日本のどこかにあるあまり裕福でない一家「佑河家」(ゆかわけ)で始まります。

主人公樹里は、28歳の女性です。失業中ですが、就職活動をしています。

もう1人の主人公は、どこにでもいそうな頑固そうなおじいちゃん。樹里の祖父です。

この日樹里はスーツを着て面接を受け、帰ってきたところ。もう日も暮れるかという時刻に、とんでもない事件が起こります。

自宅に身代金要求の電話がかかってくるのです。

(電話を受けているのは樹里の父、貴文)

少し前に、樹里の兄(翼)が幼稚園に向かって行きました。樹里の甥っ子(真)のお迎えのためです。その帰り道、彼ら2人は誘拐されてしまっていたのでした。

犯人たちは、人質と身代金の交換は約30分後だと指定してきます。警察に届け出て相談する間もありません。

気が動転した樹里と樹里の父親は、時間が無い中で小競り合いを始めてしまいます。

するとおじいちゃんが一喝。「二人とも来い!」「石に手を置け」

「努力」と書かれた飾り物の石を持ち出し、何やらまじないごとを始めるおじいちゃん。そんな時間の余裕は無いはずなのに、「1分だけ。説明は後」と言います。

おじいちゃんがまじない(これは後に「止界術」と呼ばれます)を済ませると、突然周囲が暗くなり・・・

光るクラゲのような物体が3体。

光るクラゲに憑依された3人。家の外に出てみると、辺りは一見何も変わっていないようです。しかし、人も虫も時計も、微動だにしていないことに気が付きます。時間が停まった世界「止界」に、彼らは入り込んだのです。

時が止まった世界なら、誘拐犯から人質を取り戻すことなど簡単です。犯人たちのところへおもむき、静止した犯人たちの前で、堂々と人質を連れて帰れば良い。それがおじいちゃんの作戦でした。

樹里とおじいちゃん、そして樹里の父は、犯人が身代金受け渡しの場所として指定した建物に向かいます。

部屋の中で、人質となっていた二人を運び出そうとしたその時・・・

!?

他に動く者がいないはずの静止した世界「止界」。それなのに、外に何人ものガラの悪そうな男たちが現れました。彼らは止界の住人であるかのごとく動き回っています。あまりにも唐突な展開。一体彼らの正体は?

男たちは樹里たちを襲います。樹里たちも応戦しますが、相手は何人もの成人男性。とてもかないません。

そうこうしていると、またしても不可解な事態が起こります。庭に謎の巨大生物(?)が突然現れたのです。

魔物にも、怪物にも、あるいは妖怪にも見えるこの物体は何なのか。

そして樹里たち佑河一家は、この難事を切り抜けることができるのか。

『刻刻』第1巻の見どころと感想

第1巻の見どころと感想をお伝えします。

(ネタバレ的な要素もありますので、注意!)

謎が謎を呼ぶ展開

第1巻はやはり導入編という感じで、謎や伏線がちりばめられています。読み進める中で「これはどういう意味?」「どういうことだろう??」と思うことが多々あるため、感情移入するのがちょっと難しいくらい。感情が入っていく前に、ひっかかってしまうんですね。

たとえば上では省略していましたが、第1巻の冒頭は2人の男女が「半径5メートルの止界」について話す場面で始まります。

(樹里たちが入って行った「止界」は、距離の制限なくどこまでも時が止まった世界が広がっているようでしたが、半径5メートルだけを止界にできる場合がある?)

そしてすぐに主人公樹里が見ている「飼い犬アンドレとのお別れの夢」の描写がはじまります。

この夢は、樹里がうたた寝をしているときに見ている夢ですが、過去に実際に起こった出来事が大いに混じっているようです。

これらのプロローグは、物語本編とどう関係していくのか。

また、おじいちゃんが所有していた「止界」へ入るための石。なぜおじいちゃんがそんな石を持っているのか? というか、そもそも「止界」とは何なのか?

誘拐犯やその後に続いて現れた男たちについても謎が深まります。彼らは身代金目当てではなく、「石をおじいちゃんに使わせるために」事件を起こしたフシがあります。一体なぜそんなことをする必要があったのか。

突如姿を現した謎の巨大生物は、敵か味方か。ヒトを奇怪な形に仕上げたようにも見えますが、そもそもどんな存在なのか。おじいちゃんは、何かしら知っているようですが・・・

もちろん、伏線の回収も少しずつ行われていきます。たとえば、冒頭の2人の男女は、第1巻の後半で分かるように誘拐事件の黒幕です。

男性のほうは宗教団体「実愛会」の総主佐河。女性のほうはその相談役間島。この2人は1巻以降も物語のキーパーソンとなっていくと思われますが、果たして彼らの行動の動機とは。

仕掛けられる謎、謎、謎。

謎が形作る世界観を読み込んでいくのが、第1巻の醍醐味です。

主人公は「若い女性」と「おじいちゃん」

私も読み始めるまで全く知らなかったのですが、主人公は樹里という女性と、そのおじいちゃんなんですね。

バトルやミステリーを含んでいる作品であり、何となく主人公は男性なのだろうと想像していたのですが、実際には女性と、お年寄りが主人公なのです。

女性と老人は、社会的にも生物学的にも弱者とみなされます。弱い者である2人が、誘拐事件をどう乗り越えるのか。静止した世界に現れた謎の集団とどう戦うのか。力の弱い者が見せる強さに、ドキドキハラハラさせられます。

主人公樹里は、芯が強く度胸が据わっている人物です。

今回「止界」に初侵入した際には、様々な思いが駆け巡って泣いてしまうシーンがありますが、

それ以外のシーンでは勇猛果敢とも言える行動を多く見せます。悪党を一撃!

いっぽうのおじいちゃんはカタブツ、頑固、ちょっとコワモテ。融通がきかないところがあるいかにもな「おじいちゃん」です。

老人なので、当然腕力はありません。しかし、彼は血筋に由来する特別な能力を備えています。それは「瞬間移動」。手で捕まえた樹里といっしょに、一瞬にして犯人たちから遠ざかることができるのです。

といっても、どこまでも遠いところに行けるわけではなく、1回の瞬間移動で飛べるのはせいぜい5~10メートル。しかも、おじいちゃん自身うまく制御できていないため、毎回着地に失敗しています。

なんだ、出来損ないの能力じゃん、、、と思ってしまいますが、その真価は続巻で試されていくことでしょう。

間島の笑顔が可愛い

1巻の後半で出てくるシーン。

佐川一味の一人の男の行動に、女性相談役の間島が思わず吹き出します。

なんか・・・可愛いんですが?

この人物は悪の組織の一員なのに、可愛くて良いのか?

でも可愛いは正義ですよね。だから許す。

おわりに:固有名詞に見る言葉あそび

物語の本筋からはズレますが、『刻刻』にはちょっとした言葉遊びも散りばめられています。

ひとつは、止界の「管理人」。例の巨大生物のことを、おじいちゃんはこのように呼んでいます。止界の秩序を守り管理するという意味合いのようです。

しかし誘拐事件の黒幕佐河によれば、「管理人」という呼び名は佑河家独特のもの。本来は「神ノ離忍(カヌリニ)」が正式名称のようです。

佑河家では「神ノ離忍(カヌリニ)」を「管理人(カンリニン)」と言っている、と佐河が間島に伝えて、間島が「テキトーですね」と返すシーンなんてのがありますが・・・

いや、これ絶対「カンリニン」が先にあって、そこから「カヌリニ」を考えたでしょ作者www テキトーはどっちなのかwww

もうひとつは、登場人物の姓に関わるものです。繰り返していますが、主人公たち一家は「佑河家」で、物語の黒幕は「佐河」なんですね。

「佑河」と「佐河」。漢字をよくよく見てみると、、、ほぼ同じ。「右」と「左」の違いしかありません。

これはつまり、1本の河(作中でもよく例えられているように「時間の流れ」を意味するもの)を挟んで、その右側と左側で対峙する2組、という意味合いでつけられた名前だと思われます。ここは結構ヒネりがありますね!

さらに気になるのは、佐河の相談役として登場した女性「間島」です。この命名から察するに、彼女は「河の間に浮かんでいる島」のような存在なんじゃないかなと。

第1巻では河の「左側」、つまり佐河についているように見えますが、実際はそうじゃない、ということを暗示していそうです。実際どうなのかは、先を読まなければ分かりませんが・・・

ということで、1冊読み込むだけでも世界観に圧倒されそうな『刻刻』第1巻のレビューでした!