アメリカの「貧困」という問題。格差をもたらす社会の構造について知りたければ『コミック 貧困大国アメリカ』を一読したい

『コミック 貧困大国アメリカ』という本を読みました。

本書は、堤未果氏の著作『ルポ 貧困大国アメリカ』を読みやすくマンガにした本です。内容としては、2000年~2010年頃までのアメリカの「貧困」に関わる社会問題を取り上げています。

アメリカって、私のイメージではなんとなく「自由の国アメリカ」「経済大国アメリカ」という良いイメージです。何となく、暮らしやすい良い国なのではないか、そんな風に思っていました。

でも、実は非常に深刻な問題を抱えているんですね。低所得者層には圧倒的に不利で暮らしにくい国のようです。本書を読んで、認識がかなり改まりました。

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公的医療保険の不十分さ

本書を読んで一番際立っていると思ったのがこの話。アメリカの医療制度は日本よりもずっと市場原理・自由主義が重んじられていて、日本のような公的な医療保険制度が十分にはありません。したがって、人々は民間の保険制度に加入することが多いそうです。

そこまでは何となく私も知っていましたが、その実情というのは知りませんでした。

実は、保険料は庶民にとっては非常に大きな負担となるほど高額。しかも、実際に病気や怪我をして診療を受けたいと思ったときに、最寄の病院に駆け込むということすらできません。というのも、保険会社が許可した病院に行かなければ保険金が降りることが無いからです。また、保険会社はあれこれと難癖をつけて保険料の支払いを断ろうとするんだとか。

アメリカの医療費ばバカ高いので、何かの事情で保険会社の認める病院に行けなかったり、保険金の支払いを拒否されたりすれば、たちまち高額の医療費負担で破産に追い込まれてしまいます。それがイヤなら、病気・ケガは放置せざるを得ない。

こんなこと、公的な健康保険が普及している日本ではなかなか起こらないことですが、アメリカでは珍しいことでもない様子。実際、自己破産の理由で最も多いのが医療費負担なのだそうです。

あまりにもひどい。

何にでも自由競争や民営化を持ち込めば良いというものではないなぁと思い知らされました。

アメリカは変わったのか?

医療に関する根深い問題を抱えていたアメリカですが、庶民に積もり積もった不満を背景に、国民皆保険を掲げたオバマ大統領が当選しました。本書が世に出たのはちょうどそのころなので、その後のオバマ大統領の政策によりアメリカがどのように変化していったのかは、本書には書かれていません。

なので情報を得たいのですが、同じ著者の2014年の本『沈みゆく大国アメリカ』を読むのがよさそうですね。

しかし、目次や「主な内容」を見る限り、結局アメリカの問題は解決されないまま現在に至っているように思えます。

世界一の経済大国の実態がこれか、、、残念ですが、全然暮らしやすい国ではなさそうですね。

日本は日本で色々な問題を抱えていると思いますが、これなら日本のほうがずっとマシ。

その他のアメリカの問題

本書では他にも次のような問題が取り上げられています。

  • サブプライムローン
  • 貧困による肥満
  • 追い込まれる医師たち
  • 貧困をダシにした徴兵

根源は、究極的には一つという感じがします。どの問題も共通して、「抑制のきいていない市場原理」が悪い事態を引き起こし、それをどんどん悪化させているようです。

私はどちらかといえば市場は自由であるべきだと思っており、「小さな政府」であるほうが良いと考えるほうなのですが、医療など人の健康と生命に関わる分野においては、国の積極的な介入があるほうが良さそうですね。

アメリカの犯した誤りはきちんと私たちの共通認識にしていって、日本で同じことが起こらないようにしたいものです。貧困や格差、それらをもたらす社会構造に関心のある方は、ちょっと古くはありますが、分かりやすい題材として一読してみてはいかがでしょうか。

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