『こころを病んで精神科病院に入院していました。』を読んで、全速力で生きなくて良いんだって思えてきた。

image credit: Takayuki Ando

思えばこの10年間、自分のやりたいことは何なのか?ということを追い求めていたように思います。

ある研究がしたくなり、大学院へ進学しました。途中、少し方向性を変えるために別の大学院へ入り直したりもしました。

その後は、不動産業に関心が向いて不動産会社で勤めました。2社を渡り歩きましたが、色々あって今はIT業界にいます。

これがやりたい!と思ったら、とにかく全力疾走。それが自分の生き方で、そこに価値があると感じてきました。

でも今回、安藤たかゆきさんの『こころを病んで精神科病院に入院していました。』を読んで、

そういう価値観で本当に良いのか、立ち止まって考えたほうが良いなぁと、思い始めています。

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『精神科病院に入院していました。』あらすじ

作者の安藤氏は、日々の色々な辛いことが重なり、統合失調症を発症してしまいます。そして自傷行為をするようになったため、精神科病院に数か月入院することが決まりました。本書は作者の入院体験にもとづき、病院内の様子や医師・看護師・他の患者との出会いを綴ったコミックエッセイです。

作者は、とにかく刺激を絶つようにと担当医から指示されます。なので、毎日やることといえば、院内を歩き回って少しの運動をすること、後は折り紙を折ることくらい。

音楽を聴いたり、テレビを見ることは禁止です。治療のために、薬を飲んで、長い時間をベッドの上で横になって過ごします。

閉ざされた病院の中なので、人間関係は限定的なものになってしまいますが、それでも出会う人々とは温かいやり取りが交わされます。

そうやって時間をかけて、心を休ませ、回復に近づいていったというストーリーです。

減速人生にシフトしよう

私が本書を手に取った動機は、正直に言えばゲスい好奇心です。

精神病院とはどんな場所で、どんなモノが置いてあるのか? やはり変わった雰囲気の人が入院しているのだろうか、鉄格子の小部屋に丸見えのトイレがあったりするのか等、心の病を負った人やそういう人が保護される施設に関心があり、読むことに決めました。

本書を読むと、そういった興味ももちろん満たされるのですが、それ以上に、私にとって一番刺さったのは、本編を一通り読み終わった後で触れた、作者の「あとがき」でした。

入院する前、私は常に全力で走りだしては休まず突っ切っていくような生活でした。世の先人たちの教えも「人生は短距離走だ。(中略)」と教える人が多く、それを信じておりました。しかし私の場合、それだと心がもたなかったようです

そして病院から退院してからは心構えが一変しました。

「明日できることを今日するな」という言葉があります。

私はこの言葉が大好きになりました。

一見怠けに聞こえる言葉が一番合理的かつ持続的で、「人生はマラソンだよ。自分のペースで走ってね」と教えてくれるようで、今はこの言葉を信じて生活しています。

確かに。

たとえば書店の自己啓発書コーナーに行って本を眺めてみます。「人生は短いのだからあれをすべきだ」「今すぐやらなければならない」「何もしないのは悪だ、行動力が無い証拠だ」等々。何だか責め立てられるかのようです。

そういう「いつやるの?今でしょ!」的な雰囲気は、今まさに奮い立っている心をさらに奮い立たせんとする人には良いかもしれません。でも、この本の作者がそうだったように、人によってはあまり合わないこともあるんですよね。

いや、もしかするとほとんどの人には合っていないのかもしれない。だから、多くの人が途中で「やっぱやめた」ってなってしまうんだけど、時々、生真面目な人が猪突猛進に突き進んで燃え尽きちゃったりする。

自分の人生なんだから、ゆっくりのんびり歩こうが、立ち止まろうが、来た道を戻ろうが、自由なはずなんですよね。「こうすべき!」と思い込む必要は何もない。

私は私で、私なりに全速力で走ってきました。それは良い経験になったし、手に入れたものもありますし、幸せな生き方をしてきたと思います。

でも、ここらで減速しても良いのではないか? この本の作者のように、少し心を休めて、その後はまたゆっくり周りを見わたしながら進んでいけば良いんじゃないか?

そういう気持ちに変わってきています。

おわりに:私の最近の失敗

最近、ブログにとにかく人を集めよう!と思って、したくもない「トレンド記事」を量産するようなことをしていました。

毎日朝起きてはニュースをチェックして記事を書き、仕事から帰っては流行りそうな話題を探して記事を書き。たいして興味もないことを書いていました。

1週間もすると疲れ果てました。自由な時間は全てそこにつぎ込んでいたため、消耗するだけ消耗して、同居している恋人にもさびしい思いをさせてしまいました。これも私の「走り癖」の結果だったように思います。

走っている間は気持ち良い気もするのですが、結局疲労困憊するし、やめちゃうし、何も残らなかったりするんですよね。

だからもうちょっとゆっくり、ペースを落とした生き方で、じわじわ進む方針でも良いのかなと。

私のように「走り癖」がついてしまっている人、いませんか? 元気いっぱいなら良いですが、もしちょっと疲れているようなら、本書を楽しんでみると、考えが少し変わるきっかけになるかもしれません。

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