SPI対策には効果が無いという驚愕の実験結果。でも、本当か?リクルート社の結論を批判的に考察してみた

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ご存じの通り、SPIはリクルートという会社が作っています。リクルート社は、SPIの改訂を重ねており、現在のSPIはSPI3というバージョンになっています。

さて、先日SPIについてネットで調べていると、SPI3の公式サイトというものがあることに気が付きました。

リクルートキャリアが提供する、SPI3(適性検査)のご紹介ページです。SPI3は、貴社で適応・活躍できる人材の採用や入社後育成など、入社後一人ひとりの適応までを支援します。

SPIを自社の採用活動に利用したいと考えている企業向けのサイトのようです。

その中にSPIに関するFAQ(よくある質問と答え)があるのですが、受検者の側からするとちょっとショッキングなQ&Aがありました。

Q: 「SPI対策本」で勉強すると、能力得点が高くなりますか?

A: 受検者が「対策本」を利用して事前学習を行った場合も、能力検査の得点には影響がないことを実験により確認しています。

…。

えっ?

と言いたくなるような内容ですよね。つまり、SPIの対策本なんてやったところで意味ないぜ!とリクルート社は言っていることになります。

そんなバカな、じゃあ俺が金をかけてSPI対策本を購入し、時間をかけて学習したのは何だったんだ!という気分になります。

しかも、それを単に言い張っているのではなくて、きちんと実験をして、その結果を根拠にしているんだそうです。

でも、実際のところ、どういう実験をやったのでしょうか? そして、結果に対する議論は妥当なのでしょうか? 今回はリクルート社の実験と結果の概要について紹介し、その内容について批判的に考察してみたいと思います。

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リクルート社の実験

実験

リクルート社は、まず90人の検査参加者を集めて、検査(1回目)を受けさせました。そして、その結果をもとに、90人を2つのグループに分けました。仮にA群とB群だとしましょう。

A群は、成績が良い人と悪い人が混在しています。B群も、同じ程度に、成績が良い人と悪い人が混在しています。つまり、90人を能力的な偏りがないように2つの群に分けたってことです。

そして、A群には、次の検査(2回目)までの1週間の間、SPI対策本を使った学習をしてもらいました。他方、B群にはそのようなことはさせませんでした。

2回目の検査の結果はどうなったか。大事なところだけを書きますが、A群とB群の間に得点の差が見られなかったという結果になりました。

この結果から、リクルート社は次のように結論づけています。

「対策本」を用いて短期間に行う事前学習は、能力検査の結果に影響を与えるものではない

批判的に考えてみよう

批判的に考える

以上が、リクルート社の実験と結果についての概要です。最後の結論のところでこっそりと「短期間に行う事前学習」は、というふうに文言を付け加えて、期間を限定してしまっているのがちょっとズルい感じがします。

しかし、逆に考えると、1週間を超える学習なら効果はありうるということをリクルート社が認めてしまっている、という読みもできそうです。皆様は、ぜひ私が以前述べたように、2週間でできる学習をしてください。

就職活動・転職活動をしていたら、突然「2週間以内に適性検査を受けてください」なんて言われて戸惑ったこと、ありませんか?適性検...

それにしても、1週間という期間は、SPIの学習効果が出ないほと短い期間なのでしょうか。あるいは、1週間どんなに頑張っても簡単には学習効果が出ないくらい、SPIという試験は巧妙に作られているのでしょうか。

実は、私はそうは考えていません。実際は、実験の方法に問題があったために、A群とB群の間に生じるはずの能力差が出てこなかった、という可能性が十分あると思っています。そうだとすれば、1週間の勉強でも無駄になることはありません。

その問題は、「実験の参加者と私たち実際の転職活動者との間にある、決定的な違い」とも関連しています。

以下では、このことを具体的に見て行きましょう。

検査参加者のモチベーションの問題

モチベーション

実験参加者と実際の転職活動者との決定的な違いとは、SPIを学習する動機付け、モチベーションです。

私たち転職活動をしている人には、自主学習的にSPIの対策をする十分な動機付けがあると言えます。それは、SPIの解法を学習してスコアアップを図ることにより、企業の能力検査をパスすることができ、次の段階である面接にこぎつける、というものです。すべてがうまくいけば転職が実現できるわけですから、SPI対策は転職活動者にとって何としてもやっておきたい自主学習です。

一方、実験の参加者たちはどうだったのでしょうか? おそらく彼らは、転職活動・就職活動とは無縁の人々(既に就職して安定いる人など)であったはずです(もし、彼らが就職活動の真っ最中の人々だとすると、「B群=事前学習非実施群」が、実験期間中にSPIの学習をやってしまう可能性が高くなるからです)。

言い換えれば、参加者は、SPIの学習をしようがするまいが、自分の人生に関係が無い人々であったと考えられるということです。

そういう人々がA群に割り当てられ、1週間学習してくださいと言われて、真面目に学習するでしょうか? ちょっと、考えにくいですよね。また、仮に真面目な方が多くて、実験の趣旨に従って学習をしてくれたとしても、そうしたところでその参加者に何か良いことがあるわけでもありません。とすれば、学習内容はなかなか身に付いてはいかないはずです。

その結果、「あまり学習していないか、もしくはやる気の起きない学習をしたA群」は、「学習をしなかったB群」と比べて、良いスコアを出すことができなかった、と理解することができます。

事前学習にはやる価値がある!

トライしよう

翻って、私たち転職活動者のことを考えてみましょう。既に述べたように、私たちには十分にSPI対策をする動機づけがあります。

そして、動機づけがあると学習効果が高いものになるということは、学習心理学の教科書には必ず書いてあることです。

したがって、たとえ短期間の事前学習であっても、実施することによってSPIのスコア上昇につながっていく可能性は十分にあるでしょう。

おわりに

以上、リクルート社の実験について批判的に検討してみました。

最後に注意点を。1週間という期間が事前対策の期間として短いということは確かだと思います。なので、できるだけ時間の余裕を持って、1週間を超える期間、学習を継続するのが望ましいです。

では皆様、採用の日を夢見て、ともに学習を続けましょう!