20歳鹿児島男児の上京物語、続編。東京での成功を夢見たすべての男性にオススメ。

image credit: Hajime Taguchi

先日、『東京23区内に月1万5千円以下で住んでみた』というコミックエッセイを読んだ。

image credit: Hajime Taguchi私にも違う人生があったかもしれない。そう考えてしまうことはな...

上記の作品は、19歳だった田口始氏(作者)が上京してすぐの頃の話をまとめたもの。主人公として描かれている若い時代の田口氏は、新聞配達などの住み込みのアルバイトをいくつか経験した他、一番ひどいときにはホームレスになってしまう。そんな体験をつづったコミックエッセイだ。

先の記事でも書いたように、私も若い頃、東京への憧れを抱いていた。その思いは今でも続いていて、実は未練タラタラな気持ちでいっぱいである。だからこそ、主人公の体験に自分を重ねるようにして読みふけってしまった。

そして、後日気が付いたのだが上記作品の続編が出ていた。内気で人見知りな僕がホストに挑戦してみたである。早速読んでみた。

スポンサーリンク

『ホストに挑戦してみた』あらすじ

本作は、田口氏が上京して1年半が経過した時点から始まる。田口氏は住み込みでの仕事を手放して、4畳半の自分だけの住まいを手に入れた。しばらくゲームばかりして遊んで暮らしていたのだが、そろそろ新しい仕事を探さなければと思うようになる。

求人情報をパラパラとめくって目に入ったのは、ホストの募集だった。

ホストとして成功すれば、すごい額のお金が手に入り、女の子にもモテるようになるのではないか・・・?

挑戦心旺盛な主人公は、果敢に夜の世界に飛び込んでいく。そこで彼を待ち受けていたのは、東京の暗闇の中で交錯するオトナの事情と、それに翻弄される人々との出会いだった。

ホストになりたかった私

私もホストになってみたいなぁと考えたことがある。実は、男性はそういうことを考えた人って多いんじゃないだろうか?

イメージだけを語れば、ホストの仕事は、女性とお酒を飲んでうまくお喋りするという、なんとなくラクそうな、楽しそうな仕事である。そして、お客がつけばお金が凄く儲かる。女の子とお酒を飲んで盛り上がって、それで大金が手に入るなら、かなり良い仕事なんじゃないか?

私の場合、そういう思いはあったものの、結局ホストになったことはなかった。というのも、私はそもそもあまりお酒が飲めない。多量に飲むと死の恐怖を感じるくらいに体調が悪くなるので、酒を飲むのが業務のひとつであるなら向かないと判断し、早々に諦めた。

だからこそ、この物語の主人公に、また自分を重ねてしまった。私がホストをやっていたら、こんな感じだったのかな、などと思いながら本作を読んだ。

夜の世界の人々

主人公は夜の世界に深く足を踏み入れていく。そうすると、昼の世界では見ることができないような、少し闇を抱えた人たちと多く出会うことになる。そういう人達との接触について描かれているところが、本書の面白さのひとつ。たとえばこんな人々だ。

女性経験ゼロのホスト アオイ

女性との交際経験が無く、どう考えてもホストには向いていない人物、アオイ。主人公の少し後に入店するので、「主人公の後輩」という位置づけの人物となる。

女性への苦手意識を克服するため、ホストになるのだという。世の中には随分な理由でホストになる人がいるものである。

蒲田のキャバ嬢 K美

K美は20歳のキャバ嬢。主人公がホストとしてまだまだ慣れない時期に、彼を指名する貴重な客となってくれる。

しかし、この女性に関わったことで、主人公は後日とんでもない目にあってしまう。

未婚の母 Y子

乳幼児を連れた女性Y子。

主人公は彼女から、「仕事の間の1時間だけ、子どもを預かって欲しい」と頼まれる。彼女の仕事は、とても一般的なものとは言えないものであることが作中で明かされる。

キャバクラで働きたい17歳 M子とR美

主人公が客引きをしていたときに出会った2人組。家出をしてきたらしい。

彼女たちとの出会いは、作者にとって少し楽しく、少し悲しい出来事として描かれている。

ホスト経験者 トワ

主人公がホストの仕事にも大分慣れてきた頃、同じホストクラブで働くことになったホスト経験者のトワ。

この人物との出会いが、田口氏がホストを続けるのか否かという選択に、重大な影響を与えることになる。

おわりに

もしあなたが、深い感動や、飛び切りの楽しいオチを求めているんだとしたら、残念だが本書からそれが得られることはないと私は思う。涙を流したり大笑いしたい気分なら、他をあたったほうが良い。

本作に描かれているのは、そういうものとは対極にある、泥臭くて人間臭い物語だ。一人の内気な男性が、ある時、誰にも頼らずに東京の夜の世界に体当たりしていった。そうして残された雑多な記憶と複雑な感情をマンガにあらわしたものが、本作なのである。

スポンサーリンク
スポンサーリンク