「予備試験の勉強で、選択科目にはいつから手をつければいいのだろう」。基本7科目のインプットや短答対策に追われていると、選択科目はどうしても後回しになりがちです。かといって放置していいものか不安になり、始めるタイミングをつかめずにいませんか。
選択科目も論文式試験で問われる以上、着手が遅れれば直前で慌てることになりますし、逆に力を入れすぎれば基本科目がおろそかになります。始める時期の見極めは、思っている以上に合否を左右する。そう認識しておくべきでしょう。
そこで今回は、アガルートの予備試験講座で合格した19人の体験記を調べ、選択科目を「いつから」「どのように」学習していたのかを整理しました。読み終える頃には、自分の学習計画のどこに選択科目を置けばよいのかが、はっきり見えてくるはずです。
※本記事は2026年7月時点で入手できる情報を基に作成しています。ただし、引用している受講生の評価は受講当時のものであり、現在とは状況が異なる場合があります。
結論

先に答えをお伝えします。予備試験の選択科目は、基本7科目のインプットが一通り固まって論文対策に入る段階から少しずつ始め、遅くとも短答式試験を終えたら本格的に仕上げる。これが、合格者19人の体験記を読み込んで私がたどり着いた結論です。
- 基本7科目のインプット中は、まだ本腰を入れなくてよい(7科目が最優先)
- 論文対策に入る段階で、選択科目にも少しずつ手をつけ始める
- 短答式試験が終わったら、本格的に仕上げる(司法試験の過去問が中心)
最も避けたいのは、選択科目を完全に放置して、論文の直前になって初めて向き合うことです。
選択科目は1科目だけで、7科目ある基本科目に比べれば学習の分量は小さく、短期間でも間に合わせやすいのは事実でしょう。それでも「もっと早く手をつけておけばよかった」と振り返る合格者は、少なくありませんでした。
理由と具体的な進め方は、このあと順番に説明します。その前提知識として、選択科目が予備試験でどう位置づけられるのかを押さえましょう。

予備試験での選択科目の位置づけ

選択科目をいつ始めるべきかを考えるには、この科目が予備試験でどんな扱いを受けているのかを知っておく必要があります。そうすることで、後回しにされやすい理由と早く手をつける価値の両方が見えてくるはずです。
- 司法試験と共通の8科目(倒産法・租税法・経済法・知的財産法・労働法・環境法・国際関係法の公法系と私法系)から1科目を選ぶ
- 予備試験では論文式試験だけで問われる(短答式試験には出ない)
- 令和4年に導入された、比較的新しい科目
- 基本科目が7科目あるのに対し、選択科目は1科目だけなので、学習の分量が小さい
まず注目したいのが、選択科目が論文式試験でしか問われないという点です。予備試験は短答式に合格しなければ論文式へ進めません。
だからこそ多くの受験生は、まず短答を突破することに全力を注ぎ、選択科目はどうしても後回しになります。これは怠けているのではなく、限られた時間を配分するうえで自然な判断でもあるのです。
一方で、選択科目は令和4年に予備試験へ加わったばかりの新しい科目です。予備試験としての過去問の蓄積がまだ薄いため、対策では司法試験の過去問を使うのが定石になっています。実際、労働法で2度A評価を取った合格者は、次のように述べていました。
- 「予備試験の選択科目は、まだ過去問の蓄積が無いため、司法試験の過去問で出たテーマが出ている印象があります。そのため、司法試験の過去問を研究するべきです。」 【引用元】
ここに、早く手をつける価値が隠れているのです。選択科目は予備試験と司法試験で共通なので、予備試験の段階で固めておけば、その力はそのまま司法試験まで通用します。
目先の予備試験だけでなく、その先まで生きてくる投資だと考えると、選択科目の位置づけは決して「おまけ」ではありません。
もう一つ、科目選びも時期と無関係ではありません。倒産法や労働法のように講座や教材が豊富な科目もあれば、そうでない科目もあります。租税法を選んだある合格者は、教材の少なさに触れていました。
- 「選択科目では租税法を選択していたのですが、なかなか他の予備校等に租税法向けの講座や過去問を検討した講座がない中、アガルートアカデミー様だけは、導入の講義から司法試験過去問の解説まで、一貫した講座を用意されていた」 【引用元】
教材が限られる科目を選ぶなら、情報を集めたり教材をそろえたりする手間がかかる分、少し早めに動き出しておくと安心でしょう。科目選びと開始時期は、セットで考えておきたいところです。
合格者の選択科目の学習開始時期

選択科目にいつ着手するかは、合格者のあいだで大きく割れていました。ここでは実際の体験記を、着手が早い順に3つのパターンへ分けて見ていきます。自分に近いのはどれか、探しながら読んでみてください。
基礎学習の段階で早めに着手する
はじめは、基礎学習と地続きになるように、早い段階から選択科目に手をつけていた合格者たちです。
- 「総合講義1周目部分→重問1周目という順番で基本7科目を2月中に終え、3月中に選択科目、実務基礎科目を一通り終えました。」 【引用元】
- 「論文では、選択科目と実務基礎でAを取ることが合格の確実性を上げるに違いないと考えていたため、ロースクール入学前から準備をおこなった。」 【引用元】
- 「予備試験を受ける前年の年末までは論文式試験に向けた学習を行っていました。具体的には、重問や旧司の過去問、予備の過去問、選択科目の過去問はすべて触れました。年明けからは徐々に短答に向けた学習を開始し」 【引用元】
- 「2025年2月から論文対策に注力しました。……基礎科目に限らず選択科目も含め、重問・過去問・答練を中心に、実際にボールペンで書く訓練を徹底しました。」 【引用元】
このパターンに共通するのは、選択科目を「論文対策の一部」として、基本科目とひとつながりで扱っている点です。
1人目の合格者は基本7科目のインプットを2月に終え、続く3月には選択科目まで一通り仕上げています。基礎が固まったら、間を置かずに選択科目へ進んだわけです。
私が特に興味深いと感じたのは、2人目の合格者の考え方です。選択科目と実務基礎でAを取ることが「合格の確実性を上げる」と読み、ロースクール入学前という早い時期から準備を始めています。
選択科目を「間に合わせるもの」ではなく「得点源に育てるもの」として最初から位置づけている。この発想の差は、着手時期の差になって表れます。
もちろん、この層には学習開始が早い人や地力のある人が多く、誰にでもそのまま真似できるわけではありません。基本7科目のインプットが終わらないうちから選択科目に深入りすれば、かえって非効率です。
ポイントは「早ければ早いほどよい」ではなく、「基礎が固まったら間を置かずに一度触れておく」ことにあると私は考えます。
アガルートの選択科目対策は総合講義から過去問まで一式そろっているので、基礎を終えた流れのまま選択科目の一巡へ入りやすいのも、後押しになるでしょう。
短答式試験を終えてから取り組む
次は、短答式試験を終えてから、選択科目に本格的に取り組んだ合格者たちです。ここで取り上げた声の中では、この短答後のパターンがもっとも多く見られました。
- 「短答後は大学の定期試験があり、論文までは実質一カ月しかありませんでした。短答に大きく時間を割いていた分、論文の感覚を取り戻さなくてはなりませんでしたし、選択科目、民事実務基礎の要件事実は、あまり手が回っていない状態でした。」 【引用元】
- 「合格した場合に備えて論文試験の勉強を開始しました。この時の論文対策は別の予備校の問題集や過去問集を使っており、選択科目のみアガルートの倒産法総合講義・過去問講座を使っていました。」 【引用元】
- 「ロースクールの授業に追われていたこと、選択科目である労働法のインプットをしていなかったこともあり、短答合格後に論文過去問対策を始めたため、思った通りの論文対策はできませんでした。」 【引用元】
- 「論文:短答の科目になっていない選択科目や実務基礎を思いだすことから始めた。」 【引用元】
- 「短答試験終了後、自己採点をしたところほぼ確実に合格点に達していたので論文対策を始めました。……選択科目は、司法試験の過去問を使って同じことをしました。解くべき過去問を解き終わったのがだいたい本番1週間前でした。」 【引用元】
このパターンが多いのには、はっきりした理由があります。
選択科目は短答式に出ないので、短答の直前期は短答に集中し、選択科目は短答を通過してから論文対策の中で扱う。4人目の合格者が、短答に出ない選択科目を短答後に「思いだすことから始めた」と語るのは、まさにこの流れです。時間の使い方として理にかなっています。
分量が小さいという選択科目の特徴も、短答後の着手を後押しします。5人目の合格者は、短答後に司法試験の過去問で演習し、本番の1週間前に解き終えたと振り返っていました。短い期間の集中でも、選択科目なら間に合わせられるのです。
ただし、注意点もはっきりと語られていました。3人目の合格者は「短答合格後に論文過去問対策を始めたため、思った通りの論文対策はできませんでした」と書いていますし、1人目も短答後は「実質一カ月」で手が回らなかったと述べています。
短答式試験から論文式試験までは2か月弱と短く、そこへ論文の全科目を詰め込むと、選択科目のインプットが薄いまま本番を迎えかねません。
だからこそ、2人目の合格者のように短答合格が見えた段階で早めに論文対策へ入り、選択科目を含めて手を回しておくと、直前の余裕が大きく変わってきます。
「短答後にゼロから始める」のか「短答前に一度触れておく」のか。同じ短答後着手でも、この差は小さくないと感じました。

論文の直前期まで後回しにする
最後は、選択科目を論文の直前期まで後回しにして、苦しい思いをした合格者たちです。ここには、これから学習するあなたにとって、特に参考になる反省が詰まっています。
とりわけ胸に刺さるのは、2人目の合格者の言葉です。直前期に選択科目の過去問へ手をつけたものの、「これらはこの直前期ではなくもっと前からやっておくべきでした」と、はっきり後悔を書き残しています。
後回しにした本人が語る反省だからこそ、重みがありますよね。
もう1人の記録も、後回しの代償をはっきり示しています。1人目の合格者は1年目、インプットに時間を取られて選択科目が直前期まで間に合わず、1日10時間の詰め込みを強いられました。
ここで誤解しないでほしいのは、この2人も最終的にはきちんと合格しているという点です。後回しにしたからといって、不合格が決まるわけではありません。
ただ、直前に詰め込むのは時間的にも精神的にも苦しいものです。場合によっては、一度つまずいてから本腰を入れることになり、立て直しに余計な時間がかかることもあります。
完全に放置するのは避け、遅くとも短答が終わったら、選択科目にしっかり時間を割く。後回し派自身の「もっと前から」という言葉を、私はそのまま受け止めたいと思います。
参考【アガルート公式】司法試験予備試験に1年合格する勉強法とスケジュール
選択科目は後回しでも問題ないのか
ここまで「遅くとも短答後には本格化を」とお伝えしてきましたが、こう思った人もいるかもしれません。選択科目は分量も小さく、短答にも出ない。だったら、短答が終わってから、あるいは直前にまとめてやれば十分ではないか、と。
その気持ちはよくわかります。実際、限られた時間や少ない教材でも、選択科目をしっかり乗り切った合格者はいました。
これらを見れば、選択科目は短期でも軽装備でも間に合わせられる科目だと言えます。分量が小さいという事実は、後回し派にとって確かに心強い味方でしょう。
ただ、見落としてはいけない点が二つあります。一つは、後回しにした合格者自身が、もっと早くやるべきだったと悔いている例が現にあること。もう一つは、選択科目が「間に合わせる」だけでなく「得点源にできる」科目だということです。
選択科目でAや上位の順位を取れれば、合格はぐっと近づきます。ぎりぎり間に合わせるのと、得点源に育てるのとでは、同じ科目でも意味が違ってくるのです。
だから私の提案は、「捨てる」でも「最初から全力」でもありません。基本7科目を最優先しながら、論文対策に入ったら選択科目にも一度は目を通し、短答後に本格化させる。この中間の構えが、最も無理がないと考えています。
この記事のまとめ

予備試験の選択科目をいつから始めるべきか、19人の合格体験記をたどってきました。最後に要点を振り返ります。
合格者の動き方は、大きく3つに分かれていました。
- 基礎が固まった段階で早めに着手する人
- 短答式試験を終えてから取り組む人
- そして論文の直前まで後回しにして苦労する人
この中で目立ったのは短答後に取り組むパターンで、これは短答に選択科目が出ない以上、理にかなった選び方でもありました。
そのうえで私がおすすめしたいのは、基本7科目を最優先にしつつ、論文対策に入ったら選択科目にも手をつけ始め、遅くとも短答後には本格化させることです。
選択科目は比較的分量が小さく、司法試験の過去問を使えば短期間でも仕上がります。だからこそ、完全に放置して直前に慌てるのはもったいない。一度早めに通しておくだけで、後の自分がずっと楽になるはずです。
そして忘れずにいてほしいのが、選択科目は予備試験と司法試験で共通だということです。ここで固めた力は、そのまま司法試験まで生きてきます。
「間に合わせる科目」ではなく「得点源に育てられる科目」だと捉え直せば、選択科目に向き合う時間は、遠回りではなく近道になるはずです。あなたの学習計画の中に、選択科目の居場所を今日から少しだけ用意してみてください。


