2018年から資格対策通信講座の研究を続けている杉山貴隆です。
司法試験・予備試験の勉強というと、どうしても論文対策に目が向きがちです。重厚な答案をどう書くか、そればかりに気を取られて、短答式試験の対策が後回しになっていないでしょうか。
あるいは、短答対策の重要性を理解しつつも、そこにどのくらい時間を割けばいいのか、つかみどころのなさに戸惑っているかもしれません。
短答は、そこを通過しなければ論文が合否に反映されない関門です。だからこそ、合格した人が実際にどう乗り越えたのかを知っておく意味は大きいはずです。
そこで今回は、アガルートの合格体験記をもとに、予備試験と司法試験それぞれの短答対策を具体的にひもといていきます。この記事を読み終えたとき、あなた自身の短答戦略を描くための手がかりがきっと見つかります。ぜひ最後まで目を通してください。
※本記事は2026年6月時点で入手できる情報を基に作成しています。ただし、引用している受講生の評価は受講当時のものであり、現在とは状況が異なる場合があります。
予備試験の短答対策

まずは予備試験の短答からです。予備試験の短答は法律7科目に一般教養を加えた8科目で、範囲が広く通過も決して簡単ではありません。
合格者がどう攻略したのかを、過去問・時期・心構えという3つの角度から見ていきます。
過去問の反復と条文素読
予備短答対策の土台は、やはり過去問でした。ここで挙げる体験記を見ると、過去問の反復に条文素読や判例六法への一元化を重ねていく形が目立ちます。
- 「短答は、短答過去問を解きまくり、条文を読みまくれば受かると思います。」【引用元】
- 「短答対策に関して現時点での私の結論は、予備試験・司法試験の過去問全肢を把握し、正答率を100%に近づけるとともに、そこから派生する条文知識を深掘りするようにしてました。例えば、過去問で本文が出題されたなら但書まで押さえ、形式的な結論だけでなく趣旨や具体例までセットで定着させました。」【引用元】
- 「短答直前はひたすら過去問を回していました。短答過去問を回している時間は、不思議と何時間やってもつ辛くならず、毎日7~8時間くらいのペースでやって」【引用元】
- 「短答直前期は、短答の過去問を年度ごとに時間を図って解き、正答率90~100パーセントになるように全年度分すべて解きました」【引用元】
- 「短答式試験はとにかく過去問を解き、その中で苦手分野を洗い出し、そこを補強するという作業の繰り返しだと思います。」【引用元】
- 「短答:過去の出題回数が多い基礎的な箇所を完璧にインプットすることを意識していた。問題ばかり見直していると別の問題に対応できないので、条文の素読も怠らないように」【引用元】
- 「短答は過去問をとにかく回し、出てきた条文を判例六法にすべて黄色のマーカーペンでマークしながら進め」【引用元】
- 「短答式試験の直前期は、とにかく過去問の周回と条文の素読をしていました。短答式試験は細かい知識が多いので、直前の詰込みが大切であると思います。また、条文さえ知っていれば正答できる問題もそれなりにあるので、条文の素読も有効であると思います。」【引用元】
- 「短答前はこれを3周以上解いて、解説にでてきた条文は必ず六法で引いて確認していた。また、ネットで年度別でも解いて確実に知識を定着できているか確認した。」【引用元】
- 「短答は、とにかく過去問を100%にすることを心がけました。……過去問に出てきた条文・判例にすべてマークをして、それを通学中の電車の中や寝る前、隙間時間に熟読していました。」【引用元】
- 「短答の過去問は合格までに予備試験の全年度分と新司法試験の過去問を5〜6周しました。問題演習の際は、選択肢に出てきた条文や判例を判例六法に正の字でマークしていました。」【引用元】
- 「短答は覚えるだけでなく理解することを心掛けた。」【引用元】
これらの声に共通しているのは、過去問を「解いて終わり」にしない姿勢です。正答率を100%に近づける、全肢を理由づけまで押さえる、間違えた肢から苦手を洗い出して補強する。同じ過去問でも、回し方次第で得られるものはまるで変わってきます。
私が特に印象に残ったのは、本文が出たなら但書まで、結論だけでなく趣旨や具体例まで広げて覚えるという深掘りの仕方でした。短答という細かい知識の試験を、ただの暗記大会にしない工夫がそこにあります。
そしてもう一つの柱が、条文素読と判例六法への一元化です。過去問で出てきた条文や判例を六法に書き込み、マークし、それを通学中や寝る前のスキマ時間に繰り返し眺める。知識を一冊に集約しておけば、直前期にあれこれと教材を広げる必要もなくなります。
条文さえ知っていれば解ける問題が一定数あるという指摘も、的を射ていると感じました。膨大な短答知識を前に途方に暮れそうになりますが、「条文に紐づけて覚える」と決めるだけで、学習の軸がぐっと定まるのではないでしょうか。
アガルートの「予備試験最短合格カリキュラム」には、こうした過去問演習を支える短答過去問解説講座や、短答プロパー知識をコンパクトにまとめた短答知識完成講座が用意されています。
参考【アガルート公式】司法試験・予備試験講座 予備試験最短合格カリキュラム
これらの教材を素材にしながら、自分なりの一元化教材を六法の上に育てていく。そんな使い方が、ここで挙げた合格者の学習法とよくかみ合っているように思います。
始める時期と論文の両立
短答対策をいつ始め、論文とどう両立させるか。ここは多くの人が頭を悩ませる点ですが、ここで挙げた声に共通して見えるのは「論文と並行しつつ、直前期は短答に集中する」というメリハリの付け方でした。
- 「重問が1周目を終えた時点で、短答の過去問を解き始めました。短答の過去問も、1周目は、2周目の予習という感じで……解けるようになることを目指すのは3周目、4周目からで大丈夫です。」【引用元】
- 「論文対策と並行して短答本番の5ヶ月前から3ヶ月間毎朝予備短答の過去問を一科目解いてあらかじめ全科目全年度分に触れておきました。短答2ヶ月前の直前期は短答のみに集中し」【引用元】
- 「2月中旬から短答の過去問も解き始め、4月中に1周目、5月中に2周目を終えました。6月初めに初見の令和5年度を解いて余裕があることを確認したため、再び論文の比重を増やし、7月中旬の短答本番までに3周目を終え」【引用元】
- 「予備試験を受ける前年の年末までは論文式試験に向けた学習を行っていました。……年明けからは徐々に短答に向けた学習を開始し、大学の後期が終了する2月中旬からは短答一本でやりました。」【引用元】
- 「ローの期末試験終了後から短答式試験までは、短答式試験の過去問のみに取り組みました。そのため、論文式試験の勉強は、短答式試験が終わった後から開始した」【引用元】
- 「短答と論文ではやはり頭の使い方が違うため、短答直前期の2週間くらいは論文を全く書かずに、短答の問題を解く事のみを行いました。」【引用元】
- 「短答の直前は、朝から晩までずっと過去問を解いていました。論文の勉強は一切せず、論証集を確認するといったこともありませんでした。試験本番の1日前に過去問を解いて合格点を超えていたので」【引用元】
- 「短答式試験の1ヶ月前からは勉強時間の9割を短答対策に費やした。……淡々と知識を書き込んだ六法を読んだ上で過去問を解き、復習することを繰り返した。試験当日の朝もインプットに努め、1点をもぎ取る気持ちで詰め込んだ。」【引用元】
- 「短答試験の直前期(一ヶ月前)には論文のアウトプットはやりませんでした。その代わりに、暗記アプリに転記していた論証集を繰り返し暗記し……全年度の司法試験・予備試験の過去問を2周しました。」【引用元】
- 「私は、短答と論文との間の期間に学部の定期試験があり、他の人より時間が奪われてしまったため、実際の起案はほとんどせず、15分から30分で頭の中で起案し、もう30分で解説を確認する作業を1日10科目ひたすら行っていました。」【引用元】
時期について一つの型として見えてくるのが、年明けから春先にかけて論文と並行で短答を始め、本番1~2か月前に短答へ大きく舵を切る、という流れです。
1周目は予習のつもりで軽く、仕上げは3~4周目から。そんな割り切りを聞くと、最初からすべてを完璧にしようとしなくていいのだと、少し肩の力が抜けます。
直前期には、論文のアウトプットをいったん止めて短答に没入する人が目立ちました。短答と論文では頭の使い方が違うので、思い切って切り替えるわけです。
勉強時間の9割を短答に注ぐ、当日の朝まで1点を取りにいく。その集中ぶりからは、短答を「軽く済ませる作業」ではなく、本気で取りにいく勝負どころとして扱っている姿勢が伝わってきます。
一方で、見落としてはいけないのが「時間のかけすぎ」という落とし穴です。早くから短答を重視して初年度で通過できたものの、その分だけ論文の時間が削られたという声がありました。
3月から一気に短答へ比重を移したけれど、振り返れば5月頃からでも十分間に合ったし、短答が終わって論文に戻るとブランクを感じた。そんな具体的な反省も語られています。
短答は論文に比べて努力が点数に表れやすいぶん、つい安心できる短答に逃げ込みたくなる。けれど予備試験で合否を大きく左右するのは論文です。
短答に注ぐ熱量と、論文を切らさない冷静さ。この二つのバランスをどう取るかが、合否を分ける分岐点になりそうです。
参考【アガルート公式】司法試験・予備試験講座 予備試験最短合格カリキュラム
短答を甘く見ない
予備試験の短答式試験は、受験者の2割ほどしか通らない狭き門です。さらに対策しづらい一般教養という科目もあります。ここでは「短答を侮らない」という心構えと、一般教養との向き合い方を見ていきましょう。
- 「短答式に合格することはとても大事です。世間では短答をなめている風潮がありますが、これに落ちたら何にもなりません。私もこれが怖くて、3か月半をかけてしっかりと対策をしました。」【引用元】
- 「一方短答についてはなめられがちですが、油断すると簡単に落ちるので、少しハードルを高く設定することをお勧めします。」【引用元】
- 「ネット上では短答通過は当たり前という風潮がありますが、かなり難しい試験だと思います。」【引用元】
- 「短答式試験の過去問演習と並行して重要問題習得講座と論文式試験の過去問講座をとにかく周回しておりました。しかし、短答式試験に数点の差で落ちてしまい非常に落ち込みました。短答式試験は非常に難関ですので、1回目の受験の方は早めに対策した方がいいと思いました。」【引用元】
- 「1年目は短答合格に焦点を当て、これも早くから短答の過去問を繰り返し解きました。1年目は短答は合格し……しかし、短答の対策をしなさすぎて、2年目は短答落ちしてしまいました。3年目は、早くから短答の過去問に手を付け……その結果、短答は余裕で」【引用元】
- 「1年目の春休みはほとんど勉強せず、短答の勉強も一切しないまま本番を迎え、落ちました。今思えば、直前で短答に間に合わせようとして、それなのに落ちるというパターンが怖かった」【引用元】
- 「1月から短答試験まで短答の練習に全力を注ぎこみました。ロー生の予備試験受験者は、論文の合格率は一定程度あるものの短答合格率は低いというデータがあったので、とにかく短答通過しなければ」【引用元】
- 「細かいところを覚えるのが苦手だし、大学受験もしていないため一般教養も得点源とならない。ここで落ちたら今年の受験は終わってしまうと思い、短答一か月前は全振りした。」【引用元】
- 「一般教養で取り返すことを考えて受け切ったものの、自己採点がとても怖かった。民事や一般教養が伸びたことで受かった」【引用元】
- 「短答式試験は、一般教養科目が簡単だったこともあって、どこかの科目で20点を超えなくてもなんとか受かっているだろうという気持ちでした。」【引用元】
- 「合格はできたものの、一般教養の正答率が運よく8割弱あって、もし確答分以外が全問不正解なら、ギリギリ不合格ラインでした。……一般教養科目で、確答できたもの以外を各5分の1で正答すると計算した場合には、今回のように8割弱の得点となるのは、まさかの「宝くじ1等が当たる半分の確率」でした。」【引用元】
- 「短答に落ちたら論文が受けれないからである。予備試験は論文がメインであるため、短答で落ちてしまった場合、1年の勉強が無駄になってしまう感じがしてしまうのだ。しかし短答は勉強すればするほどそれに伴い実力もでるので、そこまで心配する必要はない。」【引用元】
「短答は簡単」という空気は、確かにあります。けれど、その油断が一番こわい。ここで挙げた声の中には、短答をなめる風潮に警鐘を鳴らす人や、対策を怠った年に実際に短答落ちを味わった人がいました。
論文の手応えがどれだけよくても、短答で数点足りなければ採点すらされない。1年が水の泡になるという恐怖は、想像以上に重いものです。少しハードルを高めに設定しておくくらいで、ちょうどいいのかもしれません。
一般教養は、その不確実さがやっかいです。範囲が広く、努力が点数に結びつきにくい。だからこそ「一般教養は得点源にしない」と割り切り、法律科目で合格点を確保しにいく考え方が見られました。
一般教養の出来を運に近いものと捉える声もあり、実際に運よく取れた年と、簡単で助かった年の両方が語られています。一般教養に過度な期待をかけるより、確実に積み上げられる法律科目で土台を固めておく。それが現実的な構えだと私は受け止めました。
ただ、ここで悲観に傾きすぎないでほしいとも思います。ある合格者が「短答は勉強すればするほど実力が出るので、そこまで心配する必要はない」と語っていたのが、私にはとても励みになりました。
短答は、論文のように相手との相対評価で結果が揺れる試験ではありません。やった分だけ伸びる。だからこそ、正しく重視しつつ、過去問の反復という王道を地道に積み重ねれば、十分に乗り越えられる壁なのだと思います。
参考【アガルート公式】司法試験・予備試験講座 一般教養科目対策講座
司法試験の短答対策

続いて司法試験の短答に移ります。こちらは憲法・民法・刑法の3科目だけで、しかも総合点に占める比重は論文が圧倒的に大きい試験です。その特徴を踏まえ、過去問・位置づけ・苦手克服の3つの視点で整理します。
過去問の周回で土台を作る
司法試験の短答も、軸になるのは過去問です。市販の短答過去問パーフェクトやアガルートの短答過去問集を周回し、知識を一元化していく形が中心でした。
- 「短答については、短答パーフェクトで勉強しておりましたが、令和7年2月からスタートし、3月末の模試までの間に1周し、4月から受験までの間に、4-5周し、トータルで、5-6周しておりました」【引用元】
- 「短答式試験については、本番の前年の12月頃から、短答過去問パーフェクトを計画的に解いていきました。間違えた問題の復習をカウントすると、3周くらいはしたと思います。」【引用元】
- 「短答学習についてはひたすら短答パーフェクトを周回しました。苦手な分野については何度もやりました。全体的な周回は各科目で3周くらいだと思います」【引用元】
- 「短答は短答知識は細かいというのはありますが、過去問を解いていれば大体解けるようになります。4周しました。」【引用元】
- 「短答は、短答パーフェクトのように単元別になっているものでもいいですが、私は短答のように文章が並んでいると眠たくなるので、単年度分を時間を測って解いて」【引用元】
- 「短答対策では、汎用的な一元化教材の作成が苦手だったため、過去問自体に集約して一元化教材とする方法を採用しました」【引用元】
- 「短答対策は、過去問を網羅した参考書を解き、間違えた問題をまとめ教材に転記することで、そのまとめ教材を周回すれば短答対策が完成する形にしていきました。」【引用元】
- 「①過去問を解いて、常識で解ける問題を増やしていく、②何回も解いても間違う問題を一元化教材に落とし込む、③一元化教材を元に、周辺知識を埋めていって、過去問にも出ていない問題も解けるようにする」【引用元】
- 「アガルートの短答過去問集を使用していましたが、当初は解説が平易であったり判例の引用のみであったりして、使いづらさを感じていましたが、結果的に、自分で正誤の理由を分析し、それを書き込むことで、以降の解き直しが楽になりましたし、負荷のかかった勉強ができた」【引用元】
司法試験の短答は3科目に絞られるぶん、やるべきことは比較的はっきりしています。周回数について見ると、3周で十分という人もいれば、5周以上した方がいいという人もいて、ここは個人差が大きいところです。
ある合格者は、3周目あたりから出題者の意図が見えてきて、5周目あたりから正答率が上がってくるので、自分としては5周はした方がよいと振り返っています。ただ回数をこなすのではなく、自分の正答率を見ながら必要な周回数を見極める姿勢が印象的でした。
回し方の工夫も具体的です。間違えた問題をまとめ教材に転記する、過去問そのものを一元化教材にしてしまう、自分で正誤の理由を書き込む。共通するのは、知識を一か所に集約して、そこを繰り返すという発想です。
市販の短答過去問パーフェクトを使う声が多い一方、アガルートの短答過去問集に自分なりの分析を書き加えて使い込んだという声もありました。
私が大切だと感じたのは、「全選択肢を理由づけまで判断できるようにする」という基準です。なんとなく正解できるのと、なぜその肢が誤りなのかを説明できるのとでは、本番での安定感がまるで違います。
毎朝3科目を1時間ずつ解く、1日のノルマを決めて淡々とこなす。そうした習慣化の工夫も、短答という地道な作業を続けるうえで参考になりそうです。
参考【アガルート公式】司法試験・予備試験講座 短答過去問解説講座Ⅰ(憲法・民法・刑法)
論文重視の中での立ち位置
司法試験は短答と論文の比重が1対8で、論文のウエイトが圧倒的です。そのため短答の位置づけをめぐっては、「効率重視」と「軽視は危険」という二つの考え方が見られました。
- 「足切りにあっては元も子もないですが、配点割合からしてやはり重要なのは論文式試験です。そのため、短答式対策では周りと差がつかない程度の得点力をいかに効率よく身につけるかが肝要だと思います」【引用元】
- 「生活をルーティン化させることを徹底しました。例えば午前中は暗記、午後は論文、夜は短答、というふうに決め、何の勉強をするか迷わないように」【引用元】
- 「早期の過去問・短答対策の重要性を認識していたので、ロースクール(既習)に入学してすぐに過去問対策・短答対策を始めることができました。そのおかげで全年度の司法試験・予備試験過去問と短答過去問を複数回演習することができました。」【引用元】
- 「司法試験の約1年前くらいから少しずつ短答の講座も利用し、短答対策も並行して行いました。短答も論文の勉強方法と同様に、直前まで何度も繰り返し問題を解いていました」【引用元】
論文の比重が大きい以上、「短答はスキマ時間で効率よく済ませ、まとまった時間は論文に充てる」という発想は、ここで挙げた声の多くに見られる現実的な構えでした。
生活をルーティン化して短答を固定枠に置く、就寝前や移動中に少しずつ進める。短答に必要以上の時間を奪われない仕組みづくりに、それぞれ工夫を凝らしています。
数字で戦略を組み立てる人もいました。短答で合格者平均からプラス15点を確保し、論文は800位以内を狙う。司法試験が足切りと総合評価の組み合わせである以上、自分の得意不得意に応じて「取るところ」と「守るところ」を分ける発想は、とても合理的だと感じます。
短答の3科目で問われる論点が論文の土台にもなるという指摘もあり、短答を論文と切り離した暗記作業と捉えないことが、効率と効果の両立につながるのでしょう。
もっとも、姿勢が割れる点もおもしろいところです。短答が合否を大きく左右すると考えて直前まで力を入れた人、対策の出遅れで不合格を経験した人がいる一方で、「短答が勝負を決めるという声は気にしすぎなくていい」と語る人もいました。
ここから読み取れるのは、絶対の正解は一つではないということです。ただし共通の前提として、足切りを侮れば一発で終わるという厳しさがある。その土台を踏まえたうえで、自分の得意不得意に合わせて力の入れ具合を調整するのが現実的だと、私は考えています。
参考【アガルート公式】司法試験・予備試験講座 短答絶対合格!スキル習得講座
苦手科目の克服と講座活用
司法試験の短答は3科目とはいえ、配点が最も大きい民法、とりわけ家族法を苦手にする声が目立ちました。ここでは苦手との向き合い方と、アガルートの短答講座の使い方を見ていきます。
- 「私は1番苦手としていたのが短答式試験でした。論文式試験は問題文の中にストーリーがあり、楽しんで解くことができますが、淡々と知識を詰め込まなければならない短答の勉強が捗らず、危機感を抱いていました。」【引用元】
- 「私が司法試験に合格するまでの過程で、最も苦労したのは短答対策、とりわけ家族法でした。出題頻度が高いにもかかわらず、どうしても条文の細かい要件関係が整理しきれず、最後まで伸び悩む分野でした。」【引用元】
- 「私は一度目の司法試験の受験は短答で民法の点数が及ばず、不合格になってしまいました。……短答落ちという結果でしたが、民法の点数が極端に低く、刑法及び憲法が1度目の受験では高得点であったころから科目を通してバランスの取れた勉強が行えていませんでした。」【引用元】
- 「最初は過去問を分野別にひたすら解いていましたが、それだけでは知識が定着せず、解いては忘れ、の繰り返しになっていました。そこで勉強法を変え、……過去問は分野別ではなく難度別で解き、択一六法で間違えた部分の知識を確認したり、書き込んだりしながら、勉強するスタイルに」【引用元】
- 「とりあえず短答が苦手だったので各科目をひたすら解いておりました。付箋でどこまでやったかわかるようにし、苦手な分野は3回ほど回しました。……直前期は憲法の統治と民法の家族法をやり込み確実に点数が取れるようにしました。」【引用元】
- 「短答過去問の中には、刑法の会話文問題(パズル問題)など解き方を研究する必要がある問題があります。また、知識問題のように見えるものの、法的思考力やセンスで肢を切らなければならない場面があります」【引用元】
- 「令和7年の短答式試験は例年と比べて難問が多く、特に民法では細部の理解を問う問題が散見され、心が折れそうになった……それでも、基礎部分の積み上げを重視して学習を続けたことで、本番の民法は8割弱を確保することができました。」【引用元】
- 「私は中央大学の炎の塔をメインに予備校を使わず司法試験の勉強をしていたのですが、短答が苦手でした。そのため、苦手な短答を克服するために予備校を使いたいと考えていた」【引用元】
- 「短答プロパーの知識がコンパクトにまとめられており短答の復習に非常に重宝……この講座のお陰で、司法試験本番の短答式試験では苦手を克服して500位以内の成績を収めることができました。」【引用元】
- 「短答試験で私が最低限の知識を身に付けることができたのは、「短答知識完成講座Ⅰ」のおかげです。この講座では、学説の分布があったり処理手順を覚えなくてはならなかったりといった覚えづらい部分が図表等を用いることによってわかりやすく説明され」【引用元】
- 「短答対策ではアガルートの短答過去問解説講座を繰り返し利用し、過去問を体系的に整理しながら理解を深めることで、知識の抜け漏れを防ぎました。」【引用元】
3科目しかないということは、裏を返せば苦手科目から逃げられないということでもあります。とりわけ民法は配点が大きく、家族法を鬼門に挙げる声が目立ちました。
条文の細かい要件関係が整理しきれない、出題頻度は高いのに最後まで伸び悩む。一度目の受験で民法の点が足りずに短答落ちした、という重い告白もありました。「短答が一番苦手だった」という共感から入れる人は、決して少なくないはずです。
では、どう対処していったのか。分野別に解くのをやめて難度別に切り替える、択一六法に間違えた知識を書き込む、付箋で進捗を見える化して直前期に統治や家族法を集中的にやり込む。
刑法の会話文問題のように、解き方そのものの研究が必要な問題が出るという指摘もありました。難化した年でも、奇をてらわず基礎の積み上げを続けて民法で8割弱を確保した人がいたことは、大きな励みになります。
苦手克服の心強い味方として名前が挙がっていたのが、短答知識完成講座Ⅰです。司法試験の短答は憲法・民法・刑法の3科目なので、上3法を扱うこのⅠがちょうど守備範囲に重なります。
参考【アガルート公式】司法試験・予備試験講座 短答知識完成講座Ⅰ(憲法・民法・刑法)
短答プロパーの知識がコンパクトに、図表を交えてまとまっているため、覚えづらい分野を視覚的に整理でき、移動中や休憩中の確認にも向いている。実際にこの講座で苦手を克服し、本番で500位以内に入ったという声もありました。
過去問演習で土台を作りつつ、抜け落ちやすい短答プロパーの知識をこうした教材で補う。その組み合わせが、苦手科目を得点源に変える近道なのだと思います。
短答より論文に集中すべき?
ここまで読んで、こう感じた人もいるかもしれません。「結局、配点が大きいのは論文なのだから、短答は後回しにして論文に集中したほうが効率的なのでは」と。
たしかに司法試験は短答と論文の比重が1対8で、予備試験も最後に問われるのは論文や口述です。短答にかける時間を惜しむ気持ちは、よくわかります。実際、短答はスキマ時間で効率よく済ませたいという声も紹介してきました。
それでも、私はこの考えに一つだけ大切な留保を付けたいと思います。それは、短答に落ちれば論文がどれだけ書けていても合否には反映されないということです。
予備試験の短答は短答受験者の2割ほどしか通らず、司法試験の短答にも科目ごとの足切りがあります。ここで挙げた体験記にも、短答対策の出遅れや油断で不合格を経験した人がいました。「論文重視」は正しい。けれどそれは「短答は最低限でいい」という意味ではないのです。
加えて、短答対策は論文と切り離された無駄な暗記ではありません。短答3科目の知識が論文の土台になると語る合格者がいたように、短答で磨いた知識の精度は論文にも生きてくるはずです。
そして短答は、やった分だけ実力が表れる試験でもあります。だからこそ、論文を主軸に置きつつ、直前期には短答へメリハリよく集中し、過去問の反復で確実に通過点を超える。その積み重ねが、結局は論文で勝負する舞台を整えてくれるのだと思います。
この記事のまとめ
ここまで、アガルートの合格体験記をもとに、予備試験と司法試験それぞれの短答対策を見てきました。
予備試験の短答は法律7科目に一般教養を加えた8科目におよぶ範囲の広さが特徴で、土台となるのは過去問の徹底反復と条文素読・六法への一元化です。
論文と並行で進めつつ直前期に短答へ集中するメリハリ、そして「短答を甘く見ない」という心構えが、ここで取り上げた合格者の声から繰り返し伝わってきました。
一方、司法試験の短答は3科目に絞られ、論文偏重の中で「いかに効率よく確実に取るか」が鍵でした。過去問の周回で土台を作り、民法や家族法といった苦手を短答知識完成講座Ⅰなどで補強する。試験の性格が違えば、最適な戦略も変わってくるわけです。
共通して見えてきたのは、短答は決して運任せの試験ではないということ。やるべきことははっきりしていて、やった分だけ実力が積み上がります。今は途方もなく感じるかもしれませんが、過去問という王道を一歩ずつ進めば、必ず手応えに変わるはずです。
あなたの短答対策が、合格への確かな足場になることを願っています。

