「2026年から司法試験・予備試験がCBTになる」と聞いて、不安を感じていませんか。
長年手書きで実施されてきた試験が、会場のパソコンで答案を打ち込むCBT方式へと変わります。勉強の中身は同じでも、「書く」から「打つ」への変化は、答案作成の感覚を大きく変えることでしょう。
この変化への備えを後回しにするのは危険です。操作に戸惑って時間を失えば、せっかくの実力を出し切れずに終わってしまうかもしれないからです。
そこで今回は、アガルートの司法試験・予備試験講座で可能なCBT対策を詳しく解説します。この記事を読み終える頃には、受験に対する漠然とした不安が「何をすればよいか」という具体的な見通しに変わることでしょう。
※本記事は2026年7月時点で入手できる情報を基に作成しています。
令和8年から始まるCBT化

アガルートの対策内容を見る前に、まず試験側の変更を整理しておきましょう。どの試験のどの段階がCBT方式での受験になるのか、そして当日はどんな環境で解答するのかを押さえます。
司法試験と予備試験で範囲が違う
CBT化と一口に言っても、試験によって対象範囲が異なります。最初に全体像を確認してください。
| 試験 | CBT化される範囲(令和8年) |
|---|---|
| 司法試験 | 短答式・論文式の両方 |
| 予備試験 | 論文式のみ |
CBT(Computer Based Testing)は、試験会場に設置されたパソコンで解答する方式です。法務省は令和8年(2026年)の試験からこの方式を導入します。ここで注意したいのは、司法試験と予備試験で対象範囲が違う点です。
司法試験は短答式・論文式の両方がCBT方式での受験になる一方、予備試験でCBT方式での受験になるのは論文式だけ。予備試験の短答式は従来どおりのマークシート方式で実施され、口述試験も試験官と対面で行われます。
「予備試験も全部パソコンでの受験になるんでしょ?」という誤解は意外と多いように感じます。正確には、予備試験受験生にとってCBT対策が直接問われるのは論文式である、という整理をまず頭に入れておきましょう。短答式の勉強法を急いで変える必要はありません。
もっとも、予備試験に合格すれば次は司法試験が待っています。司法試験では短答式もCBT化されるため、長い目で見れば短答式のパソコン操作にも慣れておく意味はあるでしょう。この点は、後ほどアガルートの短答演習のところで改めて触れます。
会場のパソコンで答案を作る
次に、当日の受験環境を確認しましょう。「自分のパソコンを持ち込むの?」という疑問をよく見かけますが、答えはノーです。
- 会場に設置されたパソコン・キーボード・マウスを使用する(持ち込みではない)
- 問題文は紙では配付されず、画面上で読む(論文式の試験用法文のみ紙でも配付)
- 文字入力は日本語IMEで、予測変換は使えない
- コピー・貼り付け・元に戻すなど基本的な編集のショートカットキーは使える
- 答案は自動保存され、試験終了時に自動回収される
受験者が使うのは、全会場で同等スペックとされる備え付けのパソコンです。機材の性能差で有利不利が生じないよう配慮されている一方、自分の使い慣れた道具は使えないということでもあります。
筆記具や時計も持ち込めず、メモ用紙とシャープペンシルは会場の備品を使い、残り時間は画面で確認する形です。
入力まわりにも独特のルールがあります。予測変換が使えない、半角文字を入力できない(自動的に全角へ変換される)といった仕様は、普段のパソコン操作と微妙に感覚が異なる部分でしょう。
他方で、コピー・貼り付け・切り取り・元に戻すといった基本的なショートカットキーは使えます。答案の一部を組み替えたり書き直したりする操作は、手書きよりずっと柔軟です。
こうして見ると、CBT化は単に「不便になる変化」ではなく「別のスキルが要る変化」だと私は感じます。
手書きの速さや読みやすい字は武器ではなくなり、代わりにタイピングと画面上での編集力が問われる。だからこそ、本番と近い操作感で練習できる環境があるかどうかが、教材選びの新しい判断軸になってきます。
アガルートのCBT演習でできること

ここからが本題です。アガルートは司法試験・予備試験講座の受講生向けにCBT演習システムを用意しています。論文式・短答式・添削との連携という3つの観点から見ていきましょう。
論文式は本番さながらの環境
アガルートのCBT演習の中心は論文式です。まず、何ができるのかを整理します。
- 本番同様の試験時間タイマー・問題文表示・解答入力欄・参照法文の検索閲覧
- 問題文へのマーカー(ハイライト)機能・メモ機能
- コピー&ペースト・文字装飾・文字数カウントなどのエディタ機能
- 制限時間どおりの演習も、時間無制限での推敲も可能
- 作成した答案はPDFで出力できる
このシステムは、法務省の司法試験CBTシステムを開発したコンバイン株式会社にシステム提供を依頼し、アガルートが独自に開発したものです。
アガルート自身は「単なる『似たシステム』ではなく、『本番に限りなく近い演習環境』」と説明していますが、本番のシステムを手がけた会社の提供を受けていることがそれを裏打ちしています。このことは受講生にとって大きな安心材料になるのではないでしょうか。
マーカーやメモといった本番特有の機能の挙動まで事前に体感できるのは、市販のタイピング練習ソフトでは代えがきかない部分です。
私が特に注目しているのは、時間の使い方に幅がある点。本試験と同じ制限時間で緊張感のある演習ができる一方、制限時間を過ぎても納得がいくまで答案を推敲し続けられます。
学習の初期には時間を気にせずじっくり考え、仕上げの時期には本番同様の時間制限で追い込む。学習段階に応じて使い分けられる設計は、受験生の学習の流れをよく分かっている作りだと感じました。
細かな機能も実戦面で見逃せません。たとえば問題文へのマーカー機能は、「問題文に線を引きながら読む」習慣がある人にとって、その代替手段になります。文字数カウントは答案の分量感覚を養うのに役立つはずです。
こうした機能を知識として知っているだけの人と、実際に使い込んで手に馴染ませた人とでは、当日の落ち着きが違ってくるでしょう。
短答式も本番と同じ感覚で
論文式だけでなく、短答式のCBT演習も用意されています。ただし、その位置づけには少し補足が必要です。
- マーカー機能・メモ機能・付箋機能・見直し機能など、本番と同様の機能で演習できる
- 対象は司法試験の短答式3科目(憲法・民法・刑法)で、先行体験版という位置づけ
- 予備試験の短答式は本試験自体がマークシート方式のまま
短答式のCBT演習は、マーカー・メモ・付箋・見直しといった機能を使いながら、本番さながらの短答式を体験できる仕組みです。
迷った問題に付箋を立てて後から見直す、気になるところにメモを残すといった操作は、紙の問題冊子に書き込むのとは勝手が違うため、事前に体験しておく価値があります。
ここで思い出してほしいのが、先に整理したCBT化の範囲です。令和8年時点で短答式がCBT化されるのは司法試験のみで、予備試験の短答式はマークシートのまま。アガルートの短答CBT演習も、司法試験の短答式3科目を対象にした先行体験版という位置づけです。
つまり予備試験の受験段階にいる人にとって、短答CBT演習は「今すぐ必須」のものではなく、「予備試験合格後の司法試験を見据えた先行投資」と捉えるのが正確でしょう。
書いた答案は添削につながる
CBT演習で書いた答案は、書きっぱなしにはなりません。ここがアガルートのCBT対策の核心だと私は考えています。
- CBTシステムで作成した答案はPDFで出力できる
- 論文の添削付き演習講座(TENSAKUN対象)は、いずれもCBTに対応している
- CBTで書いた答案のPDFを、そのまま添削対象の演習として提出できる
アガルートのCBT演習が単なる操作練習ツールと一線を画すのは、添削と地続きになっている点です。
もともとアガルートの初学者向けプラン「予備試験最短合格カリキュラム」には、論文の主要な演習講座にプロ講師のオンライン添削「TENSAKUN」が組み込まれています。そして、これらの添削付き演習講座は、いずれもCBTに対応しているのです。
だからCBTシステムで書いた答案をPDFに出力し、添削の対象になっている問題であれば、そのまま提出してプロ講師に見てもらえます。
この連携の意味は小さくありません。CBT化で本当に問われるのは「パソコンで打てるか」ではなく「パソコンで書いた答案の質」です。タイピングに慣れただけでは、答案が冗長になる、構成が崩れるといった問題は解決しないでしょう。
本番と近い環境で打った答案を、そのままプロの目でチェックしてもらえる。この循環があるからこそ、操作への慣れと答案力の向上を同時に進められるわけです。
ただし、CBT環境で解いた答案が何でも無制限に添削されるわけではありません。添削の対象になるのは、論文答案の「書き方」や重要問題習得講座、予備試験論文過去問解析講座、答練など、もともと添削の付いた演習の、決められた問題です。
裏を返せば、答案演習の中心となる講座を、そのままCBT形式で積み重ねながら添削まで受けられる設計になっている、ということ。CBT対策としては、かなり手厚い部類だと感じます。
CBT演習を使いこなすための注意点

機能が揃っていても、使い方を誤ればもったいないことになりかねません。受講前に知っておきたいポイントを2つお伝えします。
使える時期は講座ごとに違う
1つ目は使えるようになる時期についての注意点です。
- CBT演習には講座ごとに「公開日」が定められ、その日から使えるようになる
- 公開日は合格目標年度・講座ごとにあらかじめ決まっている
- 論文の基礎講座が先、過去問解析や答練は後、という順に設定されている
アガルートはCBTシステムを全講座一斉ではなく、講座ごとに定めた公開日にそって順次開放しています。その順序は標準的な学習の進み方と概ね重なっており、基礎を学ぶ講座から先に開き、過去問演習や答練といった実戦段階の講座が後に開放されます。
申し込んだ初日にすべてのCBT機能を試せるわけではない、ということを認識しておきましょう。たとえば、答案対策の中心となる講座の公開日は、受講開始からしばらく先に設定されていることがあります。
CBT演習が最も生きるのは、インプットを終えて答案を書く段階に入ってから。受講開始直後は、まず講義とテキストで土台を作る時期だと捉えておくと、期待とのずれが生じません。
「受験完了」ボタンは慎重に
2つ目は、システムの仕様上の注意点です。知らずに操作すると後悔しかねないポイントがあります。
- 「受験完了」ボタンを押すと、その問題はCBTシステムで再受験できなくなる
- 「中断」を選べば、同じ科目でシステムを繰り返し使える
- 中断した答案をコピーしてWordに貼り付け、添削に提出する方法もある
アガルートのCBTシステムには「受験完了」と「中断」という2つの終え方があります。
注意すべきは「受験完了」の仕様で、一度押すとその問題をCBTシステム上で解き直すことができません。アガルートも、CBTシステムに慣れる必要がなくなった場合にのみ押すよう案内しています。
ですから、CBT操作の練習台として問題を繰り返し使いたい段階では「中断」を選ぶのが賢明です。中断であれば同じ科目でシステムを再度使えます。
中断のままでも、添削をあきらめる必要はありません。作成した答案をコピーしてWordに貼り付ければ、TENSAKUNに提出できます。「受験完了」を押さずに、その問題を解き直せる状態を残したまま添削を受けられる、というわけです。
正直なところ、この仕様は初見では分かりにくいと感じました。CBT演習が使えるようになったら、まず操作マニュアルを参照しながら練習問題でシステムの挙動を確かめることをおすすめします。
無料の体験版だけでは足りない?
ここまで読んで、こんな疑問を持ったかもしれません。「法務省が無料のCBT体験版を公開しているのだから、それで操作に慣れれば十分では?」という疑問です。
確かにもっともな指摘でしょう。法務省は司法試験等CBTシステムの体験版を公開しており、操作マニュアルも用意されています。
しかもこの体験版には令和2年から令和7年までの本試験問題(予備試験は論文式のみ)が収められていて、本番同様のシステムで実際に答案を作成する練習まで無料でできるのです。
操作の確認だけでなく過去問演習の場にもなるので、受験生であれば必ず触っておくべきもの。この点は私も強調しておきます。
そのうえで指摘したいのは、体験版とアガルートのCBT演習は役割が完全には重なっていないということ。なぜそう言えるのかというと、体験版で触れられるのは過去の本試験問題のみであり、そこに解説や添削は付いていないからです。
対してアガルートのCBT演習では、重要問題習得講座や予備試験論文過去問解析講座といった講座教材の問題を、基礎から実戦まで体系立てて本番に近い環境で解いていきます。しかも、書いた答案はプロ講師に添削してもらうことが可能です。
「本番の操作に慣れる」ことと「講師の指導のもとで答案演習を積み重ねる」ことは、似ているようで実は全く異なっています。
無料の体験版で操作と過去問演習の全体像を掴み、講座のCBT演習で教材に沿った実戦経験と講師添削を重ねる。両者は競合するものではなく、こうした補完関係で捉えるのが良いでしょう。
この記事のまとめ
最後に、この記事の要点を振り返ります。
- 令和8年から司法試験は短答式・論文式の両方、予備試験は論文式のみがCBT化される
- アガルートは、法務省CBTシステムの開発会社からシステム提供を受け、独自の演習環境を用意している
- 論文式の演習は本番同様のタイマー・法文検索・エディタ機能を備え、時間無制限での推敲もできる
- 作成した答案はPDF出力し、カリキュラムに含まれる添削(TENSAKUN)でプロ講師に見てもらえる
- CBT演習は講座ごとに定めた公開日に順次開放される。「受験完了」ボタンの仕様には注意が必要
- 法務省の無料体験版でも過去問演習はできるが、講座のCBT演習は教材に沿った演習と講師添削まで含む
「書く」から「打つ」への転換は、司法試験の長い歴史の中でも大きな変化です。しかし、変化は準備した人にとってチャンスにもなります。
多くの受験生が不安を抱えたまま本番を迎えるなかで、本番に近い環境で答案演習を重ねてきた人は、当日も落ち着いて画面に向かい、法的思考に集中できるはずです。
アガルートの演習環境は、そのための土台として十分に作り込まれていると私は評価しています。あなたのニーズや学習計画に沿うものかどうかを詳しく知りたい場合は、ぜひ資料請求や受講相談で確認してみてください。


