「スタディングだけで予備試験に受かった人は、本当にいるのか」。受講を検討する中で、そんな疑問にぶつかっていませんか。
安さは確かに魅力です。それでも、合格率が数%の試験に低価格の講座一本で斬り込む決断は、そう簡単にできるものではありません。
この疑問を抱えたまま申し込むのも、根拠なく諦めるのも、どちらも後悔のもとです。判断材料として何より役立つのは、実際に合格した人の記録でしょう。
私はスタディングの合格者の声を全件確認し、予備校をスタディングだけに絞って予備試験を突破した実例を見つけました。
そこで今回は、この実例を徹底的に分析します。この記事を読み終える頃には、スタディングを軸にした学習の全体像が見え、どこを参考にし、何を補えばいいのかを自分の言葉で説明できるようになるはずです。
※本記事は2026年8月時点で入手できる情報を基に作成しています。ただし、引用している受講生の評価は受講当時のものであり、現在とは状況が異なる場合があります。
スタディングだけで合格した実例
スタディングの司法試験・予備試験講座には、多くの合格体験記が寄せられています。私はそのうち予備試験の合格者が書いたものを全件チェックしました。
その結果、予備校をスタディングだけに絞って予備試験に合格したとはっきり書いている体験記を1つ発掘できました。2022年の予備試験に一発合格した、フルタイム勤務の「公務員A」さんです。
まず、本人の言葉を見てください。
3つ目の一文が、この記事の出発点です。他の予備校を使わないと決め、浮いた費用を書籍に振り向ける。つまり公務員Aさんは「安く済ませた人」ではなく、お金と時間の配分を自分で設計し直した人なのです。
ただし、誤解のないように先に書いておきます。公務員Aさんの学習は、スタディングだけで完結したわけではありません。市販の基本書や演習書、論証集をかなり読み込んでいます。
つまり「予備校はスタディングだけ」とは、他社の講座・答練・添削といった予備校のサービスを一切足さなかった、という意味です。
では、公務員Aさんがいかにして予備試験に合格したのか。そして講座外で何を補ったのか。順に見ていきます。
スタディングだけで合格した方法

予備試験の関門は、短答式試験と論文式試験、そして口述試験の3つ。
公務員Aさんがこれらの試験にどう対峙したのかを、学習全体を支えたもうひとつの工夫と合わせて、4つに分けて見ていきます。
短答はスキマ時間の反復で固めた
最初の関門である短答式について、公務員Aさんのやり方はきわめてシンプルでした。
- 講義動画を一通り視聴したら、演習中心に切り替える
- 通勤時間と昼休みをスマート問題集の反復に固定する
- 直前期は過去問を紙に印刷して通しで解く
講義を聴き終えることをゴールにせず、早々に演習へ軸足を移しています。上手いのは、通勤時間と昼休みという「毎日必ず発生する時間」に演習を割り当てた点です。
やる気に頼らず時間割に組み込んでしまえば、反復は勝手に積み上がっていきます。スマホで1問から解けるスマート問題集は、この使い方と相性が良い教材でした。
私がなるほどと感じたのは、直前期に過去問を紙へ印刷して解いているところです。ふだんはスマホの一問一答で細かく回し、仕上げは紙でまとまった分量を通す。媒体を固定せず、時期と目的で使い分けているのです。
画面の中だけで学習を完結させないこの柔軟さは、オンライン講座を使ううえで覚えておきたい感覚だと思います。
結果も並外れていました。令和4年(2022年)の短答式における200点超という成績は、法務省が公表する得点別の集計を見ると、受験者の1%ほどしか届いていない水準です。合格に必要な点を大きく上回っています。
参考【法務省】令和4年司法試験予備試験短答式試験の結果(PDF)
市販の基本書で講義の足りない部分は補っていますが、短答式については、講座の演習を徹底して回したことが最上位圏まで押し上げたと見ていいでしょう。
論文は自分で書いて自分で採点した
最大の関門である論文式で、公務員Aさんは予備校の添削を使わないという、思い切った選択をしています。
- 論文の過去問を各年度1~3回、最後まで書き切る
- 司法試験の採点実感を読み込み、採点者の目線を手に入れる
- 書いた答案は自分で推敲して粗を潰す
添削という仕組みを分解すると、役割は2つあります。採点者が何を評価するのかを知ること。そして、自分の答案の欠点を指摘してもらうこと。公務員Aさんは前者を「採点実感」の読み込みで、後者を自分の手による推敲で置き換えました。
ここで注目したいのは、読んでいたのが司法試験の採点実感だという点です。
実は、予備試験について法務省が公表している論文式の資料は「出題の趣旨」までで、どのような答案がどう評価されるのかを述べる採点実感は公表されていません。採点実感が公表されているのは司法試験のほうです。
つまり公務員Aさんは、予備試験側にない資料を、その先の司法試験から取りに行ったことになります。私はこれを根性論ではなく、公開情報の偏りを突いた巧みな情報収集だと受け止めました。
忘れてはならない前提が2つあります。ひとつは、過去問を各年度1~3回もフルで起案するという圧倒的な「書く量」。読むだけでは成立せず、書いたものを採点基準に照らして直す往復があって、はじめて機能する方法です。
もうひとつは当時の事情で、公務員Aさんが受講していた頃のスタディングの論文対策講座には、そもそも添削サービスが付いていませんでした。講座の外で添削を買うか、自力で賄うか。公務員Aさんは後者を選び、その分の費用も書籍に回したわけです。
- 「これだけでも本番で論文270点を超えることができましたので、不安に駆られて予備校に課金する必要はないと思います。」 【引用元】
令和4年の論文式において、この点数は合格ラインを一定の余裕をもって上回る水準です。ただし短答式のような突出ではなく、同じ水準に届いた合格者は少なくありません。
私はむしろ、そこにこの話の価値があると考えています。天才的な答案センスの証明ではなく、「添削の機能は工夫すれば代替できる」ことの証明として読めるからです。
口述は協力者を確保して臨んだ
最後の関門である口述試験だけは、公務員Aさんも1人では完結させていません。
- 基本書を読む方針は最後まで変えない
- 毎日、配偶者に試験官役を頼んで口頭で答える
- スタディングの判例系講座で実体法を見返す
口述試験は、試験官から口頭で問われ、口頭で答える対面の試験です。書く練習の延長では準備しきれず、声に出して即座に答える訓練には相手が要ります。
公務員Aさんの答えは、配偶者に試験官役を頼むことでした。費用はかからず、毎日できて、相手が法律の専門家である必要もありません。
地味ですが、試験の性質を正確に捉えた見事な解決だと思います。もし頼める相手が身近にいるなら、これほど再現しやすい工夫はないでしょう。
正直な記述にも注目してください。正確に覚え込んだ要件事実や条文の細部は、本番では役に立たなかったと本人が認めています。それでも合格ラインをわずかに上回って踏みとどまれたのは、直前の暗記ではなく、それまでに積み上げた基礎が支えたからでしょう。
なお、口述試験の時期にスタディングの教材へ立ち返るのは、公務員Aさんだけではありません。別の合格者も、次のように書いています。
- 「スタディングは最初のインプット教材として利用するのみだと思っていました。」「しかし、論文試験の合格発表後、口述試験までの間に実体法の知識を網羅的に確認するのに非常に役立ちました。」 【引用元】
口述試験に特化した講座はないものの、手元の教材を知識の最終確認に使う道は開かれています。
途中に小さな目標を置いた
3つの関門とは別に、私がこの体験記で最も応用が利くと感じた工夫があります。
- 勉強開始から数か月で法学検定の上級コースに挑戦する
- 手応えを確かめてから、論文対策へ本格移行する
- 仕事が忙しいときは無理をしないと決めておく
講座を1つに絞った学習でつまずきやすいのは、自分の現在地を外から測る機会が乏しいことです。予備校の答練や模試のように、大勢の受験生の中での位置を突きつけてくれる場は、自分で探しに行かないかぎり訪れません。
公務員Aさんの場合、その物差しになったのが法学検定でした。法学検定は、日弁連法務研究財団と商事法務研究会が共同で組織する委員会が実施する検定試験で、上級コースの合格率は3割弱にとどまる、歯応えのある試験です。
予備試験よりずっと手前にあり、受験料は1万円かかりません。ここで上位合格という結果を得たことが、論文対策へ踏み出す自信になったと本人は書いています。
学習の途中に安価な中間試験を置いて現在地を測る。関連する検定がある分野なら、この設計はそのまま応用できます。
もうひとつ、仕事が忙しいときは無理をしないという運用も見逃せません。数年がかりになり得る試験では、途中で折れたら終わりです。
飛ばす日があることを最初から織り込んでおく。モチベーションの高さではなく、折れない設計で完走したところも、働きながら挑む人には響くのではないでしょうか。
何を補えばいいのか

実例をたどると、講座に任せきりにできない部分が3つ浮かび上がります。書籍、答案の評価、そしてコースに含まれない科目。順に整理します。
理解を深めるための書籍
スタディングの教材は、試験で問われる基礎に的を絞る設計です。そこから外れた知識をどこで拾うかが、最初の論点になります。
- 全体の骨格と学習の順番はスタディングで作る
- 疑問点は書籍で解決し、わからないままにしない
- 1冊に決め打ちせず、複数の本を行き来する
基礎を絞り込む講座と、各分野2~3冊の通読。一見すると正反対の組み合わせですが、役割分担と考えれば筋が通ります。
何をどの順で学ぶかは講座に任せ、一つひとつの理解を掘り下げるところで書籍を使う。入門書の代わりに基礎講座を使ったという別の合格者の言葉が、この関係をよく言い表しています。
- 「予備試験独学にあたり、入門書を読む代わりに基礎講座を受講しました。」「その後スムーズに基本書等を読むことにつながったので受講してよかったです。」 【引用元】
また、知識の深さではなく演習の量を書籍で足した、さらに別の合格者もいます。
- 「なお、もう少し問題の量をこなしたかったので、受講後に市販の問題集等で補完をしました。」 【引用元】
何をどれだけ補うかは人それぞれですが、絞り込まれた講座を選ぶことは、補い方を自分で決める自由を手に入れることでもあります。公務員Aさんの場合は、他の予備校に支払わずに済んだ費用をそのまま書籍に回すという、思い切った配分でした。
そして、この学習全体を貫いていた原則が、本人が合格の決め手として挙げた言葉に表れています。
- 「とにかくわからないことはそのままにしない、論証も納得がいくまで吟味して使う、暗記しただけのものを貼り付けない、といった点を強く意識して勉強したのが社会人短期一発合格の決め手になったと思います。」 【引用元】
本を増やすことが目的なのではなく、疑問を残さないための手段として本がある。この優先順位を取り違えなければ、講座が扱わない範囲は書籍で埋められます。
答案を評価してもらう手段
書いた答案をどう評価してもらうか。ここは受講を決める前に考えておきたいところです。
- 自分で採点基準を読み込み、推敲する(公務員Aさんの方法)
- 講座内のAI添削を使う(現在の総合コースに付属)
- 他校の答練・模試を単発で足す
この論点については、公務員Aさん以外の合格者たちの言葉が参考になります。次の2つの引用は、それぞれ別の合格者によるものです。
講座を視聴するだけでは論文は書けるようにならない。合格した本人たちがここまで率直に認めているのは、かえって信頼できる材料でしょう。問題は、書いた答案の評価をどこから得るかです。
公務員Aさんの「採点実感と自己推敲」という方法は、費用がかからない代わりに、公的な資料を読み解いて自分の答案へ厳しく赤を入れる根気を要求します。誰にでも合うとは言えません。
合わないと感じるなら、引用にあるように、他校の直前答練や模試だけを単発で足す道もあります。他の予備校をひとつも使わないことにこだわる必要はなく、それでも十分に「スタディング中心」の設計です。
そして現在は、公務員Aさんの頃にはなかった選択肢が講座の中にあります。2025年11月、論文対策講座・予備実践編に生成AIによる答案添削が導入されました。答案を提出すると生成AIが分析し、評価と具体的な書き直し案を数分のうちに返してくる仕組みです。
参考【スタディング公式】司法試験・予備試験講座 生成AIを活用し最難関試験の論文で本格的な答案添削を開始
スタディング自身、人による添削の品質のばらつきや返却の遅れ、費用の高さを課題として挙げたうえで、AIによる置き換えを打ち出しています。
公務員Aさんが添削に対して抱いた「質や費用対効果」への抵抗感と、ほぼ同じ問題意識といえるでしょう。2022年の合格者が自力で埋めた穴の一部は、いまや講座の内側にあるのです。
ひとつ注意点があります。人による添削は、現在も予備試験合格コース(総合)には含まれていません。学習Q&Aサービスも質問への回答サービスであって、論文答案の添削は対象外です。人の目による添削にこだわるなら、外部の答練を組み合わせる前提で計画を立ててください。
選択科目と一般教養科目
総合コースの範囲外にある科目を知っておくことも、準備のうちです。
- 論文式の選択科目:対策講座はコースに含まれない(単科講座は一部科目のみ)
- 短答式の一般教養科目:対策講座はなく、自己学習の扱い
予備試験の論文式には、法律基本7科目と法律実務基礎科目に加えて、8科目から1つを選ぶ選択科目があります。ところが、スタディングの総合コースに選択科目の対策は含まれておらず、単科の選択科目講座も労働法と倒産法の2つだけ。
それ以外の科目を選ぶなら、市販教材などによる自前の対策が欠かせません。実際、公務員Aさんとは別の合格者に、この部分を講座外で補ったと書いている人がいます。
- 「論文演習、選択科目、口述対策では他社のテキスト、サービスも使用していました。」 【引用元】
正直に書くと、公務員Aさんの体験記には選択科目への言及がありません。この部分だけは、実例から学べることがないのです。だからこそ、あなたが計画を立てるときは、選択科目を「あとで考える」枠にせず、最初から補完リストに入れておくことをおすすめします。
一般教養科目については、スタディングの割り切りが明快です。対策講座は用意していません。法律科目で8割以上得点できれば一般教養が0点でも短答式の合格点を超えられる、ほとんどの受験生は特に対策をしていない、と説明しています。
この割り切りに乗るかどうかは考え方が分かれるところですが、少なくとも「対策講座がないから不利になる」と過度に恐れる必要はないでしょう。
「1人だけなら例外では?」

ここまで読んで、こう感じた方もいるはずです。実例が1人だけなら、それは例外なのではないか、と。もっともな疑問ですし、半分は正しいと私も思います。
公務員Aさんの条件が恵まれていたことは、認めなければフェアではありません。短答式の得点は受験者の1%ほどしか届かない水準でしたし、公務員として職務を通じて法律に触れ、人文系の書籍を読み慣れてもいました。
学習開始から数か月で合格率3割弱の検定に上位合格する立ち上がりの速さも、誰にでもあるものではないでしょう。
それでも「例外だから参考にならない」とは、私は考えていません。理由は3つあります。
第一に、「1人」というのは、他の予備校を使っていないとはっきり書いた人が1人という意味です。公式の合格者インタビューには、予備試験の対策で他の予備校を使ったとは書かず、スタディング中心の学習で合格したと語る人が他にいます。
たとえば、40代・子育て中の会社員として、3年目に予備試験へ合格したY.Nさん。「私は基本書や判例集はほとんど使わず、スタディング中心の学習でちゃんと合格できたので、基礎を固めることはすごく大事だと思います。」と振り返りました。
参考【スタディング公式】予備試験合格者インタビュー(Y.N様)
苦手だった行政法は「最終合格できた2023年ですら30点中の17〜18点」だったとも明かしており、すべての科目を得意にしなくても合格に届くことを示す実例でもあります。
第二に、この2人がたどった道はほとんど正反対です。
- 公務員Aさんは一発合格で短答式の得点が突出。Y.Nさんは3年かけて苦手科目を抱えたまま合格
- 公務員Aさんは学者本を各分野2~3冊読み込んだ。Y.Nさんは基本書をほとんど使わなかった
それでも、スタディングを軸に置き、演習を自分で回す点は共通しています。正反対の2人が同じ講座で合格しているのなら、この道筋を才能のある人専用と見るのは無理があるでしょう。
第三に、この実例から受け取るべきものは、得点そのものではなく、そこに至るやり方だからです。得点は真似のしようがありませんが、やり方なら真似できます。ここまで見てきた工夫のうち、誰にでも同じようにできるものを書き出すと4つになります。
- 講座は基礎固めと反復の土台と割り切る
- 採点者の目線を示す資料を自分で探しに行く
- わからないことを放置しない
- 講座外の試験で自分の現在地を測る
いずれも生まれ持った能力を要求しません。あとは順番に手をつけていくだけです。
しかも、公務員Aさんが講座外に求めるしかなかった答案の評価や疑問の解消は、いまはAI添削や学習Q&Aサービスなどとして講座に備わっています。条件は2022年より良くなっているのです。
スタディングだけで合格したのが1人しかいないから無理だ、と決めつけてしまうのは、この実例の最ももったいない読み方だと私は思います。
この記事のまとめ

最後に、この記事の内容を振り返ります。
- 予備校をスタディングだけに絞り、フルタイム勤務の公務員が一発合格した実例が1件ある
- 短答式は、スマート問題集の反復で上位1%ほどの得点に届いた
- 論文式は、司法試験の採点実感を読み込み、添削を受けずに自分で推敲した
- 口述試験は、配偶者に試験官役を頼んで毎日練習した
- 理解の深掘りは市販の書籍が担い、法学検定で途中の実力を確かめた
私がこの実例から受け取ったのは、「安い講座でも我慢すれば何とかなる」という精神論ではありませんでした。何にお金と時間を配るかを自分で決め、その中心にスタディングを据える。最難関を突破した人が実際に採った、具体的な戦術です。
まずは無料講座で、講義と問題演習の手触りを確かめてみてください。あなたが「予備校はスタディングだけ」の条件を満たす合格者の新しい1人になる日を、心から願っています。


