アガルートで司法試験・予備試験の合格を目指そうと考えたとき、「実際のところ、合格までにどんな順番で、どれくらいの時間をかけて勉強を進めるのだろう」という疑問が浮かびませんか。
公式のカリキュラムを眺めても、一日単位・一年単位で自分がどう動けばいいのか、具体的なイメージは掴みづらいものです。
この見通しの立たなさは、学習を始める前の大きな不安の種になります。ペース配分を誤れば、限られた時間を空回りさせてしまうかもしれません。
そこで今回は、アガルートを受講して予備試験と司法試験に合格した50人の体験記を読み込み、彼らが実際にたどった学習スケジュールを時期ごとに整理しました。
合格者が「いつ・何を・どのくらい」進めていたのかが具体的に見えれば、自分に合った計画を描く手がかりになります。ぜひ最後まで目を通してみてください。
※本記事は2026年7月時点で入手できる情報を基に作成しています。ただし、引用している受講生の評価は受講当時のものであり、現在とは状況が異なる場合があります。
合格者が経験したスケジュールの全体像

個々の時期の話に入る前に、まずは予備試験から司法試験までの道のりを俯瞰しておきます(本記事では法科大学院ルートではなく予備試験ルートを基本的な想定としています)。
| 時期の目安 | 段階 | この時期の中心 |
|---|---|---|
| 学習開始~数か月 | 予備試験の 基礎インプット | 総合講義で法律7科目を 一気に学ぶ |
| 基礎固めの後 | 予備試験の 論文対策 | 重要問題習得講座を 反復してアウトプット |
| 直前期 | 予備試験の 短答対策と過去問 | 短答過去問・論文過去問で 仕上げ |
| 予備試験(夏~翌冬) | 予備試験の 受験 | 短答式→論文式→口述式を 順に通過 |
| 予備試験合格後の約5か月 | 司法試験の 仕上げ | 司法試験の過去問で 本番形式に慣れる |
| 予備試験合格の年の夏 | 司法試験の 受験 | 論文式・短答式 |
全体の地図を頭に入れておくと、このあとの細かな話が「今どのあたりの話なのか」を見失わずに読めるはずです。
道のりは二段構え
まず押さえておきたいのは、道のりが二段構えになっていることです。
予備試験に合格すると司法試験の受験資格が得られ、その資格で司法試験に挑みます。つまり予備試験こそが最初の、そして最大の関門です。
なお、予備試験の最終合格が分かるのは冬の終わり頃で、司法試験はその年の夏に行われます。予備試験合格後に司法試験だけを見据えて対策できる期間は、実質5か月ほどしかありません。
予備試験合格までの期間
予備試験合格までにどれくらいの期間がかかるのでしょうか。アガルートが公式に示す目安は、学生でおよそ2年から2年半、働きながらの社会人ではおよそ3年から3年半です。
必要な勉強時間はおおむね3000時間以上とされ、決して短い道のりではありません。
後述する50人の体験記においても、1年ほどで一発合格する大学生がいる一方、数年をかけて合格する社会人も少なくなく、かけた期間には大きな幅がありました。
参考【アガルート公式】予備試験合格に必要な勉強時間は?何年かかる?短答・論文・口述の配分も解説
予備試験対策は司法試験の土台
もう一つ、全体像として知っておくと安心できることがあります。予備試験でも司法試験でも使う教材と基本の進め方は共通で、予備試験で身につけたものがそのまま司法試験に生きるということです。
予備試験では、総合講義で知識をインプットし、重要問題習得講座でアウトプットを反復し、過去問で実戦力を固め、仕上げに答練で予想問題にあたります。この一連の流れをやりきって基礎を築いておけば、司法試験でゼロから積み直す必要はありません。
予備試験で使い込んだ教材と手順を土台に、あとは司法試験の過去問で本番の形式に慣れていく。司法試験対策の時期は、新しい知識を詰め込むというより、この仕上げが中心になります。
ここから先は、この全体像を各段階に分けて、合格者の生の声とともに詳しく見ていきましょう。
予備試験対策のスケジュール

このセクションでは、予備試験合格までの道のりを、学習開始・論文対策・短答対策・直前期という時系列で追い、最後に学習期間と一日の勉強時間の全体像を見ていきます。
合格者が各時期に何を優先していたのかを、体験記から具体的に拾い上げてみましょう。
学習開始から基礎インプットまで
アガルートでの学習のスタートは、総合講義300で法律7科目の知識をインプットするところから始まります。合格者はこの時期をどう走り抜けたのか。彼らの声を見ていきましょう。
- 「2024年1月に勉強を始め、8月ごろに総合講義+重要問題習得講座の回答・動画視聴を1周終えた。」 【引用元】
- 「9月の終わり頃にアガルートから教材が届き、勉強がスタートしました。……総合講義1周目部分→重問1周目という順番で基本7科目を2月中に終え、3月中に選択科目、実務基礎科目を一通り終えました。」 【引用元】
- 「常にスケジュールより先行することを意識しながら、通勤の電車中等隙間時間さえあれば講義を4倍速で受講しました。その結果、2025年1月までにインプットを一通り終えることができました。」 【引用元】
- 「予備試験まで残り半年になるまでインプットを終了させようと意識していました。」 【引用元】
- 「まず全体像を掴むために2倍速で1周視聴しました。初学者の段階では不明点も多かったものの、まずは講義を聞き切ることを優先しました。」 【引用元】
- 「インプットだけの期間をとにかく短くしようと決めていたので、倍速で講座を視聴し、短期集中で知識を詰め込んだ」 【引用元】
- 「1周目部分は1.5倍速~3倍速で法律用語と条文、論点の所在のみ最低限把握するように努め、具体的な理解は問題演習を通して深める」 【引用元】
- 「復習はせず、分からなくてもどんどん進め、アウトプットで分からなかったときに戻る教材として使用」 【引用元】
- 「総合講義は、聞いていて理解できない箇所は多々ありましたが、簡単に印をつけて、とにかく先に進むことを心掛けました。」 【引用元】
- 「1周目で各法律の概観を掴み、2・3周目で論点についての理解を深めることができるという構造が非常に優れている」 【引用元】
これらの合格者の体験からは次のことが読み取れます。まず、開始時期は人それぞれではあるものの、取り上げた合格者の多くが「数か月のうちに7科目を一周する」という共通のゴールを最初に置いていました。
つまり、合格者は1月に始めて夏には一周、あるいは秋に教材が届いて年明けには一周と、区切りの時期を先に決めているのです。だらだらとインプットを続けるのではなく、「いつまでに終える」という締め切りを自分に課しているところが印象に残ります。
そして、締め切りを守るために合格者がとった手段はほぼ共通しています。具体的には、倍速機能を使い、分からないところは飛ばして、とにかく聞き切ることを優先するということ。
総合講義300はテキストを2周する構成になっていて、1周目で全体像を掴み、2周目以降で論点の理解を深める設計です。だからこそ「1周目から完璧に理解しようとしない」という割り切りが欠かせません。最初の一周で立ち止まってしまうと、この膨大な範囲は終わらないんです。
この時期の目標は「理解」ではなく「通過」だと考えると気が楽になります。分からなさを抱えたまま前に進み、後の問題演習で振り返って埋めていく。この順番を最初から知っておけるかどうかで、スタートダッシュの速さはずいぶん変わってくるでしょう。
論文対策への移行と問題演習
インプットが一巡したら、いよいよ論文を書く練習へと移ります。予備試験は論文式が天王山と言われるだけに、ここにどれだけ早く、どれだけ深く入り込めるかが勝負を分けるでしょう。
- 「講義が進んできた段階で短答の過去問と論文の書き方講座をやり始めた。……論文は書き方講座を終わった後は重要問題習得講座に取り掛かった。そして重要問題が進むんだ段階で、論文過去問を解き始めた。」 【引用元】
- 「インプットだけの期間は早々に終わらせ、アウトプットとして論文を書くことをとにかく怠らないよう気を付けて勉強していきました。」 【引用元】
- 「インプットからアウトプット型の学習に早い段階で移行することができ、短期合格につながった」 【引用元】
- 「この講座を足掛かりにして、重要問題習得講座へステップアップ」 【引用元】
- 「学習の初期段階では完璧主義に陥らずに、とりあえず実際にたくさん答案を起案して採点してもらい、どのように書けば点数が取れるのかの感覚をつかむことが大切です!」 【引用元】
- 「その後、1月ごろまでひたすら重問を周回し、分かる問題は飛ばしながら全科目7-8周はした。」 【引用元】
- 「1週目は答えを読み、2週目以降は答案構成のみひたすらやっていました。4周目くらいの時点で、重要問題集の問題ならかなり形にできるようになりました。」 【引用元】
- 「論文試験までには少ない科目でも3周、多い科目では5周した。」 【引用元】
- 「各科目10周程度、繰り返し使用していました。」 【引用元】
- 「問題を見た瞬間に答案構成が浮かぶぐらいまで反復」 【引用元】
- 「私が重問をフルで起案したのは添削対象となっている問題だけで、後の問題は時間を決めて答案構成をしていました。」 【引用元】
- 「論文の勉強の大部分は、重問を周回する時間でした。科目にもよりますが、3周から5周は回し、最終的には1日に1冊ペースで復習して思い出せるようになりました。」 【引用元】
論文対策の流れを、合格者は実にきれいに言語化してくれています。論文答案の「書き方」で答案の型を身につけ、そこから重要問題習得講座(受講生が「重問」と呼ぶ問題集)へ進み、さらに論文過去問へ。この階段を一段ずつ上がっていくのが基本形です。
特に印象的なのは、複数の合格者が「インプットを早く切り上げてアウトプットに移れたことが短期合格につながった」と振り返っている点でした。知識を完璧にしてから書き始めるのではなく、書きながら知識を固めていくという順番なのです。
重問の使い方にも、はっきりした共通点があります。1周目は解答を読んで流れを掴み、2周目以降は答案構成だけをひたすら回す。実際に答案を最後まで書き切る「フル起案」は添削対象の問題などに絞り、残りは頭の中で構成を組み立てて答え合わせをする。
この方法なら、限られた時間で何周も反復できます。周回数は3周から10周まで人によって異なりますが、「問題を見た瞬間に答案構成が浮かぶ」水準を目指す点は共通していました。
ここで一つ補足すると、「重問」は解答例で答案の型を確認しながら反復できる教材で、繰り返せば繰り返すほど論点への反応が速くなります。
私が思うに、この段階で大切なのは「一問を完璧に」ではなく「全問を何度も」という発想です。答案構成での高速周回は、まさにその発想を形にした学習法だと言えます。
短答対策と過去問演習の時期
論文の力がついてきたら、短答式試験と過去問への取り組みが本格化します。ここは着手のタイミングをめぐって、合格者の判断が分かれる興味深いポイントです。
- 「短答は過去問を本番までに6週終わるように逆算して計画をたてた。」 【引用元】
- 「1月からは短答・論文過去問を開始し、短答は3ヶ月かけて1周し終えた。短答に割く時間は7月が近づくにつれて増やしたが、毎日論文の時間も取るように心がけた。」 【引用元】
- 「短答式試験の1ヶ月前からは勉強時間の9割を短答対策に費やした。」 【引用元】
- 「3月頃から一気に短答の勉強の比重を上げて進めていきましたが、実際には5月頃からでも十分間に合うように感じました」 【引用元】
- 「2月中旬から短答の過去問も解き始め、4月中に1周目、5月中に2周目を終えました。……7月中旬の短答本番までに3周目を終えました。」 【引用元】
- 「大学3年の春から短答問題をみっちりやったことで、短答試験終了後に再び論文問題を解くと、以前よりも問題が解けるようになっており、重問の進みも確実に早くなった。」 【引用元】
短答対策の始め方には、大きく二つのタイプが見られました。一つは本番から逆算して「何周する」と決め、通年でコツコツ進める計画型。もう一つは論文を中心に据えつつ、直前の数か月で短答の比重を一気に上げる集中型です。
短答1か月前に勉強の9割を短答へ振り向けた人もいれば、「5月頃からでも十分間に合った」と振り返る人もいて、必要な期間の感覚には個人差があります。ただ共通して言えるのは、短答過去問は本番までに3周から6周ほど回している、ということでした。
一方で、私が見過ごせないと感じたのは、着手の遅れを反省する声がいくつもあったことです。「過去問に着手するのが遅れた」「短答後に解こうと温存しすぎた」という後悔は、成功した合格者だからこそ語れる貴重な教訓と言えるでしょう。
とりわけ短答式については、「1回目の受験の方は早めに」という助言が印象に残りました。論文に気を取られて短答を軽く見ると、足元をすくわれかねないということでしょう。
過去問そのものについても、「早めに触れておくべきだった」という声が目立ちました。
過去問は過去の本試験がそのまま姿を現す最良の教材です。実力が完成してから解くものと身構えず、学習の道具として早い段階から使い始める。この姿勢が、遠回りを避ける鍵になりそうです。
参考【アガルート公式】司法試験・予備試験の短答式試験勉強法&対策まとめ
予備試験直前期の過ごし方
試験が目前に迫った直前期は、それまでの勉強とは頭の使い方を切り替える時期です。合格者はこの大切な期間を、どう過ごしていたのでしょうか。
- 「論文の直前期は、新しい知識を入れるという事はほとんどせず、今までに使用してきた教材を淡々と復習していました。特に論証集は重点的に確認しました。」 【引用元】
- 「直前期は、これまでやってきた教材を復習する形で勉強していました。……何か教材を足したりするのはかなり悪手だと思います。」 【引用元】
- 「短答直前期については、……自分の間違えやすい知識や、頻出の知識を確認してピーキングすることに徹した。」 【引用元】
- 「論文直前期については、疲れるためあまり論文は書きすぎず、答案構成や論証の確認でピーキングをした。」 【引用元】
- 「2年目の直前期は、ある程度知識も定着して、アウトプットも十分であったため、一日3~4時間程度しか勉強しておらず、論証集を暗記するのが主な勉強だった。」 【引用元】
- 「短答は、2週間前からは、過去問の中でも、自分が複数回間違えた問題の演習と六法の見直しのみ」 【引用元】
- 「論文は、1週間前までに重問を解き切り、1週間前からは論証の見直しと、苦手な重問の問題のみに集中して、知識の点検に努めました。」 【引用元】
- 「短答式:直前期はとにかく間違った問題を繰り返すことと、条文の素読」 【引用元】
- 「論文式:直前は答案用紙に書いている時間はないため、答案構成→答え確認を繰り返し」 【引用元】
- 「論文直前期は、重要問題習得講座を総まくりすることと、過去問解析講座の参考答案の骨格を復習し、答案イメージを膨らませて」 【引用元】
- 「直前期はとにかく1日1問は過去問を起案して、手書きすることを心がけて実践していた。」 【引用元】
- 「特に条文素読は直前期のみ行っていました。」 【引用元】
直前期の過ごし方について、ここで挙げた声はほぼ一つの結論に収斂していました。それは「新しい教材に手を出さない」ということです。
ある合格者は「何か教材を足すのはかなり悪手」とまで言い切っています。この時期に新しいものを始めても消化しきれず、かえって不安を増やすだけだからでしょう。すでに使い込んだ教材を淡々と反復し、知識の穴を点検する。地味ですが、これが直前期の王道です。
具体的な中身は、短答と論文で自然と役割が分かれます。
短答直前は、間違えた過去問の繰り返しと条文の素読が中心。論文直前は、論証集の見直しと答案構成が中心で、体力を消耗するフル起案は絞る。試験当日に知識と感覚がピークに来るように調整する、いわゆる「ピーキング」の発想です。
ここで少し勇気づけられる声もありました。2年目に臨んだある合格者は、直前期はすでに実力が仕上がっていたため一日3~4時間ほどの勉強に留めていた、と書いています。
つまり、直前期だからといって、必ずしも睡眠を削って机にかじりつく必要はないのです。むしろ、それまでの積み上げがあれば、直前期は落ち着いて調整に徹する時間になります。
参考【アガルート公式】司法試験・予備試験 直前期の短答勉強法
学習期間と一日の勉強時間
最後に、時期を貫く枠組みとして、合格までの期間と一日の勉強時間を見ておきます。ここは属性によって大きく違うところなので、自分に近い立場の声を探しながら読んでみてください。
- 「1年間で最終合格までを目標にしていました。論文式試験が天王山と聞いていたので、論文式試験の勉強を中心にしていました。」 【引用元】
- 「1年と少しという短い期間で予備試験に一発合格できた」 【引用元】
- 「結果として、1年目に短答試験を通過し、2年目に論文・口述試験を突破して最終合格を勝ち取ることができました。」 【引用元】
- 「仕事をフルタイムでこなしながらの学習だったため、平日は5時間以上、休日は12時間以上勉強して、2年以内に予備試験に受かると決めて勉強を始めた。」 【引用元】
- 「私は社会人受験生だったため、なかなか勉強時間がなく(週20〜30時間程度)」 【引用元】
- 「平日日中は仕事のため、机に座って勉強できるのは朝か夜だけです。……往復2時間の通勤時間をフル活用していました。」 【引用元】
- 「主に勉強時間を確保できたのは仕事の合間か、深夜(23時〜2時)でした。」 【引用元】
- 「勉強を始める前にどの教材がどれだけの量あるのか……を洗い出し、試験日から逆算して1日当たりの勉強量を決めて」 【引用元】
- 「1日12時間を目標に勉強していました。……論文試験までの平均勉強時間はちょうど10時間、総勉強時間は3950時間でした。」 【引用元】
- 「年間計画を立てて、月を4つ(1週間ずつ)のブロックに分け、そこに何をやるべきかを決めて、それを淡々とこなして」 【引用元】
- 「短答まで9か月、論文まで11か月という中、限られた時間を効率的に使う必要があると考えました。」 【引用元】
- 「予備校で教わることを素直に受け入れ、決して我流に走らずに正しい方向性で勉強することができれば、1年でも十分合格可能な試験だと思います。」 【引用元】
「学習期間」について、ここで取り上げた合格者では大きく二つのパターンが見えました。
一つは1年または1年プラスアルファで一発合格を狙うパターンで、比較的時間を取りやすい大学生や専業の受験生に見られます。
もう一つは1年目に短答式を通過し、2年目以降に論文式・口述式を突破していくパターンです。働きながら学ぶ社会人には複数年をかける人も少なくありません。
なお、アガルートが公式に示す目安では、学生で2年から2年半、社会人で3年から3年半とされています。自分がどちらの状況に近いかで、必要な期間の見積もりは変わってきます。
参考【アガルート公式】予備試験合格に必要な勉強時間は?何年かかる?短答・論文・口述の配分も解説
「一日の勉強時間」は、立場によってまるで違います。専業に近い人は1日8時間から12時間を確保する一方、社会人は平日の数時間に休日をあて、通勤の往復2時間や深夜の時間まで使って積み上げていました。
ここで大事なのは、時間の絶対量そのものよりも、限られた時間を試験日から逆算して配分している点です。
総学習時間の目安が3000時間以上と言われる中で、教材の量を洗い出し、年間計画を月や週に落とし込んでいく。そうした設計の緻密さが、多忙な社会人でも合格を勝ち取る支えになっていました。
私が心に留めておきたいと感じたのは、「我流に走らず、正しい方向性で進めれば1年でも十分合格可能」という声です。
予備試験は合格率の低い難関試験ですが、その難しさは「量」だけでなく「進め方」にもあります。逆に言えば、正しい順序と計画さえ持てれば、可処分時間が限られていても道は開ける。数字の大きさに気後れするより、自分の時間割をどう組むかに目を向けたいところです。
司法試験対策のスケジュール

予備試験に合格すれば、次の舞台はいよいよ司法試験です。ここからは「予備試験合格後、司法試験までの約5か月」を、合格者がどう過ごしたのかを時系列で見ていきます。予備試験で築いた土台をどう司法試験へつなげるかが、このセクションのテーマです。
予備試験合格後の切り替え
予備試験に合格した人は、司法試験に向けて何から手をつけたのでしょうか。彼らの発想とテクニックに注目してみましょう。
- 「私は予備試験に合格していたため、基礎的な知識はすでに身についていると判断し、新たな基本書を読むことはしませんでした。その代わり、過去問演習を学習の中心に据え、繰り返し解くことに専念」 【引用元】
- 「私は予備試験合格後は、司法試験の過去問、苦手な科目の重問(重要問題習得講座のテキスト)、論証集を読むなどの勉強を行いました。この中でももっとも時間を割いたのが過去問」 【引用元】
- 「予備試験合格後もアガルートを利用しましたが、その際には、司法試験の性質上、より深い理解を目指して勉強することを心がけました。そこで、まずどのレベル、ベクトルでの深い知識がいるのかを把握するために行ったことは、過去問演習講座12年分を回すことでした。」 【引用元】
- 「私は予備試験合格者だったため、司法試験に対する基礎的な力は既に身についている状態でした。そのため、私は予備試験と司法試験で一番異なる点を対策して埋めるということが必要だと感じておりました。」 【引用元】
- 「司法試験の、特に論文式試験の出題形式に慣れるということを最大のテーマとして勉強をして」 【引用元】
ここで取り上げた予備試験合格者の多くは、司法試験対策に入るとき「基礎はもう身についている」という前提に立っていました。そのため、彼らは新しい基本書を一から読み込むより、過去問演習を学習の中心に据えています。
ある合格者は「予備試験と司法試験で一番異なる点を埋めることが必要だと感じた」と述べていて、この見方はとても示唆的です。ゼロから積み直すのではなく、予備試験との「差分」に集中する。これが予備試験合格後の切り替えの核心だと私は受け取りました。
その差分とは何か。ここで挙げた声の多くが口をそろえるのが「出題形式に慣れること」でした。司法試験の論文は問題文も答案も予備試験より長く、複雑です。だからこそ、知識の詰め込みよりも過去問を通じた形式への適応が最大のテーマになります。
予備試験で確立した学習手順を大きく変えず、対象を司法試験の過去問に置き換えて同じように回していく。そうやってスムーズに移行できた人が多く見られました。
ただし、ここには落とし穴もあります。ある受験生は、予備試験合格後に「新しいことに手を出さず、上滑りな答練しかしていなかった」ために精度が下がり、不合格を経験したと正直に明かしています。
基礎があるからと安心して司法試験特有の対策を怠れば、実力はむしろ鈍る。予備試験合格は大きなアドバンテージですが、それにあぐらをかかず、残された数か月で司法試験そのものに正面から取り組むことが欠かせないのだと、この体験記は教えてくれます。
参考【アガルート公式】司法試験合格に必要な勉強時間は?弁護士になるのに何年かかる?
司法試験の過去問演習
司法試験対策の中心は、なんといっても過去問演習です。合格者がどのように過去問と向き合い、予備試験との違いをどう乗り越えたのかを見ていきます。
- 「予備試験に合格した後、初めて司法試験の問題を見たときは、こんな問題を本当に解けるようになるのか、と驚愕したことを覚えています」 【引用元】
- 「司法試験の問題文は予備試験に比べると倍以上あり、論ずべきことや事実の量もその分増えます。そうした中で、何をどう論ずるべきかについて丁寧に解説されており、大変参考になり」 【引用元】
- 「解くことによって8枚・2時間という司法試験の形式に慣れることができ、初見の現場思考問題に対応する力をつけることもできる」 【引用元】
- 「司法試験は、予備試験と比べて問題文が長く、事案も複雑であるうえ、判例の重要性がより高いと感じていました。そこで私は、時間配分の練習と判例の理解を深めることを特に重要視」 【引用元】
- 「まず可能な限りすべての問題を起案することとしていました。実際には、平成18年度から全問題を1周起案し、平成28年度以降の問題はプラス1周起案しました。その後全問題を3周したこととなるように答案構成を行い、司法試験本番を迎える」 【引用元】
- 「私はフルに起案をするのではなく、詳しめの答案構成を1時間程度で作成する……その後は、アガルートの司法試験論文過去問解析講座を使って出題趣旨と採点実感を読み込み」 【引用元】
- 「この中でももっとも時間を割いたのが過去問で、実際に試験時間の2時間を測って問題を解き、その後「司法試験論文過去問解析講座」のテキスト及び講義を使って分析・復習を行いました」 【引用元】
- 「司法試験の過去問は、とにかく最新年度から順に解いていくということをしていきました。」 【引用元】
- 「過去問は一度解くだけでなく、二周することを目標としていました。一周目では問題に慣れることを重視し、二周目ではより精度の高い解答を目指しました。」 【引用元】
- 「過去問はできるだけ時間を計って、一日一通書くことが重要でした。」 【引用元】
- 「時間配分については、答案構成に多くの時間を割いてしまう癖があったため、過去問演習を重ねる中でその点を克服していきました」 【引用元】
- 「ひたすら過去問を時間を測って起案し、自分の書いた答案と出題趣旨や上位答案を見比べて、課題を炙り出し、改善点を言語化する作業を繰り返しました」 【引用元】
司法試験の問題を初めて見たときの「これを本当に解けるようになるのか」という困惑は、予備試験合格者ですら感じる率直な感情です。
問題文は予備試験よりずっと長く、答案は必須科目で1問あたり8頁・2時間という長丁場で、事案も複雑になり、判例の重要性も増します。この壁を越える中心的な手段が過去問演習だという点で、ここで挙げた合格者の声はよく一致していました。
回し方には工夫が見られます。全年度をフルに起案するのは時間的に難しいため、重要な年度や直近数年はしっかり書き切り、残りは答案構成にとどめる。この濃淡のつけ方が現実的です。
そして解いたら必ず、アガルートの司法試験論文過去問解析講座で出題趣旨や採点実感を読み込み、自分の答案と上位答案を見比べて改善点を言葉にする。
ここで挙げた合格者はこうして出題趣旨や採点実感まで読み込むことで、独学では掴みにくい「採点者が何を見ているか」を確認しながら復習していました。
私が特に有効だと感じたのは、「時間を計って一日一通」という習慣です。こうした長文の答案は、頭で分かっていても最後まで書き上げる体力と時間感覚がなければ再現できません。
日常的に時間を計って答案を作成することで、時間配分の癖が直り、答案を仕上げる力そのものが鍛えられていきます。実力者がそろい知識で差がつきにくい司法試験だからこそ、この地道な積み重ねが順位を左右するのでしょう。
なお、本記事で引用した体験記は手書き試験だった当時のものですが、令和8年(2026年)の試験から論文式はパソコン入力のCBT方式に変わりました。これから対策するなら、アガルートのCBT演習なども活用し、入力での答案作成に慣れておくと安心です。
参考【法務省】司法試験及び司法試験予備試験のデジタル化について
予備試験で使った教材の活用と選択科目
司法試験対策では、新しい教材ばかりに頼るわけではありません。予備試験で使い込んだ教材をどう生かし、選択科目や判例にどう対応したのかを見ていきましょう。
- 「学習開始当初から通算して、予備試験合格までに4周程度、そこから司法試験合格までに追加で5周程度、重問を回しました」 【引用元】
- 「令和6年の司法試験予備試験合格後、重問は1周、論証集は5周くらいしたと思います。選択科目については、全年度の過去問の答案構成などを2周したと思います」 【引用元】
- 「過去問で出てきた論点については、必ず重問に立ち返るようにしていました。重問と過去問とで、事案や結論がどのように異なるのかを比較・検討することは、理解を深めるうえで非常に有益」 【引用元】
- 「判例学習については、総合講義に掲載されている判例を一通り見直しました。……判例の射程が問われた場合にも対応できるよう意識して学習」 【引用元】
- 「予備試験合格後、司法試験までの間に、基本的知識の確認と、知識の抜けを少しでも埋めるべく、アガルートアカデミーの重要問題習得講座を受講した。」 【引用元】
- 「その後、司法試験対策として各基本書を読むことにより知識の補充をする際にも、基礎的な土台ができていたことで、素早くインプットをすることができました。」 【引用元】
- 「経済法の過去問についても、とにかく全年度分を解くということを目標に解いていきました。ただ、選択科目は司法試験と予備試験とで問題形式にそこまでの差はないため、他の論文科目に比べると力を入れずに取り組みました。」 【引用元】
- 「判例百選スピード講座を利用して、判例理解の深化に努めたことは司法試験の合格および高順位に繋がった」 【引用元】
- 「最終的に重要問題習得講座を各科目7−10周程度回しました」 【引用元】
- 「重要問題習得講座の答案構成をひたすら繰り返すことで自分の基礎基本の知識を盤石にすることができました。」 【引用元】
司法試験対策というと過去問一色になりそうですが、実際には予備試験で使った教材がここでも主役を張り続けます。
重要問題習得講座を予備試験合格後もさらに何周も重ねたり、過去問で出た論点を必ず重問に戻って確認したり。ある合格者は重問を予備試験合格までに4周、そこから司法試験合格までにさらに5周と、通算で相当な回数を回していました。
使い慣れた教材を軸に据えることで、限られた期間でも知識を安定させられるわけです。
ところで、予備試験との差分として意識されていたのが、判例学習です。
司法試験は判例の重要性がより高いため、総合講義に載っている判例を見直したり、判例百選スピード講座で理解を深めたりして、判例の射程を問われても答えられる状態を目指す。基礎の土台があるぶん、こうした補強のインプットも素早く進められる、という声もありました。
選択科目の扱いも、スケジュールを組むうえで参考になるでしょう。ある合格者は、選択科目は予備試験と司法試験で問題形式にそれほど差がないため、他の科目より力を抜いて取り組んだと述べています。
ただし、これはあくまでその合格者の判断です。司法試験の選択科目は予備試験より試験時間が長く、答案の分量も多いため、決して軽く見てよいわけではありません。
そのうえで、すべてに一律に全力を注ぐより、自分にとって差が出やすいところを見極めて重点を配分する、という発想として受け取るのがよいでしょう。この見極めが、短い司法試験対策期間を効率よく使う鍵になります。
司法試験直前期の過ごし方
予備試験と同じく、司法試験でも直前期の過ごし方が問われます。限られた期間の総仕上げを、合格者はどう組み立てていたのでしょうか。
- 「何回も周回することで、論点とそれに対応する答案の型を頭に入れ、直前期に知識がピークになるように調整しました」 【引用元】
- 「直前期になると行っていたのが論証集を読むをいう勉強です……正確に文章を覚えていなくても論証することができるようになりました」 【引用元】
- 「司法試験直前も総復習として重要問題習得講座の答案構成をおこなっていました。」 【引用元】
- 「論証集の内容が音声で聞けるため、試験直前期などは電車や家事などの隙間時間に音声を流して、論証の暗記に努めました。」 【引用元】
- 「論文については、過去3年分くらいの司法試験の過去問の答案を作成したうえ、論証を忘れないように論証集を見直す程度の勉強で十分ではないかと思います。また、短答については、過去問集を1周する程度で良いと思います」 【引用元】
- 「勉強以外に好きなことや夢中になれることを持つこと、気分転換に遊んでくれる家族や友人と関係を維持すること」 【引用元】
司法試験の直前期も、基本の考え方は予備試験と変わりません。
新しいことを始めるのではなく、重要問題習得講座の答案構成を総復習し、論証集を繰り返して、当日に知識がピークに来るよう調整する。論証集は音声でも学べるため、電車の中や家事の合間に流し聞きして論証を頭に刻んでいた、という声もありました。
予備試験で身につけた反復の習慣が、そのまま司法試験直前期にも生きています。
興味深いのは、予備試験合格者ならではの余裕をにじませる声があったことです。ある合格者は、論文は過去問を数年分書いて論証集を見直す程度、短答は過去問集を1周する程度で十分ではないか、と振り返っています。
もちろんこれは上位で合格した一個人の感覚であって、誰にでも当てはまるわけではありません。それでも、予備試験でしっかり土台を作っておけば、司法試験直前期は落ち着いて仕上げに向かえるという事実は、これから挑む人にとって心強い材料でしょう。
そしてもう一つ、見落とせない声があります。長期戦を乗り切るために「勉強以外に夢中になれることを持ち、家族や友人との関係を保つ」ことを挙げた合格者です。
スケジュールというと勉強時間の配分ばかりに目が行きますが、心身を保つ時間を計画に組み込むことも、実は合格までの大切な設計の一部なのだと気づかされます。
合格者の話は自分にも当てはまるか
ここまで50人の合格者のスケジュールを見てきましたが、「結局これは、合格できた人の話にすぎないのでは」という思いが湧いてくるかもしれません。うまくいかず去っていった人の姿は体験記には残らない、という指摘はもっともです。私もその限界は率直に認めます。
けれども、今回取り上げた50人は、決して一握りの天才ばかりではありませんでした。1年で駆け抜けた大学生もいれば、フルタイムで働きながら2年かけた社会人、一度不合格を味わってから立て直した人、法律をまったく知らないところから始めた初学者もいます。
立場はさまざまなのに、彼らのやり方には驚くほど共通点がありました。総合講義を速く一周し、重要問題習得講座を反復し、過去問で仕上げる。試験日から逆算して計画を立て、直前期には新しい教材を足さない。これらは特別な才能ではなく、誰にでも真似できる行動です。
学習期間も一日の勉強時間も、人によって大きく違いました。つまり「唯一の正しいスケジュール」があるのではなく、自分の使える時間に合わせて設計するものだということです。
予備試験が合格率の低い難関であることは間違いありません。だからこそ、我流ではなく正しい順序と逆算した計画が結果に繋がります。合格者の共通項を自分の時間割に落とし込めるなら、彼らの話はあなた自身のスケジュールを描くための、確かなたたき台になるはずです。
この記事のまとめ
この記事では、アガルートで予備試験・司法試験に合格した50人の体験記から、学習スケジュールを時期ごとにたどってきました。
予備試験対策のスケジュールは、総合講義でのインプットを数か月で一巡させ、重要問題習得講座で論文力を鍛え、過去問や答練で実戦力を仕上げていくという流れが基本形でした。
学習期間の目安は学生で2年前後、社会人で3年前後とされ、勉強時間も立場によってさまざまですが、共通していたのは試験日からの逆算と、直前期に手を広げない自制でした。
司法試験対策のスケジュールは、予備試験で築いた土台の上に立つ約5か月の仕上げの時間です。
基礎を積み直すのではなく、過去問演習で予備試験との差分を埋め、本番の長い答案を制限時間内に書き上げる形式に体を慣らしていく。予備試験で使った教材を軸に据えながら、判例や選択科目を過不足なく補強していくのが、合格者に共通する道筋でした。
ここまでを読んで、合格までの道のりが以前よりも具体的に思い描けるようになっていれば嬉しく思います。長い道のりに見えても、やるべきことの順番と自分のペースが見えていれば、一歩目は決して重くありません。
あなたのスケジュールづくりが、今日ここから動き出すことを願っています。


