アガルートの司法試験・予備試験講座を調べて、受講料の高さにためらいを感じていませんか。フリマアプリやオークションサイトで中古のテキストを見かけて、「これで安く始められるのでは」と心が動いたことがあるかもしれません。
その気持ちは私にもよくわかります。ただ、この選択にはいくつもの落とし穴が潜んでいて、知らないまま買ってしまうと、節約どころか学習そのものが空回りしかねません。
そこで今回は、アガルートの会員規約や公式サイトの情報を隅々まで確認した結果をもとに、中古品を避けるべき3つの理由を解説します。この記事を読み終える頃には、限られた予算と時間をどこに使うべきか、迷いなく判断できるようになっているはずです。
※本記事は2026年8月時点で入手できる情報を基に作成しています。
中古品を避けるべき理由

「中古品」と言っても、製本テキストそのものから、コピーやスキャンといった複製品、さらには講座アカウントの譲渡まで、いくつかの形が考えられます。ここでは、それらをひとまとめに扱いながら、手を出すべきでない理由を3つに分けて見ていきましょう。
出品自体が規約違反だから
まず前提として、アガルートの会員規約には、中古売買に関わる扱いが驚くほどはっきり書かれています。要点は次のとおりです。
- 教材の第三者への売却・贈与・貸与は、方法や理由を問わず禁止(オークションへの出品も明記)
- 教材を使う権利は、受講契約をした本人の学習目的の範囲に限定
- 複製品を販売した者は刑事罰や損害賠償の対象になりうると、アガルートが公式サイトで告知
- フリマ・オークションサイトの運営会社と協力して対処する方針も公表
会員規約の第11条は、テキストから講義動画まで、媒体を問わず「アガルート教材」と定めたうえで、複製物の作成や第三者との共有、そして第三者への贈与・売却・貸与を禁じています。
売却の箇所には「オークションへの出品を含みます」という注記までわざわざ添えられているほどです。
つまり、受講生が正規のテキストを売りに出す行為は、それ自体が規約違反だということ。テキストに限らず、講義を視聴するためのIDやパスワードを譲り渡すことも、規約の別の条文で同じように禁じられています。
「違反したのは売った人で、買う自分ではない」と思うかもしれません。確かに、規約は受講生に向けたルールですから、買っただけのあなたが規約違反に問われるという話ではないでしょう。
ただ、同規約は、教材を使う権利を、受講契約をした本人が自分の学習のために使う範囲に限って認めています。中古で手に入れた教材には、この使用権が付いてきません。
規約が禁じた行為の上に成り立つ取引で、アガルートが認める使用権のないまま教材を手に入れ、それを数年がかりの試験勉強の土台に据える。あまりに不安定だと私は思います。
さらに厄介なのが複製品の存在です。アガルートは公式サイトで、フリマアプリ等で見られるテキストや講義データの複製品の販売について、著作権法などに基づく刑事上の処罰や損害賠償の対象になると告知し、サイト運営会社と協力して対処する姿勢を明らかにしています。
買う側からすると、届いた品が正規品なのか精巧な複製品なのか、事前に確かめるすべはほとんどありません。しかもアガルートはテキスト単体の販売を行っておらず、受講生が紛失した場合の再購入も不可という徹底ぶりです。
講座で使うテキストを単体で買う方法は、正規のルートに用意されていない。とすれば、中古市場に並ぶ講座テキストは、正規に受け取った誰かの手元を離れたものか、あるいはその複製品か。
どちらであっても、アガルートが正規の流通として想定していない品であることに変わりはありません。
参考【アガルート公式】フリマアプリ等における複製品に対する対応
テキストだけでは機能しないから
次の理由は、講座の設計そのものにあります。中古で手に入るのは基本的に紙のテキストだけですが、アガルートのカリキュラムは、テキスト単体で完結するようには作られていないのです。
初学者向けのフルカリキュラムを例に取ると、次のものはすべて受講契約に結びついていて、中古では使えません。
- 合計700時間を超える講義動画
- 200問を超えるオンライン添削と、講師への質問サービス
- 講師によるコーチングやバーチャル校舎の各サービス
- CBT方式の演習環境やオンラインの短答演習サービス
- デジタルブックとテキストの訂正情報
アガルートはテキストの特長を、試験で問われる知識だけに情報を絞り込んだ点にあると説明しています。裏を返せば、絞り込まれた行間を埋め、知識の使い方を教えるのは講義の役割、というのが私の理解です。
フルカリキュラムでは、その講義が合計で700時間を超えます。しかも視聴できるのは、受講契約に紐づいたマイページや公式アプリからだけ。中古のテキストをどれだけ集めても、この中身には触れられません。
大学の講義に一度も出ないまま、先輩に譲ってもらった教科書だけで期末試験に挑む。そんな経験がある人もいるかもしれませんが、中古テキストでの学習はそれに近い挑戦になります。
テキスト自体の作りについても、見落とせない点を挙げておきましょう。
アガルートのテキストは、総合講義のテキストと、演習用・短答用の各テキスト、そして論証集が、互いのページ番号や問題番号を参照し合う構成で、教材をまたいで知識を一か所に集約できることを売りにしています。
中古で一部の冊子だけを手に入れた場合、この参照の網は最初から切れた状態です。教材は年度ごとに改訂されていくものですから、年度の違う冊子を寄せ集めれば、参照先のページ番号が実物と食い違うことも起こりえます。
加えて、テキストの左右に書き込み用の余白が広く確保されている点も見逃せません。書き込みを前提にした設計である以上、中古品に前の持ち主の学習の痕跡が残っている可能性も、頭に入れておくべきでしょう。
そして、調べていて私が最も怖いと感じたのは、テキストの訂正情報です。誤植の訂正情報は受講生専用のマイページで公開される仕組みになっています。中古購入者が、この訂正情報を受け取る手段はありません。
条文の番号や要件の記述が間違ったまま頭に入り、気づく機会のないまま本番を迎える。法律の試験勉強で、これほど初歩的かつ致命的なリスクは他に無いでしょう。
参考【アガルート公式】司法試験予備試験に独学で合格するには?難しい4つの理由と勉強法

情報が古くなっているから
最後の理由は、法律という科目の宿命に関わります。教材の中身は、作られた瞬間から法改正によって古び始めるからです。ここ数年だけでも、出題範囲に関わる大きな改正が続いています。
| 改正の内容 | 施行時期 |
|---|---|
| 懲役・禁錮を廃止し、拘禁刑を創設 | 2025年6月 |
| 離婚後の子の養育に関する家族法の見直し | 2026年4月 |
| 民事訴訟手続のIT化(全面施行) | 2026年5月 |
象徴的なのは拘禁刑です。2025年6月に懲役と禁錮が廃止され、拘禁刑という新しい刑に一本化されました。法律を学んだことのない人でも知っている「懲役」が、現行法からは姿を消したわけです。
刑法は、予備試験でも司法試験でも短答式・論文式の両方で問われる基幹科目。この改正より前に作られたテキストは、刑罰という根幹の部分で現行法とずれている可能性が高いことになります。
では、試験のほうはどうか。法務省は2026年(令和8年)の予備試験について、原則としてその年の1月1日時点で施行されている法令に基づいて出題すると明示しています。
表に挙げた家族法の見直しや民事訴訟のIT化も、2026年に入って相次いで施行されました。これから学習を始めるあなたが本番を迎える頃には、すっかり現行法として定着しているはずです。過年度のテキストが、そこまで織り込んでいるとは限りません。
「変わった部分だけ自分で補えばいい」と考えたくなるかもしれませんが、どこが変わり、どこが変わっていないのかを正確に仕分けられる人は、もう初学者ではないでしょう。
過年度の教材と現行の教材は、別物と考えるのが自然です。何年も更新していないカーナビでも道は走れますが、新しく開通した道路は表示されず、肝心な場面で道を誤らせかねません。古い教材で挑む試験勉強は、それとよく似ています。
それでも費用が気になるあなたへ

ここまで読んでも、「そうは言っても正規の受講料は高い」という思いは残るはずです。アガルートの初学者向けカリキュラムの受講料はまとまった金額で、学生にとっても、家計を預かる社会人にとっても、簡単に出せる額ではありません。
だからこそ中古品に目が向く。その発想自体は、費用と真剣に向き合っている証拠であって、責められるものではないと私は思います。
ただ、少しだけ立ち止まって考えてみてください。中古品に払うお金は、講義も添削も訂正情報も付かず、アガルートが認める使用権もない紙の束への支出です。金額の大小にかかわらず、合格までの道のりを支えきれない出費を、節約と呼ぶのは難しいでしょう。
幸い、費用を抑えたいという動機は、正規ルートの中でも十分に活かせます。
- 資料請求・無料体験で、サンプル講義とサンプルテキストを無料で入手する
- 他校乗換割引(20%OFF)をはじめとする各種割引制度を使う(セール価格との併用も可)
- 教育クレジットローンなど、一定回数まで分割手数料のかからない分割払いを選ぶ
- 内容を絞ったライトカリキュラムや、必要な分野だけの単科講座から始める
- 書店で買える市販書籍(1問1答や合格論証集など)で教材との相性を確かめる
中でも無料体験は、中古品を検討しているあなたにこそ試してほしい選択肢です。実際に講座で使うテキストのサンプルが紙で届き、講義動画もまとまった分量を視聴できます。書き込みのない新品のサンプルが、それも無料で手に入ってしまうわけです。
さらに正規のフルカリキュラムなら、予備試験に合格し、一定の要件を満たすと返金を受けられる合格特典の対象にもなります。費用の悩みは、規約の外側ではなく、正規ルートの内側で解決する。遠回りに見えて、それが結局は近道だと私は考えています。
参考【アガルート公式】司法試験・予備試験講座 資料請求・無料体験

この記事のまとめ

最後に、この記事でお伝えした要点を振り返ります。
- 出品自体が規約違反であり、買い手にはアガルートが認める使用権が付いてこないから
- 講義・添削・訂正情報などが使えず、テキスト単体では教材として機能しないから
- 法改正で中身が古くなり、出題の土台になる法令とのずれが広がるから
費用に対し真剣に向き合ってきたあなたなら、その努力の方向性を少し変えてみてください。まずは無料体験で紙のテキストと講義を確かめ、割引や分割払いを組み合わせて、負担を抑えながら正規ルートで始める。それが、遠回りを避ける現実的な道筋です。
司法試験・予備試験への挑戦は、年単位の努力を積み重ねる長い道のり。だからこそ、その土台になる教材は、権利関係も中身の鮮度も確かなものを選びましょう。
堂々と使える教材と整った学習環境は、この先のあなたの努力を安心して注ぎ込める受け皿になってくれるはずです。その安心感には、価格の差を超える価値があると私は信じています。


