スタディングで司法試験・予備試験の対策を始めようとして、選択科目はどうなっているのか気になっていませんか。
コースの案内を読んでも選択科目が含まれているのかどうか判然とせず、不安を覚えた人もいるはずです。
選択科目は、司法試験でも予備試験でも論文式試験で必ず答案を書くことになる科目です。対策の当てがないまま申し込んでしまうと、学習計画にも費用の計画にも、あとから思わぬ狂いが生じかねません。
そこで今回は、スタディング司法試験・予備試験講座の選択科目対策について、用意されている講座の中身と、申し込む前に知っておきたい注意点を詳しく解説します。この記事を読み終える頃には、選択科目にどう向き合えばよいか、具体的な道筋が見えているはずです。
※本記事は2026年8月時点で入手できる情報を基に作成しています。
スタディングの選択科目対策

まず、スタディングが用意している選択科目対策の全体像を押さえましょう。どの科目の講座があるのか、そして労働法・倒産法それぞれの講座で何を学べるのかを順に見ていきます。
用意されているのは2科目のみ
司法試験・予備試験の選択科目は8科目ありますが、スタディングが講座を用意しているのはそのうち2科目だけです。
| 選択科目 | スタディングの講座 |
|---|---|
| 労働法 | あり(別売の単科講座) |
| 倒産法 | あり(別売の単科講座) |
| 租税法 経済法 知的財産法 環境法 国際関係法(公法系) 国際関係法(私法系) | なし |
選択科目とは、この8科目から1科目をあらかじめ選び、論文式試験で答案を書くというものです。ラインナップは司法試験と予備試験で共通しているので、予備試験のために積み上げた選択科目の力は、司法試験でも引き続き活かせます。
「たった2科目か」と感じたかもしれません。ただ、この2科目が受験界でどんな位置にあるかを知ると、印象は変わってきます。
2026年(令和8年)の司法試験では、全科目を受験した人のうち、労働法の選択者が約3割にのぼり、8科目の中で最多でした。倒産法も15%を超えており、2科目を合わせると全体の約45%に達します。
同年の予備試験ではさらに顕著で、出願者の約56%が労働法か倒産法を選んでいました。
つまりスタディングの品ぞろえは、「8科目中2科目」というより「受験生の半数前後が選ぶ人気科目に絞った」と表現するほうが実態に近いと私は考えています。教室を持たず低価格を追求する同社らしい、思い切った選択と集中です。
もっとも、残りの6科目を選びたい人にとって受け皿がない点は否めません。
労働法講座で学べること
労働法講座を担当するのは、講座全体の主任講師を務める小村仁俊講師です。
- 担当講師:小村仁俊講師(司法試験に上位で合格した現役の弁護士)
- 構成:基礎知識を学ぶ基本講座と、司法試験・予備試験の過去問を解説する過去問講座の2本立て
- 講義分量:基本講座30回・約14時間、過去問講座8回・約5時間
- テキスト:各回にWEBテキスト付き(印刷・製本された冊子はなし)
労働法は、解雇や残業代といった雇用の場面を扱う科目です。スタディングは、会社員や公務員、アルバイトなど給与所得者として働いた経験があればなじみのある概念が多い、と説明しています。
講義はフルカラーのスライドと図表を軸に、まず大まかなイメージをつかむことを重視した作りです。
参考答案の設計思想には、私も思わず引き込まれました。この講座では、判例の長く難解な言い回しを「答案に書くべき規範」と「頭の中に置いておくべき判断基準」に分類し、限られた試験時間内に書ききれる答案の形を具体的に示すとされています。
労働法は重要判例が多く、覚えたことを全部書こうとすると時間が足りなくなりがちな科目です。だからこそ「何を書き、何を書かないか」の取捨選択を参考答案で見せるアプローチには説得力があります。
一方で、基本講座が約14時間というのはかなり思い切った圧縮です。学習範囲が広いとされる労働法をこの時間に収めているのですから、網羅的な講義を期待する人には物足りない可能性があります。
逆に、法律基本7科目にできるだけ時間を回したい人には合う設計でしょう。選択科目は合格に必要な型だけを短時間で身につける、という割り切り方ができるからです。
倒産法講座で学べること
倒産法講座を担当するのは、自身も予備試験を経て司法試験に合格した高木亨講師です。
- 担当講師:高木亨講師(予備試験・司法試験の合格者で現役の弁護士)
- 構成:基本講座と過去問講座の2本立て
- 講義分量:基本講座32回・約20時間、過去問講座8回・約5時間
- 演習素材:過去問講座に問題PDFと参考答案が付属
倒産法は、支払いができなくなった個人や会社の財産関係を整理する手続を扱う科目です。民法・民事訴訟法の理解と相乗効果があり、民事系科目そのものを得意にできる。だから選択者が多いのだ、というのがスタディングの説明です。
双方未履行双務契約や開始時現存額主義といった、初学者がつまずきやすい倒産法特有の制度を、図を使って根本の趣旨から解説する方針が示されています。
構成面で目を引くのは、過去問講義が基本講義の資料を参照しながら進む「相互参照」という設計です。過去問を解いているときに基本講義の該当箇所へ立ち戻れるので、知識のインプットと使い方の学習が行き来しやすくなっています。
基本講義は全回を通じて基本書のように体系を意識した構成で、講義を見たあとはWEBテキストだけでも復習しやすい作りです。講義に出てきた論点はQA形式でまとめ直してあるので、あとから論点だけを拾って確認することもできます。
講義時間を見ると、基本講座は労働法より6時間ほど長い約20時間です。倒産法は手続の流れと制度趣旨の理解が答案の土台になる科目ですから、そのぶん説明を厚くした設計なのだろうと私は受け止めています。
講義の体系性や相互参照の仕組みも含めて、腰を据えて一つの法体系を理解したい人と相性の良い講座だという印象を持ちました。
注意点

講座の中身は手堅いのですが、申し込む前に知っておきたい見落としやすいポイントが3つあります。順に確認していきましょう。
別売の単科講座として申し込む
最初の注意点は、選択科目講座が「合格コース」に含まれていないことです。
- 選択科目講座は、予備試験合格コースなどの「合格コース」に含まれない
- 労働法・倒産法とも、別売の単科講座(各約4万円)として申し込む
スタディングの予備試験合格コース(総合)は、基礎知識のインプットから短答対策・論文対策・実務基礎までをセットにしたオールインワン型のコースです。
ところが、このセットに選択科目は入っていません。「オールインワンなのだから選択科目も当然入っているだろう」と思い込んだまま申し込まないように注意しましょう。選択科目まで対策するなら、コースとは別に選択科目講座を購入してください。
費用の面でも、この構造は頭に入れておきたいところです。予備試験合格コース(総合)と選択科目講座を合わせると、総額はおよそ19万円になります。決して小さくない上乗せですから、受講プランを立てる段階で選択科目のぶんも予算に入れておきましょう。
答案を書く練習は自分で用意
2つめの注意点は、答案練習の面倒まで講座が見てくれるわけではないことです。
- 講座に含まれる演習素材は、司法試験・予備試験の過去問と講師作成の参考答案
- 答案の添削サービスはない(学習Q&Aサービスも答案の添削は行わない)
- 総合コースにあるAI添削やPC上の答案練習機能は、選択科目講座には見当たらない
スタディングの論文対策と聞くと、生成AIが答案を即時に添削してくれるAI添削機能を思い浮かべる人が多いかもしれません。しかしながら、この機能が組み込まれているのは論文コアメソッド講座や予備試験実践編といった基本7科目側の講座で、選択科目講座は対象外です。
人による添削サービスも付いていないので、選択科目に関しては「書いた答案を誰かに見てもらう」手段が講座の中に用意されていないことになります。
質問についてはどうでしょうか。選択科目講座は学習Q&Aサービスの対象なので、講義内容でわからない点は講師に質問できます。ただしこのサービスはチケット制で、選択科目講座にチケットは付属していません。質問したいなら、チケットを別に用意しておく必要があります。
加えてスタディングは、このサービスで論文答案の添削は行わないと明言しています。疑問の解消はできても、答案の出来栄えの評価は別問題、というわけです。
そこで、答案を書く練習は自分で組み立てる必要があります。幸い、講座には過去問と参考答案がそろっていますから、時間を計って自力で書き、参考答案と突き合わせて差分を分析する、という往復を繰り返すのが基本になるでしょう。
もっとも、参考答案を読んで納得しただけで書けた気になってしまうのが、この自習方式の最大の落とし穴です。注意しましょう。
もう一点、練習の形式も大切です。司法試験・予備試験の論文式はパソコンで答案を入力するCBT方式に移行したため、練習もキーボードで行うのが本番に直結します。
法務省が公開している体験版アプリを使えば、本番に近い画面と操作で答案入力を試せるので、ぜひ併用してください。
参考【法務省】司法試験及び司法試験予備試験のデジタル化について
合格お祝い金や更新版の対象外
3つめの注意点は、主要プランの「合格コース」なら使える2つの制度が、選択科目講座には適用されないことです。
- 合格お祝い金制度:対象コースの一覧に選択科目講座は入っていない
- 更新版(再受講者割引):選択科目講座には設定がない
スタディングの司法試験・予備試験講座には、試験に合格して所定の条件を満たすとデジタルギフトがもらえる合格お祝い金制度があります。
ただ、その対象となるのは予備試験合格コースや論文対策系の講座などで、選択科目講座は対象コースの一覧に含まれていません。選択科目講座だけを買っても、お祝い金の条件は満たせないというわけです。
再受講の場面でも扱いは異なります。
「合格コース」には、以前の受講者が新しい年度版を割安に購入できる「更新版」という仕組みがあるのに対し、選択科目講座には更新版の設定がありません。学習が翌年度に持ち越しになった場合に、割引価格で継続できる受け皿が用意されていないのです。
もっとも、この2点を理由に受講をためらう必要はないでしょう。私がここでお伝えしたいのは、「合格コースと同じ扱いのはず」という思い込みを外しておいてほしい、ということです。
選択科目講座は1つの年度版を使い切る前提の商品だと考えておけば、購入のタイミングも決めやすくなります。受験する年度と受講期限を照らし合わせて、無理なく学び切れる時期に申し込みましょう。
よくある質問
ここからは、スタディングの選択科目対策を検討する人が抱きやすい3つの疑問に、私の見解も交えて答えていきます。
労働法と倒産法のどちらが良い?
2科目のどちらを選ぶか。判断材料を整理すると次のようになります。
- 働いた経験を足がかりに学びたいなら労働法
- 民法・民事訴訟法との相乗効果を求めるなら倒産法
- 最後の決め手は、興味を持って学び続けられるかどうか
- 迷ったら無料体験で初回講義を見比べる
スタディングは公式サイトのコラムで、選択科目選びの基準として「興味が持てる内容かどうか」と「総学習時間の目安・試験対策のしやすさ」の2つを挙げています。執筆したのは、同講座で論文対策の講義を一部担当する漆原照大講師です。
参考【スタディング公式】司法試験・予備試験の選択科目の選び方と勉強法
この基準を2科目に当てはめてみましょう。労働法は、解雇や労働条件など働く人なら誰でも接点のあるテーマを扱うため、具体的な場面を思い浮かべながら学べるのが強みです。その半面、学習範囲が広く判例のインプットに時間がかかる科目でもあります。
倒産法は、民法・民事訴訟法と関わりが深く、民事系の理解と一緒に伸ばせるのが持ち味で、手続の体系をじっくり理解するタイプの科目です。
どちらも受験者の多い科目ですから、市販教材や受験情報の手に入りやすさという「対策のしやすさ」の面で困ることは、まずないでしょう。
私からの提案は、スペック比較で決めきろうとしないことです。スタディングでは無料会員登録をすると労働法・倒産法いずれの講座も初回講義を体験できます。
実際に講義を見て、この科目と長くつきあえそうか、と自分の感触を確かめるほうが、性格の違う2科目を文字情報だけで比べるよりずっと確実です。
上記のコラムでも、選択科目の途中変更はリスクが大きいと警告されています。入口でひと手間かけて、納得のいく選択をしてください。
労働法と倒産法以外を選びたい場合は?
経済法や知的財産法などを選びたい場合は、他社の単科講座を利用するのが現実的です。
- アガルートの選択科目対策講座が8科目すべてに対応
- インプットから過去問対策までそろう5講座パック
- 総合講義だけを単品で買うなど、講座単位の購入もできる
- パック・単科とも、質問対応や添削などのフォロー制度は付かない
8科目すべての対策講座をそろえているのがアガルートです。
参考【アガルート公式】司法試験・予備試験 選択科目 5講座パック
科目ごとに、知識をインプットする総合講義、司法試験と予備試験それぞれの論文過去問解析講座、論証集の「使い方」、重要問題習得講座の5つをセットにしたパックが用意されており、それぞれの科目に担当講師がついています。
パックではなく総合講義だけ、過去問解析だけ、と講座単位で購入することも可能です。
ただし費用感には注意したいところ。5講座パックは1科目で15万円前後(税抜)となり、選択科目の対策費がスタディングの予備試験合格コース(総合)の受講料を上回るほどの規模になります。
演習講座や論証集まで含む厚みを考えれば相応の価格ですが、予算を抑えたいなら、総合講義など必要な講座だけを単品で選ぶ組み合わせ方も検討する価値があるでしょう。
もう1つ知っておきたいのは、アガルートの選択科目講座も、パック・単科の形で買う限り質問対応や添削といったフォロー制度が付かないことです。演習素材と解説を頼りに自分で回していく使い方になる点は、スタディングの選択科目講座と同じ構図だといえます。
法律基本7科目はスタディング、選択科目だけアガルート、という組み合わせは十分成り立ちますが、どちらを選んでも選択科目の答案練習を支えるのは自分自身だ、という前提は変わりません。
労働法・倒産法以外を選ぶと不利?
講座がない科目を選ぶことへの不安には、次のように答えられます。
- 講座の有無と試験での有利不利は、分けて考えてよい
- 司法試験の結果を見ると、どの選択科目からも合格者が出ている
- 決め手は、学び続けられる科目かどうか
スタディングで学ぶと決めたのに、スタディングに講座がない科目を選ぶのは心細いですよね。実際、受験者の少ない科目では市販教材や過去の受験生の情報が手に入りにくいという現実的なハンデもありますから、この不安には根拠がないわけではありません。
それでも私は、講座の有無を科目選びの決定打にしなくてよいと考えています。法務省が公表した2025年(令和7年)司法試験の結果では、受験者が最も少ない科目も含めて、8科目すべてから合格者が出ているからです。
また、司法試験の論文式試験の配点を見ると、選択科目が占めるのは全体の8分の1です。合否を大きく左右するのは、あくまで法律基本7科目のほうだといえます。マイナーな科目を選んだというだけで合否が傾くような配点構造にはなっていません。
結局のところ、講座の有無が左右するのは「合否の有利不利」ではなく「学びやすさ」のほうです。講座がない科目なら、8科目をそろえる他社の単科講座で補えばよいだけのこと。
むしろ、講座があるからという理由だけで興味の持てない科目を選ぶほうが、長丁場になりやすい受験勉強では危ういと私は思います。学び続けられる科目かどうかを軸に、自信を持って選んでください。
この記事のまとめ

スタディング司法試験・予備試験講座の選択科目対策について、講座の中身から注意点、科目選びの考え方までを見てきました。要点を振り返ります。
- スタディングの選択科目対策は労働法・倒産法の2科目で、受験生の半数前後が選ぶ人気科目をカバーしている
- 労働法は小村講師、倒産法は高木講師が担当し、基本講座と過去問講座の2本立てで学ぶ
- スタディングの選択科目対策講座は「合格コース」に含まれない別売の単科講座
- 答案の添削は付かないため、書く練習は過去問と参考答案を使って自分で確保する
- 合格お祝い金制度や更新版(再受講者割引)の対象外である
- 労働法・倒産法以外を選ぶならアガルートの選択科目講座が8科目に対応している
- 科目選びの決め手は講座の有無ではなく、興味を持って学び続けられるかどうか
試験勉強の大半は、決められた科目を決められた順に積み上げていくしかありません。その中で選択科目は、自分の興味を判断材料にできる数少ない機会です。そう考えると、ちょっとワクワクしてきませんか。
科目を決める際の基準は「1年後もこの科目を投げ出さずにいられるか」。このことをセンターピンに据えると、迷う時間はぐっと短くできるはずです。

