司法試験の選択科目として租税法が気になっている。でも選ぶ人が少なくて、勉強法の情報がなかなか見つからない。そんなもどかしさを感じていませんか。
租税法の選択者は受験者の5%程度。市販の教材も体験談も、他の科目に比べて手に入りにくいのが実情です。それでも選択科目は論文式試験の得点の一角を占めますから、情報不足のまま手探りで本番へ向かうわけにはいきません。
そこで今回は、アガルート受講生のうち、選択科目に租税法を選んで司法試験に合格した7人の合格体験記を読み込み、その勉強法を整理しました。
教材の選び方から過去問・論証集の回し方まで、合格者たちが実際に歩んだ道筋を具体的にお伝えします。この記事を読み終える頃には租税法との向き合い方が明確になっているはずなので、ぜひ最後までお読みください。
※本記事は2026年7月時点で入手できる情報を基に作成しています。ただし、引用している受講生の評価は受講当時のものであり、現在とは状況が異なる場合があります。
租税法の司法試験対策

今回取り上げる7人の租税法学習は司法試験の論文式に向けたものです。講座選びから教材の使い方、科目特性の生かし方まで、5つの切り口で見ていきます。
アガルートを選んだ理由
租税法で講座を選ぶ背景には、この科目ならではの教材事情があります。まずは合格者たちがアガルートに行き着いた経緯からです。
- 「選択科目で租税法の対策がここまで充実している予備校講座はほかにはなく、法科大学院の授業よりも充実していると思います。」【引用元】
- 「租税法は選択者が少ない上に、あまり市販の教材が充実しておらず……租税法の講座を用意している予備校もなかなか見当たらなかった」【引用元】
- 「租税法というマイナーな選択科目であったため取り扱っている予備校も少なく、その上でさらに司法試験の過去問が前年度そろっているのはアガルートアカデミーしかありませんでした」【引用元】
- 「租税法は受験者数が少なく、講座を販売している予備校自体がとても少ない上、勉強ができる市販の参考書等も少ないため、租税法の過去問を詳しく解説する講座はとても貴重だと思います。」【引用元】
- 「租税法を毎年選択する方が少ないためか、司法試験の過去問講座と論証を販売しているところが少なかった」【引用元】
ここで挙げた声に共通するのは、租税法の講座や過去問解説を出している予備校がとても少ない、という嘆きです。
市販の教材まで乏しいと言う人や、通っていた法科大学院の授業が司法試験を意識した内容ではなかったと振り返る人もいました。こうした空白を埋める存在として、司法試験の過去問がそろうアガルートに行き着いたという経緯が、体験記の中で繰り返し語られています。
中でも私の目を引いたのは「司法試験の過去問が前年度そろっている」という選択理由です。
選択者の少ない科目では、教材の更新が後回しにされても不思議ではありません。直近の年度まで抜けなく過去問がそろっている点は、少数派の科目を選ぶ受験生にとって心強い材料なのだと、この一言から伝わってきます。
なお、租税法の講座はいずれも司法試験に合格したプロ講師が担当しています。後で紹介するように、税務の専門家として働く受講生も講義の質を高く評価していました。
教材の少ない科目だからこそ、頼れる講師と教材がそろっていることの価値は、多数派の科目以上に大きいのでしょう。
過去問解析講座のやり込み
合格者たちの勉強法の中心にあるのが、司法試験過去問の反復です。使い方には共通のパターンが見えます。
ここで挙げた声を読み比べて、私は租税法を過去問との相性がよい科目だと受け止めました。
論点が絞られ、過去問で問われた論点が繰り返し登場しやすいぶん、過去問を軸に据えた学習が力になりやすいのでしょう。過去問の復習を特に重点的に行った受講生が、本番でも大きく崩れることなく良い成績で合格したと振り返っているのは、その手応えを物語っています。
周回数の目安として「3周ほど」という声があります。1周目は答案例・出題趣旨・採点実感を読み込んで理解を深め、2周目以降は答案構成を中心に回転数を上げる。体験記からは、そんな進め方がうかがえました。
問題・解き方・答案例・出題趣旨・採点実感が過去問講座の教材にまとめて収録されているのも、周回学習と噛み合っています。本来なら法務省のサイトから資料を1つずつ集める作業が必要なところ、その手間が丸ごと省けるわけです。
見逃せないのは、解答例が付いているからこそ初学段階でも食らいついていける、という視点でしょう。
演習書がほとんどない租税法では、信頼できる答案例を独力で手に入れるのは簡単ではありません。全年度の過去問に答案例が付いていることは、単なる時短を超えて、答案の到達目標を可視化してくれる意味を持ちます。
論証集を軸にした知識固め
過去問と並ぶもう一本の柱が、論証集の「使い方」です。単なる暗記ツールにとどまらない活用法が語られています。
- 「まずはこのランクに基づき、重要性の高い論点から重点的に学習していきました。」【引用元】
- 「各論証には題材となった裁判例の事件名や年月日も付されているので、自分が持っていた判例集で理解を深めることもスムーズにできました」【引用元】
- 「論証集は判例百選へのリファーがしっかりしており、とても有用」【引用元】
- 「租税法では判例名の記載まで要求されるほど判例が重要であるため、判例をベースに勉強しようと思っており」【引用元】
- 「過去問演習を通じてさらに覚えておきたい規範が出てきた場合には、その都度論証集に書き込むようにし、試験直前まで論証集は何度も見直しました。」【引用元】
- 「学習が疎かになりがちな選択科目について、当講座を完璧にするだけでも周囲の受験生に差をつけることができると思います」【引用元】
使い方をめぐっては、ここで挙げた声から3つの工夫が読み取れます。
第一に、論点ごとに付された重要度ランクの高いものから固めること。
第二に、各論証に付記された裁判例の事件名・年月日を手がかりに、判例集で理解の裏を取ること。
第三に、過去問演習で出会った規範をその都度書き込み、情報を論証集へ一元化して直前期まで見直すことです。
それぞれ別の受講生が実践した方法ですが、論証集を暗記するだけでなく、判例や過去問と結びつけて使っている姿勢は重なって見えます。
特に判例との往復は、租税法では大きな意味を持ちます。司法試験の採点実感でも、判例・裁判例を正確に理解し、事案に当てはめる力が重視されているからです。
論証を丸暗記するのではなく、背後にある判例とセットで押さえる勉強は、この採点傾向への最も素直な対応と言えるでしょう。
そして、選択科目こそ差がつくという逆転の発想にも注目したいところです。基本7科目に追われ、選択科目の仕上げが後回しになる人もいます。だからこそ、コンパクトな論証集を完璧にするだけで相対的に浮上できる。
かけた労力に対する見返りで考えると、選択科目への一定の投資はむしろ合理的だという示唆を、この一言から受け取りました。
総合講義は使い方が分かれる
インプット講座である総合講義については、対照的な2つの選択が語られています。ここが租税法学習の面白いところです。
- 「基本的な知識は、実務で習得しているかなと思っておりましたので、総合講義のような授業形式の教材は不要と考えており」【引用元】
租税法をゼロから学ぶ人にとって、体系と重要条文・判例を一巡できる総合講義は、過去問演習に入る前の土台づくりとして機能します。
講義時間が比較的短くまとまっているのは、論点の少ない租税法ならでは。図表レジュメをテキストに貼り付けて情報を一元化するという使い方は、復習効率を高める工夫としてそのまま真似できます。
面白いのは、税務に関わってきた実務家2人の判断が分かれたことです。1人は基本知識を実務で習得済みと考えて総合講義を省き、過去問講座と論証集だけを単科で選びました。
もう1人は総合講義を受講し、税務専門家の目から見ても新発見が多かったと講義の質を絶賛しています。どちらも合格しているのが、また示唆的ではないでしょうか。
ここから言えるのは、総合講義は全員必須でも全員不要でもなく、自分の前提知識と相談して決めるものだということです。
実務経験や会計・税務の素養がある人は演習系の単科だけに絞る道があり、初めて学ぶ人は総合講義から順に積み上げればよい。必要な講座だけを単科で組み合わせられる販売形態が、この柔軟な戦略を可能にしています。
短期集中が可能な科目特性
最後は、租税法という科目そのものの性質を生かした戦略の話です。
試験まで1年を切った12月から始めて間に合わせた。この体験談は、租税法の性質をよく物語っています。
論点や暗記事項が少ないため、過去問の反復を軸にすれば比較的短い期間でも仕上げられる。答案構成を繰り返す中で同じところが毎回問われると気づき、周回に注力した2つ目の声も、同じ性質を別の角度から裏づけるものでした。
もちろん、7か月あれば誰でも間に合うという話ではありません。1人目の受講生は法科大学院を修了した上での挑戦で、法律学習全体の下地があった人です。確保できる勉強時間も人によって違います。
ここで受け取るべきは所要期間の数字ではなく、基本7科目の仕上がりを優先し、選択科目は科目特性に合わせて集中的に片付けるという時間配分の考え方でしょう。
司法試験の受験勉強は、常に時間との戦いです。膨大な基本7科目に対して、選択科目にどれだけ資源を割くか。論点が少なく、過去問中心で対策でき、学ぶ範囲がしぼりやすい租税法は、この資源配分の問題に対する一つの合理的な解になり得ます。
ここまで見てきた過去問・論証集・総合講義の使い方も、すべてこの科目特性の上に成り立っているのです。
あえて租税法を選ぶ価値はあるか

ここまで読んでもなお、わざわざ少数派の科目を選ぶ理由があるのか、という疑問は残るかもしれません。その疑問に正面から向き合います。
マイナー科目という不安
私自身、体験記を調べ始める前は同じ疑問を持っていました。まず事実を整理します。
- 租税法の選択者は司法試験受験者の5%程度で、選択者数は8科目中6番目
- 令和7年司法試験の合格者1,581人のうち、租税法の選択者は58人
- 受験仲間や体験談が少なく、情報交換がしにくい面は否定できない
- 一方で論点・暗記量は比較的少なく、判例と過去問を軸に対策しやすい
- 教材の乏しさは講座でカバーできたというのが、今回読んだ体験記の多くに通じる実感
少数派であること自体は、まぎれもない事実です。最多の労働法は司法試験合格者の約3割を占めるのに対し、租税法は4%に届きません。
周囲に同じ科目の仲間を見つけにくく、答案を見せ合ったり情報交換をしたりする機会も作りにくいでしょう。この不便さを軽く見るつもりはありません。
それでも私は、少数派であることと不利であることは別問題だと考えています。ここまで見てきたとおり、租税法のハンデの正体は教材と情報の少なさであり、それは講座選びでかなりの部分が埋まると、ここまでの体験記が示していました。
しかも科目自体は論点が少なく、判例を正確に押さえ、過去問での問われ方に慣れることが得点に結びつきやすい科目です。
選択者が少ないのは、科目として劣っているからではなく、税と聞くだけで身構えてしまう人が多いからかもしれません。だとすれば、食わず嫌いをしない人にとってはむしろ狙い目です。
適性の見極め方にも触れておきましょう。アガルートは、租税法の過去問や入門書に目を通して興味を持てるかを確かめることを勧めています。簿記などの資格を持つ人には取り組みやすく、税理士・公認会計士とのダブルライセンスを視野に入れる人とも相性が良い科目とのことです。
参考【アガルート公式】租税法の勉強法!基本書のおすすめも紹介
日商簿記2級を持つ私の実感としても、税や会計の考え方に一度なじんでおくと、この分野への心理的な壁はぐっと低くなります。なお、司法試験の租税法では会計学の知識は必要とされておらず、計算が得意でなくても心配はいらないとのことです。
講座だけで足りるのか
もう一つ、講座さえ受ければ他に何もいらないのか、という疑問にも触れておきます。
- 講座(総合講義・過去問解析講座・論証集)が学習の軸
- 基本書『スタンダード所得税法』『スタンダード法人税法』を併用した人がいる
- 判例集(租税法判例百選)で論証の裏づけを取る使い方も語られている
体験記を正直に読むと、講座だけで完結したと明言する人ばかりではありません。たとえば司法試験を総合52位で合格した受講生は、講座と並行して定番の基本書と判例百選を使い、趣旨の分からない条文は基本書を読んで具体例とともに理解したと述べています。
アガルートも租税法のおすすめ基本書としてこれらの書籍を挙げており、講座と市販書は対立するものではなく、補い合う関係であると見ておくのが適切です。
参考【アガルート公式】租税法の勉強法!基本書のおすすめも紹介
役割分担を整理すると、講座は過去問と論証という軸を提供し、基本書・判例集は理解の裏づけを担います。
軸が定まっているからこそ、市販書は通読せず辞書として引くだけで済む。教材の少ない科目だからこそ、少数精鋭の組み合わせで完結させる。これが体験記から見えてくる現実的な教材戦略です。
逆に言えば、講座を使わず市販書だけで独学する道は、演習素材と答案例の確保が壁になります。ここまで見てきたとおり、租税法は市販の演習書や参考書が乏しく、答案例つきで過去問を検討できる環境そのものが希少だからです。
租税法で戦うと決めたなら、過去問と答案例がそろった環境を確保することが、勉強法以前の勝負どころになると私は考えます。
この記事のまとめ

最後に、この記事の内容を振り返ります。
- 租税法は選択者が受験者の5%程度の少数派科目で、市販教材・対策講座が少ない
- その空白を埋める存在として、今回の合格者7人はアガルートの講座を選んでいた
- 軸になるのは、過去問解析講座の周回と、判例・規範を論証集へ一元化する勉強法
- 論点が少なく判例中心という科目特性が、これらの勉強法と噛み合っている
租税法は、情報の少なさから選ぶ前に不安が先立つ科目です。
しかし7人の体験記を読み込んで見えてきたのは、教材の軸がはっきりしているからこそ、やることが明確で迷いなく進めるという、少数派科目ならではの学習風景でした。過去問を回し、論証集に集約し、判例で裏を取る。やるべきことは驚くほどシンプルです。
選択科目は、これから長い受験生活を共に歩む相棒でもあります。税の世界に少しでも面白さを感じたなら、選択者の少なさをためらう必要はありません。
まずは租税法の過去問や入門書を眺めて、自分との相性を確かめるところから始めてみてください。その一歩が、他の受験生にはない、あなただけの武器を育てる出発点になります。


