アガルートの資格試験対策講座をレビューしているKiryuです。
アガルート司法試験・予備試験講座に関する情報を探しても受講経験に基づいた1次情報がほとんど見つからず、困っていませんか?
そんな方に向けて、今回はアガルートの予備試験最短合格カリキュラムを実際に購入・受講し、実体験に基づいてレビューします。ぜひ参考にしてみてください。
※以下のレビューは「予備試験最短合格カリキュラム(2024年・2025年合格目標)」に基づいています。
学習初期の対策講座
「予備試験最短合格カリキュラム」の学習初期の段階で受講することになる次の3つの講座を実際に受講してレビューします。
- 総合講義300
- 論文答案の「書き方」
- 重要問題習得講座
総合講義300のレビュー
総合講義300は司法試験・予備試験の論文試験に主眼を置いた基礎知識習得講座です。
司法試験でも予備試験でも最終的には論文試験を攻略できなければ合格できません。そこでアガルートでは論文対策を重視しており、最初に視聴することになる総合講義300でも論文で必要になる知識を中心に学んでいきます。
私はてっきり民法から順番に学んでいくものと思っていたのですが、実際にはそうではありませんでした。具体的な法律の勉強に入る前の入門編として法律の基礎知識を学びます。
法律の基礎知識では「法とは何か」「法にはどんな種類があるのか」「条文はどのように読めばいいのか」といった法学の最初の一歩を学びます。「えっ? そんな簡単なところから話を始めるの?」と思ってしまうくらい基本的な内容です。
法律の基礎知識の一連の講義があるおかげで、法律について本当に1度も学んだ経験がなくても司法試験・予備試験の学習をスタートできます。その気になれば中高生であっても問題なく学習を始められるでしょう。
法律の基礎知識の受講が終わると、いよいよ民法・商法・刑法等の個別の科目を学んでいきます。教材はテキストと講義です。総合講義300のテキストは試験攻略に必要な知識をレジュメ形式でまとめた体裁となっています。
レジュメ形式ですので余分な情報は削ぎ落とされており、知識の本質的な部分だけが掲載されています。そのためテキストのページ数はかなり圧縮されている印象です。
ここでアガルートのテキストの簡潔さを客観的に明らかにするため、民法のテキストが全部で何ページあるのかを他社の市販テキストと比較してみました。
アガルートの民法テキストは『試験対策講座』『C-Book』よりずっと分量が少なく、非常に簡潔に書かれていることがわかると思います。他の科目に関しても同様です。
司法試験・予備試験の学習にあたっては各科目のテキストを何周も回すことが大切ですが、アガルートの場合はページ数が少ないため、1周あたりの負担をグッと抑制できます。つまり他社の市販テキストよりも「回しやすい」のです。
公平を期すために書き添えると『試験対策講座』『C-Book』は短答と論文の両方を射程に入れています。そのため分量が増えるのは仕方がない面があります。
とはいえ、初学者にとってアガルートのテキストが取り組みやすい分量であることは明白であると私は思います。
さて、テキストは自分で読み進めることもできますが、実際に読んでみると少し難しいと感じるかもしれません。その場合は工藤講師による講義を合わせて視聴するのが良いでしょう。テキストの内容を工藤北斗講師がわかりやすく解説してくれるからです。
たとえば「民法 第2編 物権法」の不動産物権変動の最初に不動産登記の話が出てきます。この制度について工藤講師はこんなふうに説明していました。
登記というのが一体何なのかをざっくり言うと「今この不動産がどういう状態にあるのか」ということを公に示す、そういう制度です。公示の制度なんですね。
だから登記を見ればこの不動産がどういう不動産なのかが一目瞭然なんですよ。誰が所有者なのか、どういう権利があるのか、広さがどのくらいなのか、といったことが全部わかります。
例えば皆さんがある土地が欲しいなと思って最初に見るのが登記ということになりますね。その登記を見たら誰が所有者なのかがわかりますので、その所有者のところへ行って土地を売ってくださいと交渉することも可能です。
登記が持つ機能を誰にでもわかる言葉でかみ砕いて説明していることがわかると思います。この解説なら登記を始めて耳にした人であっても「へ~、そういう制度なんだ」と理解できますよね。
このように工藤講師は複雑怪奇な専門用語や概念を初心者が理解できる言葉でサクサクと解説してくれます。なので法律知識がゼロの人であっても安心して学習を続けられると言って良いでしょう。
論文答案の「書き方」のレビュー
論文答案の「書き方」(以下、書き方講座と呼びます)は論文試験の雰囲気をつかむための講座です。
書き方講座のテキストにはいくつもの練習問題が収録されています。1問ごとに問題文と答案構成・解答例が示されており「さぁ論文を書いてみろ!」と言わんばかりの内容です。
テキストを見た私は「えっ!総合講義で法律のことがようやく少しわかったくらいの段階なのに、もう論文答案を書く感じなの…?」と不安な気持ちになりました。「いやいや、書けるわけないじゃん」と。
しかし、繰り返しになりますが司法試験・予備試験では論文が書けなければ合格できません。ゆえにアガルートは論文試験を重視しており、だからこそ少しでも早く論文の問題・答案に触れさせようとしているわけです。
「そうは言ってもムズいよね?」と思っていた私ですが、受講を進めてみると「何でもいいからとにかく書け!」という不合理な指導をしているわけではないことがわかりました。
というのも、この講座では「簡易な論文問題とそれに対する答案構成例と解答例を読み込んで理解する」というインプット学習が中心になっているんです。つまりいくつもの答案の下書きと模範解答に目を通して論文問題に馴染むことに主眼が置かれていました。
では実際のところどのくらいの量の論文問題をインプットすることになるのか。私が受講した年度では次の通りでした。
科目 | 問題数 |
---|---|
民法 | 25問 |
商法 | 20問 |
民訴法 | 20問 |
刑法 | 25問 |
刑訴法 | 20問 |
憲法 | 調査中 |
行政法 | 調査中 |
100問を軽く超えています。確かにこれだけの数の問題と解答例を読み込めば、イヤでも「論文ってこういうものなんだ」とイメージできるようになりますよね。
なお、上の表で示したのは書き方講座の「講義編」の問題数です。実際には書き方講座には「答練編」も用意されており、そこでは自分で答案を書く練習を実施します(問題数は少なく、各科目4~5問程度)。
つまり書き方講座ではインプットをするばかりでなく、実際に手を動かして論述するアウトプットの機会もあるわけです。しかも作成した答案はアガルートのオンライン添削に出すことができます。
もちろん最初なので良い評価はもらえません。しかしたとえそうだとしても「客観的なフィードバックを得て実力を磨く学習」をできるだけ早い段階でスタートせよ、というのがアガルートのメッセージなのだと思います。
以上のことからわかるように、書き方講座は大量の設問・答案にどっぷり浸かり、それによって頭を論文に慣らすことを狙った講座であると言えます。
重要問題習得講座のレビュー
重要問題習得講座は論文答案作成の基礎力を養成する講座です。
いよいよこの講座から論文問題を解く訓練が本格的に始まります。基本7科目(民法・商法・民訴法・刑法・刑訴法・憲法・行政法)の問題集がメインの教材です。問題集には問題文・論点解説・答案構成例・答案例が次のように収録されています。
受講生はまずは自力で答案構成(答案の下書き)をやってみて、その上で論点解説等を読み、解説動画を視聴する流れとなっています。
私も実際にやってみましたが、結構難しい! いくら総合講義300や書き方講座を受講したと言っても、自分で論点を見つけて答案構成を書くことはやはり容易いことではありません。
でも1回目こそほとんど何も書けずに解説と模範解答を見て終わるのですが、翌日に同じ問題に再び取り組むと、何とな~く答案構成のようなものが書けます(前日の解答解説の記憶が残っているので、それを思い出しながら書く感じです)。
そして次の日に三度取り組むと、さらにましな答案構成が書けるようになりました。「なるほど、こうやって繰り返し論文問題を解くことで条文・判例・論点が頭に定着していって、論文を書く力が伸びていくんだ」と実感しました。
この講座を受講する価値は次の2点に集約できます。
- 基本問題・重要問題・典型問題をまとめてつぶせること
- 答案構成の十分なトレーニングができること
第一の価値は基本問題・重要問題・典型問題をまとめてつぶせることです。
司法試験や予備試験の過去問は書店等で買うこともできますが、その中には試験対策上外せない問題だけでなく「今後は出題がなさそうなもの」や「重要ともそうでないとも言えないもの」まで、全てがゴチャ混ぜだったりします。
そんな問題集から「外せない問題」だけをピックアップするなんて、私たち学習者には到底できませんよね。それに、仮にピックアップできたとしても、試験問題そのままでは学習に最適とは言えません(長すぎたり、重要度の異なる論点が混在したりするので)。
そこで基本問題・重要問題・典型問題と言えるものをプロの目で抽出し、論文の基礎力を付けるための問題としてアレンジした上で収録したのがこの講座の問題集となっています。
言い換えれば、この問題集を使うことで司法試験・予備試験の論文過去問の「一番美味しいところだけ」を「ひたすらつまみ食い」できるわけです。これ以上に効率の良い学習方法はないですよね。
第二の価値は答案構成の十分なトレーニングができることです。
論文試験の問題を解く際は、はじめに答案構成と呼ばれる答案の骨組みを作成し、それをもとにして本答案を書くという流れを取るのが普通です。ただし本答案を書く作業は時間がかかることから、この講座では原則として答案構成の段階に留めることが推奨されています。
では実際にどのくらいの量の答案構成を書くことになるのかと言うと、私が受講した年度では次の通りでした。
科目 | 問題数 |
---|---|
民法 | 73問 |
商法 | 63問 |
民訴法 | 58問 |
刑法 | 58問 |
刑訴法 | 78問 |
憲法 | 調査中 |
行政法 | 調査中 |
合計 | 約450問 |
各科目でおよそ60~70問前後、合計で約450問の論文問題に取り組みます。そしてそれを繰り返し行うように指導されます。
ということは、たとえば5周もすれば延べ2,000を超える答案構成を作ることになるわけです。これだけやれば最初はどんなに素人であっても確実に答案構成マスターになれるでしょう。
答案構成ができてしまえば、実際の答案に落とし込む作業はそれほど難しいわけではありません。したがって、この講座をやり込むことで論文試験の合格が手を伸ばせば掴める位置に初めて見えてくるはずです。
学習中期の対策講座
「予備試験最短合格カリキュラム」の学習中期の段階で受講することになる次の3つの講座を実際に受講してレビューします。
- 短答過去問解説講座(Ⅰ・Ⅱ)
- 法律実務基礎科目対策講座
- 論証集の「使い方」
短答過去問解説講座(Ⅰ・Ⅱ)のレビュー
短答過去問解説講座は司法試験・予備試験の短答式過去問の理解度を100%にするためのアウトプット講座です。
先にお伝えしてきた「総合講義300」「書き方講座」「重要問題習得講座」は予備試験最短合格カリキュラムの「基礎3講座」と位置付けられており、いずれも論文式試験を見据えたものでした。
基礎3講座をある程度こなしたら学習初期の段階が終わり、学習中期に入っていきます。学習中期の序盤はみんな大好き(?)短答対策です。ここで紹介する短答過去問解説講座の問題集は過去の司法試験全問題・予備試験全問題を収録しています。
「いきなり短答過去問を解けと言われても…無理でしょ!」と思うのですが、やってみると必ずしもそうではありませんでした。解けるものや、解けないまでも何が問われているかはわかる、という問題も数多くあるんです。
なぜ短答過去問に取り組むのが初めてなのに解き得るのか。それは短答で問われる知識が論文で問われる知識を包含しているからです。
つまり論文対策の「基礎3講座」で学ぶ事項は全て短答で問われる事項でもあり、ゆえにこの時点で短答問題にも部分的に対応できるようになっています。あとは短答でしか問われない知識(いわゆる短答プロパー知識)の習得を意識すれば良いわけです。
とはいえ、論文の知識で解ける問題でも初めのうちはそう簡単には解けませんし、これから覚えていかねばならない短答プロパー知識の量も決して少なくありません。
そこで短答過去問解説講座の問題集の最初の1周目は問題を解かずに「問題文を読む」→「解説を読む」だけを行うことが推奨されています。あまり時間をかけずにサクサク進み、まずは短答過去問の全体を頭に入れようというわけです。
これに対し、2周目以降は「問題文を読む」→「問題を解く」→「解説を読む」→「必要に応じて解説講義を聴く」という通常の流れで学習します。
講師の解説講義は単に問題集に載っている解説を読み上げるものではありませんでした。折に触れて司法試験・予備試験を攻略するためのヒントやテクニックを私たちに提供してくれます。
たとえば平成30年の民法第1問の解説冒頭で渡辺講師は次のように話しています。
この問題のテーマは胎児で、正しいものの組み合わせの問題ですね。
胎児と言ったらコレは絶対頭に入れておかないといけないのが「胎児に認められる権利能力」の話ですね。3つしかありません。
まずは①損害賠償請求、そして②相続、最後に③遺贈。(中略)この3つを除いて胎児には権利能力は認められていないということです。
これを前提にすればこの問題は超簡単で…
私たちが頭に入れておくべきポイントをズバッと提示してくれます。このように教えてもらえたら、もう同種のテーマの問題では間違えることがなくなりますよね。
ちなみに予備試験最短合格カリキュラムの「ライトカリキュラム」には短答過去問解説講座の講義が含まれていません。
しかし初学者の方ほど渡辺講師の講義から得られるものが多いです。ゆえに「ライトカリキュラム」ではなくフルパッケージのカリキュラムの受講をお勧めします。
一般的に、司法試験や予備試験の短答式試験は過去問をマスターしておけば合格できると言われています。
したがって私たちはこの短答過去問講座を何周も回して、全ての問についてその正誤と理由を解答できる状態を目指すことになります。つまり、最初にお伝えしたように「短答過去問の理解度100%」がこの講座のゴールなのです。
でも具体的に何周回せばいいのでしょうか? この点については「予備試験最短合格カリキュラム/ライトの進め方」という付属の冊子の中で言及がありました。
実際に何周と書かれていたのかは、ここでは割愛します。受講開始後に上記の冊子を参照してみてください(おそらく私の受講年度以降でも同様の冊子等が付属すると思います)。
短答過去問解説講座(Ⅰ・Ⅱ)の詳細を知りたいとき・サンプル講義動画を閲覧したいときは次のページをチェックしましょう。
法律実務基礎科目対策講座のレビュー
法律実務基礎科目対策講座は主として予備試験の論文式試験と口述試験で問われる「法律実務基礎科目」について基本知識を習得するためのインプット講座です。
法律実務基礎科目は大きく民事実務基礎と刑事実務基礎に分けられます。民事実務基礎は民法と民訴法を組み合わせた応用科目、刑事実務基礎は刑法と刑訴法を組み合わせた応用科目です。
講座付属のテキストはA4判1冊(約420ページ)。民事実務・刑事実務(および両分野にまたがる法曹倫理)を1冊に収録しています。
モノクロ印刷ではあるものの、情報がよく整理されており、知識をインプットしやすいように視覚的な工夫が凝らされていると感じました。
民事実務基礎は丸野悟史講師が担当します。
丸野講師はかつて伊藤塾でも予備試験の受験指導を行っていた経歴があります。この講座では民事実務の主要な学習事項である民事保全・要件事実・二段の推定といったテーマについてさすがと感じさせるわかりやすい講義を展開していました。
刑事実務基礎は谷山政司講師が担当します。
谷山講師も過去に伊藤塾で予備試験の個別指導に携わっていたほか、個人で受験指導の事業を行っていたとのこと。講義では筋道の通った整然とした語り口で刑事実務の主要な学習事項である勾留・保釈、公判前整理手続・事実認定等のテーマに切り込んでいました。
法律実務基礎科目は新たに習得するべき知識が少なく、また論文式試験の出題難易度も比較的やさしいものが多いです。したがって得点源とみなされるべき貴重な科目であると言えます。
しかし実際には多くの受験生が法律基本7科目で手一杯となり、法律実務基礎科目まで手が回りません。逆に言うとこの科目を丁寧に学習することで他の受験生に差をつけることができるわけです。
アガルートを受講する場合、カリキュラムに組み込まれた法律実務基礎科目対策講座で知識習得を着実に進められます。予備試験の合格可能性アップを大いに期待できる講座として気合いを入れて受講するのが良いと思います。
論証集の「使い方」のレビュー
論証集の「使い方」(以下「使い方講座」と表記します)は論文答案を書く際に必要となる各種の「論証」を習得するための講座です。
論文式試験では条文上明示されていない事柄や法解釈上争いのある事項等について、自分が依拠する立場(基本は判例・通説の立場)をその理由付けとともに示しつつ論述を進めなくてはなりません。
その際には毎回1から文章を組み立てるのでは時間が足りません。そこである程度決まったキーワードと文章表現を使用し、それを「論文を組み立てるパーツ」として答案に組み込んでいきます。
このパーツは論証と呼ばれており、この使い方講座のテキストには私たちが記憶しておくべき論証が多数収録されています。
使い方講座では解説講義も視聴可能です。
工藤北斗講師が論証1つ1つについて解説を加えていきます。私が感じたところだと比較的あっさりとした解説で次々に進んでいく印象です。30時間という短いで総合講義300の復習をすることを兼ねているためだと思われます。
さて、論文試験攻略のためには論証のキーワードと文章表現を暗記することが必要です。そのため使い方講座では講義音声をダウンロードして携帯音楽プレイヤー等を使って繰り返し聴くことが推奨されています。
ただ、ちょっと気になるのは講義では論証自体を読み上げることはしていないという点です。講師によるポイント解説にとどまっており、その音声を繰り返し聴いたところで論証の暗記の助けにはあまりならないのでは?と私は感じました。
とはいえ、使い方講座の講義音声を反復して聴くことは合格者に共通の活用法であるとして強く推されているので、単純に私の感覚が間違っているのかもしれないのですが…。
論証の暗記という観点では、自分で論証を読み上げ、その声を録音したものを繰り返し聴くといった工夫をするのが良いと思います。
学習後期の対策講座
「予備試験最短合格カリキュラム」の学習後期の段階で受講することになる次の講座を実際に受講してレビューします。
- 短答知識完成講座
短答知識完成講座のレビュー
短答知識完成講座は司法試験・予備試験の短答式試験においてのみ問われる知識を補完するインプット講座です。
前述の通り短答で必要になる知識は論文で必要になる知識を包含しています。アガルートの基礎講座である総合講義300では論文知識を優先的に学習しました。そこでは扱えなかった短答専用の知識(短答プロパー知識)をこの短答知識完成講座で学ぶわけです。
といっても、私たちは先行して短答過去問解説講座の問題集を通じて短答式試験の全ての設問を解き、その解説を読んだり聴いたりしています。つまり短答プロパー知識についてもすでにアウトプット学習をスタートしているわけです。
「それなら短答知識完成講座は不要なのでは?」と思われるかもしれません。実際、時間の余裕がない場合には短答過去問解説講座の受講は省略して良いことになっており、優先度が低く位置づけられています。
それでも「短答プロパー知識についても一通りのインプット学習をやっておきたい」と考える人は一定数いるはずです(私もそう感じます)。そういう人のために短答知識完成講座が用意されているのでしょう。
また実際に受講を始めてみると「短答プロパー知識に分類されているが、実際には論文で出題された実績のある知識」もこの講座で取り扱われていると気が付きます。その典型例が「袋地所有者の囲繞地通行権」で、工藤講師は次のように話しています。
この囲繞地通行権なんですけれども、短答プロパー知識と考えていただければいいのかなと思いますが、実はこれ司法試験の論文に1回出たことがあるんですよね。(中略)
しかも現場思考というよりは知識を訊いてる系の問題で、たぶん知らないと解けない。(中略)結構みんなビックリしたという、そういう問題だったんですね。(中略)
この問題が出題された後に、囲繞地通行権を総合講義に移そうか、それとも短答知識完成講座で従前通りに扱うかは悩んだんですけど、おそらく今後聞かれることはあまりないかなと思ってこの講座で扱っています。
ただ、論文に出たということは知っておくのが良いと思います。
このように「短答プロパー知識かそうでないかの境界部分の知識」がこの講座に入っていることがあるわけです。
したがって「境界部分の知識まで含めてしっかりインプット学習を進めておき、短答だけでなく論文式試験への備えも可能な限り充実させておく」という視点でも、この講座を受講する意義があります。
この記事のまとめ
今回はアガルート司法試験・予備試験講座の代表的なカリキュラム「予備試験最短合格カリキュラム」を実際に受講してレビューしました。
受講して強く感じることは「質も量も備わっているこのカリキュラムなら合格を確信できる」ということです。
まず質の面について。
最短合格カリキュラムでは書き方講座・重要問題習得講座・論文過去問解析講座の3ステップで論文答案の作成能力を極限まで高めます。同時に短答過去問解説講座・短答知識完成講座等で短答のみで問われる知識を養成します。
受講生1人1人が完全な初学者の状態からスムーズに階段を上っていけるよう、教材構成が緻密に作り込まれているわけです。
そして量の面について。
重要問題習得講座では約450問の論文構成を反復する他、短答過去問解説講座では過去の司法試験・予備試験の全問題(およそ2800問)を回す等、不足することが100%あり得ないほど十分な演習問題が用意されています。
物量をこなすことで知識が定着し、それが学習事項のより深い理解をもたらし、さらにそのことが知識の定着をいっそう促進し…という正のスパイラルが生まれやすくなっているんです。
圧倒的な合格実績にも裏打ちされた質実剛健なカリキュラムを受講して、司法試験・予備試験の合格を勝ち取るその時までコツコツと学習していきましょう。
以上、参考になれば嬉しいです。


