ブラック企業でつらい思いをしたためホワイト企業の見極めにうるさい杉山貴隆です。
今回はこんな疑問に答えます。
生まれて初めて就職活動をするんだけど、ブラック企業に入社することだけは避けたい。ホワイト企業・ブラック企業の見分け方を教えてほしい
職歴なしのアラサーが就活を始めたとき最初にぶつかる問題のひとつが「ホワイト・ブラックをどうやって判別すればいいか?」です。多くのブラック企業があなたのような「職歴が無く世間を知らない働き盛りの人」を待ち構えています。
私もかつてそのような罠にひっかかってしまいました。その時入社したブラック企業は半年で逃げ出せたので良かったのですが、履歴書には傷がつきました。
このことをきっかけに私はいかにしてホワイト企業の求人を見つけ出すかということを自分なりに研究し始めました。そうして幾度か転職した結果、現在は某業界の大手ホワイト企業で正社員として勤めることができています。
この記事では私が求人を探すときに気を付けているホワイト企業・ブラック企業の見分け方のポイントを共有します。ぜひ参考にしてみてください。
ホワイト企業・ブラック企業を見分ける5つのポイント
ホワイト企業・ブラック企業を区別できる基準は色々あるのですが、今回はその中でも利用しやすい5つに厳選してお伝えします。
- 年間休日は何日あるか
- 賞与はあるか
- 月間残業時間はどの程度か
- みなし残業時間制(固定残業制)でないか
- 始業時間と実際の出社時間の差が大きくないか
以下でひとつずつ詳しく見ていきましょう。
年間休日は何日あるか
ホワイト企業・ブラック企業を見分けるポイントの1つめは年間休日が120日以上あるかどうかです。
きちんと利益が出ていて従業員に配慮しているホワイト企業なら「完全週休2日制」かつ「土日祝と盆・正月は休み」にするのが普通です。業態的に土日祝の休みが難しい場合でも、それと同等の日数の振替休日をホワイト企業なら用意するでしょう。
では完全週休2日で土日祝・盆・正月が休みの場合に年間休日が何日くらいになるかというと、おおよそ120~130日となります。したがって求人票に書かれている年間休日が120日を下回っているなら警戒しなければなりません。
ときどき週休2日や土日祝休みをうたっているのに年間休日が110日とか100日になっている求人があります。こういう会社は実際には「週休2日は隔週(1週おき)」だったり「祝日がある週は土曜出社必須」だったりします。ご注意を。
私の個人的なホワイト・ブラック判定基準は次の通りです。
- 年間休日120日以上
- ホワイト企業の可能性高
- 年間休日110日前後
- 珍しくはないが、なぜ110日なのか見極める必要あり
- 年間休日100日以下
- ブラック企業の可能性高。近づくべからず
賞与はあるか
ホワイト企業・ブラック企業を見分けるポイントの2つめは賞与はあるかです。
ホワイト企業の正社員求人であれば基本給の2か月分くらいは賞与があるのが普通であり、無い場合は危険信号が灯っているとみなしましょう。
賞与は企業が儲かっているかどうか、また儲かったお金を従業員に還元しようという姿勢があるかどうかを見極める指標であるとも言えます。
儲かっていない会社や儲かっていても従業員に還元する気が無い会社はボーナスを出しません。そういう会社はブラック色が強く、きっと勤めても疲弊してしまいます。
私の個人的なホワイト・ブラック判定基準は次の通りです。
- ボーナス有・3~4カ月分
- ホワイトの可能性高
- ボーナス有・2か月分
- 普通
- ボーナス有・1か月
- …。
- ボーナス無
- ブラック企業の可能性高
月間残業時間はどの程度か
ホワイト企業・ブラック企業を見分けるポイントの3つめは月間残業時間はどの程度かです。月間残業時間(時間外労働時間)は「20時間を上回るか、下回るか」がブラック企業・ホワイト企業見極めのポイントになります。
なぜ「0時間」でなく「20時間」なのかというと、現在の日本ではホワイトな会社であっても出勤1日あたり1時間くらいの残業は避けられない場合が多いからです。
出勤1日あたり1時間の残業を受け入れたとして、月に20日くらい出社したとします。そうすると月間残業時間は20時間です。このくらいであれば仕方無いかなと受け入れる判断をします。
私の個人的なホワイト・ブラック判定基準は次の通りです。
- 残業なし
- ホワイトの可能性高。ただし「残業しても残業とはみなさない。もちろん残業代も支払わない」という宣言である可能性もあるので要確認
- 残業月10時間以下
- ホワイトの可能性高、お宝求人
- 残業月20時間以下
- 普通
- 残業月30時間以下
- …。
- 残業月40時間以上
- 到底受け入れられないブラック企業
みなし残業時間制(固定残業制)でないか
ホワイト企業・ブラック企業を見分けるポイントの4つめはみなし残業時間制(固定残業制)でないかです。
みなし残業制とは、たとえば基本給が20万円のとき「その基本給に月○時間分の残業代が含まれているとみなす」というもの。たとえば「月30時間分の残業代が含まれているとみなす」場合、あなたが時間外労働をやったとしても30時間までは1円も給料が増えません。
「30時間を超えた場合は残業代を支給する」というのが建前ですが、結局うやむやにされて給料は増えないことがほとんどです。みなし残業制は残業代をきちんと払いたくない会社が採用する制度なので避けましょう。
私の個人的なホワイト・ブラック判定基準は次の通りです。
- 残業代は○分単位で支給
- まともな会社。ホワイトの可能性高
- 求人票に「残業代支給」とだけ書かれている
- どういう基準で支払っているのか確認しておくのが良い(実はみなし残業制である場合も)
- みなし残業時間(固定残業時間)○時間分を給与に含む
- ブラックの可能性高。労務管理をやっていない・する気がない会社
始業時間と実際の出社時間の差が大きくないか
ホワイト企業・ブラック企業を見分けるポイントの5つめは始業時間と実際の出社時間の差が大きくないかです。
どういう意味かというと、いわゆる「定時」の始業時間と従業員が実際に出社する時間帯がかけ離れている場合があるので、この点をチェックします。
たとえば9時始業と求人票には書いてあるけど、実際には皆8:30には出社しているということがよくあります。30分程度なら許容範囲と思わないこともないですし、もし早く出社した分の残業代(時間外手当)が支払われているということであれば全然構わないとも思います。
しかし私が知っている一番ひどい例だと、求人票には9時始業と書かれているのに面接で質問してみたら「皆7時台に出社している。その分の時間外手当は支払っていない」と回答されたことがあります。
始業時刻の前の労働時間はなぜか手当をつけない会社が多いです(違法なのですが)。注意しましょう。
私の個人的なホワイト・ブラック判定基準は次の通りです。
- 始業時間と実際の出社時間の差が30分以内
- 普通。早く出社した分の手当がつくのであればホワイトの可能性高
- 始業時間と実際の出社時間の差が30分以上1時間以内
- ブラックの香り
- 始業時間と実際の出社時間の差が1時間以上
- ブラック認定おめでとうございます
見分け方の活用方法
ここまでで見分け方を5つご紹介してきました。これらをどのように活用すればよいでしょうか。最初に挙げた3点(年間休日、賞与の有無、月間残業時間)は求人検索の条件として指定できる場合が多いので使いましょう。
年間休日120日以上、賞与有り、月間残業時間20時間以内と指定すればブラック企業はかなりふるい落とせます。ハローワークや求人サイトで検索するときは、積極的に条件に指定してみてください。
残りの2つ「残業制度」と「始業時間と実際の出社時間の差」は求人検索の条件として指定できないことが多いので、少し違う使い方をします。
まず残業制度ですが、求人の詳細情報を読み込んでいくと書いてある場合があります。もし「みなし残業(固定残業)」という文言を見つけたら、その求人は除外します。
「残業代支給」とだけ書いてあるときはその具体的内容について応募前に質問して明確にするようにしましょう。
企業側に質問して初めてみなし残業制をとっていることが明らかになった場合はその会社への応募は十分慎重になってください。なぜかというと、その会社は「都合が悪い情報は隠す」という姿勢をとっているからです。
こちらが質問しない限りは言わないつもりだったわけでしょう。ということは他にも何か隠している可能性が極めて高いです。
次に始業時間と実際の出社時間の差について。この情報が求人票・求人情報には書かれていることはありません(書いてあると誰も応募しないので)。
ゆえに応募前に質問して確認しておくのがベストですが、伝え方が少し難しく、言葉選びやタイミングを間違えると先方にあまり良い印象を持たれない結果になります。なので私の場合は事前には尋ねずに次のようにしていました。
まず前出の4つの基準を満たしている求人であれば「始業時間と実際の出社時間の差に関してもおそらく問題ないだろう」という見込みでいったん応募します。
そして面接を通じてある程度採用担当者との関係性が作れたのを見計らってから、口頭でサラッと始業時間と実際の出社時間の差を質問し、答えてもらいます。このようにすると選考プロセスへの影響を最小限にしながらこちらが確認したいことを確認できます。
面接で始業時間と実際の出社時間の差を質問すると、特に問題ないホワイト企業はすぐに答えてくれます。逆に問題を抱えているブラックな企業の担当者は「痛いとこを突かれた」という表情になり、苦笑したり、答えにくそうにします。
こちらからの質問に対する態度や反応もホワイト・ブラックの見極めの材料になりますので、良く観察しましょう。
おわりに:ブラック企業排除の支援サービスも利用しよう
今回は職歴なしアラサーが知っておくべきホワイト・ブラック企業の見分け方をお伝えしました。見分け方のポイントを復習すると次の通りです。
- 年間休日は何日あるか
- 賞与はあるか
- 月間残業時間はどの程度か
- みなし残業時間制(固定残業制)でないか
- 始業時間と実際の出社時間の差が大きくないか
上記の5つの基準を使ってホワイト企業なのかブラック企業なのかを見極めていただければと思います。
…とはいえ「そんなことに時間を使うのはちょっと面倒くさい」あるいは「自分の判断力に自信が持てない」と感じる人もいるのではないでしょうか。そういう人は次の記事でまとめている就職支援サービスを利用するのが良いと思います。
なぜならこういった就職支援サービスではそもそもブラック企業は除外した上で求人を提案してくれるからです。
ホワイト・ブラックを見抜く作業は就職支援サービス側にまかせて、あなたは志望動機を考えたり、質問への回答力を高めるといった重要なことにエネルギーを集中できます。
上の記事をチェックして、もし自分にあっていそうなサービスがあれば利用していただければと思います。ちなみに就職支援サービスの利用は無料ですのでお気軽に。
以上、参考になれば嬉しいです。