宅建試験に独学で一発合格した宅建士杉山貴隆です。
今回はユーキャン宅建士講座の『完成テキスト』をレビューします。実物を撮影した画像を交えつつ実際に使ってみて感じたメリット・デメリットを率直にお伝えしていきます。ぜひ参考にしてみてください。
※2022年4月追記:この記事でレビューしているのは、ユーキャン宅建士講座の「本科講座」の内容です。これに対し、ユーキャンは4月1日から「短期合格講座」を提供しています。両講座の内容は完全に一致するものではないことをご了承ください(短期合格講座のほうが絞り込まれたカリキュラムです)。主な違いは別記事で解説しています。
ユーキャン宅建士講座の完成テキストとは
ユーキャン宅建士講座の完成テキストはユーキャンの合格戦略を習得できる特別な内容の教材となっています。
合格戦略ってなんのこと?と思われたかもしれません。簡単に言うと合格点をとるための具体的なテクニック・ノウハウのことです。
ユーキャン宅建士講座は30年以上の歴史があるのですが、その歴史の中で蓄積された宅建試験で正解するコツを集約したものと言っても良いでしょう。
以下で完成テキストの位置づけと内容について見ていきます。
完成テキストの位置づけ
完成テキストはユーキャン宅建士講座のカリキュラムの終盤で使います。そもそもユーキャン宅建士講座のカリキュラムは次の3段構成です。
- 1.基礎テキスト
- はじめに宅建試験の問題を解くための基本的な知識を習得する
- 2.実戦テキスト
- 次に過去問を使って試験問題を解くトレーニングをする
- 3.完成テキスト
- 仕上げとして得点力をアップさせるための技術を学ぶ
このカリキュラムを一戸建ての建築に例えてみると基礎テキストは基礎という言葉の通り住宅の基礎・土台の部分にあたります。
基礎ができあがったらその上に柱を立てて、梁(はり)をかけて屋根・床・壁を作って…という具合に家を組み立てていくわけですが、そうやって建物としての最低限の構造が出来上がるまでを実戦テキストが担当します。
こうして最低限の構造が出来上がった建物は一応雨や風をしのげる場所になりますよね。でも内部はクロスも貼っていなければ流し台も無いのでまともな生活はできそうにありません。
そこできちんとした内装を取り入れて立派な住まいに変えていく必要があります。このような最終仕上げの部分を担当するのが完成テキストの役割です。
完成テキストの構成
完成テキストはLESSON-1からLESSON-3までの3つのレッスンで構成されています。目次だけ引用すると次の通りです。
- LESSON-1 解法ナビゲーション
- LESSON-2 解法マニュアル
- LESSON-3 解法エクササイズ
上記のうちLESSON-1は導入部分なのでそんなに深い内容ではありません。メインはLESSON-2の解法マニュアルです。
解法マニュアルでは各科目の出題をいくつかのパターンに分類してパターンごとの解き方を具体的に提示しています。
たとえば権利関係科目の問題を事例型問題・消去法・非事例型+長文問題といったパターンに分類して、それぞれに対する具体例と解法を記しています。
パターン別の解法を一通り学んだらLESSON-3の解法エクササイズに進み、そこに用意されている50問の問題を実際に解いていきます。
以上見たように完成テキストはLESSON-2のインプットとLESSON-3のアウトプットを通じてユーキャン宅建士講座の合格戦略を身に付けていく構成です。
要所要所で動画による解説も用意されています。視聴するとさらに理解が深まります。
ユーキャン宅建士講座の完成テキストのメリット
ユーキャン宅建士講座の完成テキストには次の3つのメリットがあります。
- パターン別の対応力がつき得点力が上がる
- テクニック面で中級者に追いつける
- 模試1つ分の問題演習ができる
以下で詳しくみていきましょう。
パターン別の対応力がつき、得点力が上がる
完成テキストのメリットの1つめはパターン別の対応力がつき得点力が上がることです。
比較のために独学で宅建試験の対策をした人のことを考えてみましょう。独学した場合でも過去問演習をしっかりやっていれば宅建試験の問題にはいくつかのパターンがあることに何となく気づきます。
しかし独学なのでパターンごとの解き方を誰かに教えてもらえるわけではないのが難点です。自分なりのやり方を見つけていくことはできるものの、時間もかかりますし正しいやり方を見つけられるとも限りません。
これに対しユーキャン宅建士講座を受講する人はパターンごとの解き方を完成テキストで学べます。時間をかけずに最適な解答手順を知ることができるのです。
宅建試験の本番では50問の問題を制限時間内に解く必要がありますが、このパターンならこうやって解くというパターン別解法が把握できていれば効率よく正解にたどり着けるでしょう。
つまり完成テキストの解法マニュアルに習熟することで得点力の大幅アップが見込めるのです。
テクニック面で中級者に追いつける
完成テキストのメリットの2つめはテクニック面で中級者に追いつけることです。
宅建試験は毎年たくさんの人が受験します。その中には宅建試験の受験が2度目・3度目の人や既に他の国家試験で合格した経験のある人もいます。
こういった人々は宅建試験を受験する際に有利です。というのも以前に多肢選択式の国家試験を受けたことがある人は多肢選択式問題に共通の「こうすれば正解が見つかりやすい」「こうすればミスを減らしやすい」といった経験則を持っているからです。
対照的に、国家試験の受けるのは宅建が初めてという人は上記のような経験則を持っていません。相対的に試験本番では不利な面があると言えます。
しかし完成テキストを使えばこの問題がある程度解消します。完成テキストのLESSON-2で経験則にあたる部分を解説してくれているからです。
「4肢択一式問題の一般的な解き方等」と題して、どの科目でも(あるいはどの多肢選択式試験でも)共通して使えるテクニックを紹介しています。こちらの内容を吸収することでテクニック面での不利さの大部分を打ち消すことができます。
模試1つ分の問題演習ができる
完成テキストのメリットの3つめは模試1つ分の問題演習ができることです。
完成テキストのLESSON-3「解法エクササイズ」ではそれまでに学んだ解法を使って50個の問題を解いていきます。この50問は単なる50問ではなく宅建試験によく似せた模擬試験形式です。
マークシートもついていますし、解いた後は解答・解説をチェックして自己採点したり復習したりもできます。完成テキストには模試が1つ付属していると考えていただいてOKです。
ユーキャンが関係している宅建の模試といえばThe Open MOGI(ジ・オープンモギ)という公開模試が有名ですが、そちらを受験するには5,000円前後の料金と受験手続が必要です。
一方で完成テキストを模試代わりに使えば追加の料金は不要ですし、受験手続の手間もなく、そのうえ解法マニュアルに対する理解も深まります。このように、完成テキストには一石二鳥・三鳥の効果があるのです。
ユーキャン宅建士講座の完成テキストのデメリット
完成テキストのデメリットはテクニックだけ学んで満足してしまう危険性があることです。
先にも見たように完成テキストを読んでいくと宅建試験の得点力をアップするための技術を学べます。そしてこの冊子の学習が終わるとつい「これでもう大丈夫」と安心してしまいそうになります。
しかし宅建試験は合格率15%前後の国家試験であり小手先の点取り術だけで合格点が取れるような試験ではありません。
完成テキストを一通り終えた後も過去問演習等を続けることが必要不可欠です。事実、完成テキストの冒頭部分では完成テキストを終えた後に実戦テキストを徹底的に繰り返すことを推奨しています。
先ほどの一戸建ての建築のたとえに戻って考えてみましょう。もし基礎部分や柱・床・壁がガタガタの状態なら、どんなに内装が美しく洗練されていても家として成立しませんよね。
完成テキストで学習するにあたってはテクニックを知って満足してはダメで、試験前日まで実践的なトレーニングを積むことを続けていただければと思います。
この記事のまとめ
今回はユーキャン宅建士講座の完成テキストをレビューしました。完成テキストはユーキャンの合格戦略を習得するための教材であり、そのメリットは次の3点です。
- パターン別の対応力がつき、得点力が上がる
- テクニック面で中級者に追いつける
- 模試1つ分の問題演習ができる
完成テキストのデメリットとしては次の点を指摘しました。
- テクニックだけ学んで満足してしまう危険性がある
完成テキストで学べば出題パターンがつかめます。パターンごとの解法を活用して過去問演習を繰り返し、確実に合格をつかめるようになりましょう。
以上、参考になれば嬉しいです。