宅建士の「法定講習」は全国どの都道府県でも受講できる?(遠隔地へ引越す宅建士が知っておくと良いことシリーズ その3)

宅建士の引越その3 法定講習編

こんな悩みや疑問に答えます!

法定講習って、何だっけ?

県外に引越すんだけど、引越し先の都道府県で受講できるの?

問合せ先を教えて!

前回の記事に続き、「遠隔地へ引越す宅建士が知っておくと良いこと」シリーズの3回目です。今回が最後になります。

宅建士の方はご存じのように、宅地建物取引士証には5年という有効期限があります。期限が近づいたとき、引き続き宅地建物取引士証を持っておきたい場合は更新の手続きをとるわけですが、事前に「法定講習」を受けなければなりません。

さて、現在登録している都道府県から引越して他の都道府県へ行くとなると、ひとつ疑問が湧いてきます。それは「転居先の都道府県で法定講習を受けられるのか」というものです。今回はこの問題に対する答えを述べていきたいと思います。

記事を読み進めていくと、あなたは次のメリットを得られます。

  • 法定講習は原則どこで受けるべきか分かる
  • 登録のある都道府県以外で受講できるかどうか分かる
  • 法定講習についてどこに問い合わせをしたら良いか分かる

なお、今回「登録の移転」について再度触れることになります。宅建士の引越しと「登録の移転」の関係については、前々回の記事の記事で詳しくお伝えしました。まだお読みでない方は、先にそちらを読んでいただくと良いかと思います。

以下、できるだけ分かりやすくまとめましたので、参考にしてみてください!

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法定講習って何? どの都道府県で受ければいいの?

宅建士は、宅地建物取引士証の期限の更新を希望する場合、期限満了の日の前6か月以内に行われる「法定講習」を受講しなければなりません。

法定講習は各都道府県の宅建協会が月に何度か開催しています。予め決められた日時があり、予約を申し込んで受講します。講習では、ここ5年間の法令改正・税制改正や新判例について、実務に特に関わりの深い部分を学んでいくことになります。

ところで、法定講習は全国どこでも自分の好きな都道府県で受けてよい、というものではありません。「登録をしている都道府県の知事が指定する講習」を受ける必要があります。ですので、原則として宅建士の資格登録をしている都道府県の講習を受けなくてはなりません。

それはそうだろう、と思われるかもしれませんが、問題は宅建士が引越しをする場合です。引越した直後とは限りませんが、数年後にはきっと法定講習を受けることになるわけです。特に遠いところへ引越しをする宅建士は、法定講習を受講する場所のことを考えておく必要があります。

といっても、引越しにともなって、宅建士の登録を転居先の都道府県に移す(つまり「登録の移転」をする)のであれば、話は簡単です。転居先の都道府県に登録を移すのですから、転居先の都道府県で法定講習を受講することになります。

「登録の移転」をしない場合は?

問題は、「登録の移転」をしない場合です。「転居前の都道府県に登録を据え置いたまま引越しを行い、数年経って宅地建物取引士証の期限が迫ってきた。宅地建物取引士証は引き続き持っておきたい」というケースです。

この場合、原則としては登録をしている都道府県で受講することになっているのですから、転居前の都道府県に行って、そこで開催される法定講習を受けよ、ということになります。

でも、それってあまりにも不経済・不合理だと思えることだってあるわけです。ちょうど私がそういうケースでした。というのも、私はもともと福岡に登録があったのですが、事情があって沖縄に移住しました。しかし宅建士登録は当面福岡に置いたままにしておく予定だったため、更新の時期が近くなったときには法定講習のためだけに福岡に行く可能性が出てきたのです。旅費だけで数万円かかります(泣)

それならば、おとなしく沖縄に「登録の移転」をすれば良いじゃないか、と思われた方は、ぜひ前々回の記事をお読みください。「登録の移転をしたくても、制度上できない」というケースだったのです。

では、なおさらおとなしく宅地建物取引士証の更新を諦めて、返納せいと言われるかもしれませんが、できることなら手放したくないんですよね…(T_T)

ちなみに、宅地建物取引士証は「写真付きの公的身分証」のひとつだったりします。何かのサービスの申込みなどをするときに「写真付きの公的身分証」の写しが必要になることがありますが、宅地建物取引士証は運転免許証と同じように使えるのです。そういう「実利」的な部分があることを考えても、可能な限り宅地建物取引士証は手元に置いておきたいのです。

登録していない都道府県での受講の可能性

では、宅建士の資格登録をしていない都道府県で法定講習を受けることは、全くできないのでしょうか?

実は、そんなことはないんです!(やった!!)

遠隔地に居住している等、やむを得ない事由があると認められる場合には、所定の手続きを経ることにより、登録していない都道府県で法定講習を受けることができる場合があります。ただし、できない場合もあります。(このあたりは、おそらく都道府県の裁量にある程度ゆだねられているのではないかと思います。)

登録のない都道府県での受講を希望する場合、まずは登録のある都道府県の宅建関係の窓口に問い合わせることになります。ここからは私のケースをお話していくので、一例として理解していただければと思います。私がある時福岡県の建築指導課に問い合わせたところ、次の手順で手続きをするようにとの回答を得ました。

  1. 受講を希望する都道府県の法定講習実施団体(つまり引越し先の都道府県である沖縄県の宅建協会等)に問い合わせ、福岡県登録の宅地建物取引士が受講可能かどうか確認をする
  2. 上記でOKの確認がとれた場合には、福岡県に対し「他の都道府県での講習受講を承認してください」ということを申請し、承認してもらう

「転居先都道府県の宅建協会等に受講の可否を問い合わせる」というステップがあることに十分注意してください。というのも、受講希望の都道府県(の宅建協会)と登録している都道府県との組み合わせによっては、受講ができないことがあるようなのです。具体的にどのような場合に受講できないかの詳細は、不明です。

たとえば、「全日本不動産協会 神奈川県本部」のサイトを見ると、次の記載があります。

「宅地建物取引士の法定講習は有効期限の6ヶ月前から受講することができます。全日会員で無い方でも、宅地建物取引士であればどなたでも受講することが可能です。(但し、東京・大阪等一部の都府県登録の場合を除きます。)

法定講習のご案内|公益社団法人 全日本不動産協会 神奈川県本部
公益社団法人全日本不動産協会 神奈川県本部の法定講習のご案内です

東京・大阪に登録のある人は、全日神奈川県本部での法定講習受講はできないということです。大都市の登録者が受講することを認めると、人数が多すぎて無理、という判断なんでしょうか…

Yahoo!知恵袋にも同様の情報がありました。「東京・大阪の登録者は、他の地域での法定講習は絶対に受けられない」とのことです。ただし2013年の情報で、情報源がどこなのかは不明です。

宅建主任者の登録県外の法廷講習について 現在、大阪府知事の宅建主任者証を所持しています。法廷講習を大阪まで講習に行くのが、億劫です。 -...
宅建主任者の登録県外の法廷講習について 現在、大阪府知事の宅建主任者証を所持しています。法廷講習を大阪まで講習に行くのが、億劫です。 住所地に登録を移転したいのですが、不動産業に携わっていないので、無理です。大阪以外の登録の方が大阪で受けるようですが、逆はダメなのでしょうか。いざという時困るので、登録はしておきたいので...

さらに、受講希望の都道府県にもともと登録している宅建士のほうが優先されるため、断られることもあるとのこと。(これは、仕方ないですよね。)

加えて、上記の手続き自体に時間がかかる上、受講承認が下りた場合も、受講上の注意点や受講後に必要になる手続きなどもあります。そのため、どうしても登録している都道府県以外で受講したい場合には、早め早めに確認をとり、必要な手続きを進めていくのが良いかと思います。

私? 私はもう面倒くさすぎて更新を諦めてしまいました(T_T) 一応、沖縄県の宅建協会に問い合わせて「福岡の宅建士なら基本受講OK、ただし席の状況にもよる」という返事をもらったと記憶しています。何年か前の情報ですのであしからず…。

希望の都道府県で受講できなかった場合

登録していない都道府県で法定講習を受講できなかった場合(断られる等した場合)は、どうすれば良いのでしょうか。取りうる選択肢は3つだと思います。消極的な内容にならざるを得ませんが、まとめておきます。

選択肢1:原則通りの手続きをとる

選択肢の1つ目は、仕方がないので登録のある都道府県に赴いて、法定講習を受講するというやり方です。

すごく面倒ですし旅費もかかりますが、宅地建物取引士証の有効期限を途切れさせたくない場合は、原則に従って手続を進めるのが、実は一番確実です。

選択肢2:宅建業者に就職して「登録の移転」をする

転居先の都道府県で法定講習を受けられないのは、「登録の移転」をしていないからです。登録の移転をしていないのは、ほとんどの場合転居先の都道府県で宅建業に従事していないからでしょう。

それならば、半ば無理やりですが、有効期限が切れる前に急いで転居先の都道府県の宅建業者に就職し、急いで登録の移転を完了する…というやり方も可能性としてはあります。それができれば、転居先の都道府県の宅建士として堂々とその都道府県の法定講習を受講し、宅地建物取引士証を更新できるでしょう。

ただ、このやり方は全く不可能とは思いませんが、そううまく就職できるかどうかは分かりません。それに仮に就職できたとしても、有効期限が迫っている場合はスケジュールの調整がかなり大変だと思います。さらに、もし計画通りにいかず更新が失敗してしまえば、勤め先にも少なからず迷惑をかけることになると思います。あまりオススメできません。

選択肢3:期限切れを受け入れる

選択肢の3番目は、宅地建物取引士証の更新自体を諦めてしまうということです。この場合、宅地建物取引士証はいったん返納します。

なお、宅地建物取引士証が期限切れになったとしても、登録は有効です。したがって、次に必要になったとき(つまり転居先都道府県で宅建業に従事することとなったとき)、登録を転居先の都道府県に移転する手続きをとり、転居先の都道府県の法定講習を受講する(つまり選択肢2)、という流れになります。

「登録していない都道府県での法定講習受講」の問合せ先・詳細ページ

登録していない都道府県での法定講習受講について詳細を知りたいときは、まずは登録をしている都道府県の宅建関係窓口に電話で問い合わせるのが良いでしょう。

ウェブ上の情報があれば参照したいところですが、県によって情報を出しているところとそうでないところがあります。イレギュラーな話なので、基本、ウェブ上の情報は少なめです。私が見つけたページを示しておきます。

福岡県に登録のある方はこちら。

宅地建物取引士証交付のための法定講習を県外で受講するには - 福岡県庁ホームページ

岩手県に登録のある方は、下記ページ中段の「法定講習を他都道府県で受講する場合」の部分。

宅地建物取引士証の交付手続について
岩手県

佐賀県に登録のある方はこちら。

宅地建物取引士の法定講習を佐賀県外で受講する場合の許可申請手続きについてお知らせします
宅地建物取引士の法定講習を佐賀県外で受講する場合の許可申請手続きについてお知らせします / 佐賀県

上記以外はウェブページを探しても情報が見つからないかもしれません。その場合は、電話で問い合わせてみてください。Googleで「○○県 宅建士 登録講習」を検索する際のリンクを以下に載せておきます。

この記事のまとめ

以上、宅地建物取引士証の更新前の法定講習を、資格登録していない都道府県で受講できるのかどうかについて考えてきました。この記事のポイントをまとめておきます。

  • 法定講習は原則として資格登録をしている都道府県で受講しなければならない
  • 登録していない都道府県で受講できることもあるが、手続きは煩雑である
  • 詳細は登録している都道府県に問い合わせるのが確実である

ここまで、3回に渡って「遠隔地へ引越す宅建士が知っておくと良いことシリーズ」をお伝えしてきました。数年前、私自身が宅建士として都道府県をまたいで引越す経験をしたのですが、その際に集めた情報をまとめたものです。お読みいただいたあなたにも、きっと何かしら参考になるところがあったのではないかと思います。

なお、宅建士は国の制度ですが、運用は都道府県単位で行われており、細かい部分を見ていくと都道府県ごとに手続きの違いがあったりします。また、時間の経過とともに状況が変わっているかもしれません。当ブログの記事はあくまで参考資料・予備知識として捉えていただき、その範囲でご活用いただければ幸いです。

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