宅建士・司法書士の違いは?どちらを取るべき? ダブルライセンスを勧めない理由も解説

宅建士・司法書士の違いは?どちらを取るべき? ダブルライセンスを勧めない理由も解説

宅建試験一発合格済みの宅建士Kiryuです。

今回は「宅建士と司法書士の違い」「宅建士と司法書士のどちらを取るべきか」「ダブルライセンスを目指すべきか」の3点についてお伝えします。

ちなみに、私は宅建士として不動産会社に勤務していたころ、登記簿を見るのが好きだったのをきっかけに司法書士にあこがれて、真剣に司法書士試験の勉強をしていた時期があります。

そんな経験をベースにしつつ私の考えを示したいのですが、結論だけ先にお伝えすると次の通りです。

  • 宅建士・司法書士の違い:宅建士は契約の前工程で活躍し、司法書士は契約の後工程で活躍する
  • 宅建士と司法書士のどちらを取るかで悩むなら、難易度・求人数・将来性の観点から宅建士が良い
  • ダブルライセンスは可能だが、社会的ニーズが無いためおすすめできない

以下で詳しくお伝えしていきます。ぜひ参考にしてみてください。

宅建士と司法書士の違い

宅建士と司法書士の違いは、社会的役割の違いとして捉えるとわかりやすいです。

宅建士の役割
不動産の取引が適正かつ円滑に行われるようにすること
司法書士の役割
取引によって変化した不動産に関する諸権利を不備なく登記すること

宅建士は、不動産の契約が売主・買主双方にとって不利・不当なものにならないようにチェックします。

この役割を果たすため、宅建士はあらかじめ取引の対象となっている土地・建物について現況や法的位置づけを調査したり、重要事項説明書・契約書を作成したりします。

司法書士は、不動産の契約によって生じた権利の変動、たとえば「持ち主が変わった(所有権の移転)」 「一定の条件のもとで銀行が強制売却できることになった(抵当権の設定)」といったことを、取引の当事者に代わって登記します。

この役割を果たすため、司法書士は不動産の契約成立の直後に法務局へ行って登記を申請します。

単純化すれば「宅建士が活躍するのは不動産取引の前工程」「司法書士が活躍するのは不動産取引の後工程」ということです。

どちらの資格を取るべきか

宅建士と司法書士のどちらを取るべきかで迷っているなら、私のおすすめは宅建士です。

その理由は3つあります。

  • 宅建士のほうが司法書士よりも難易度が低い
  • 宅建士のほうが司法書士よりも求人がある
  • 宅建士のほうが司法書士よりも将来性がある

以下でもう少し詳しく説明します。

宅建士のほうが司法書士よりも難易度が低い

宅建士と司法書士はどちらも国家資格ですが、宅建士のほうが取得が簡単です。

このことは試験合格に必要とされる勉強時間を比べれば一目瞭然でわかります。

宅建士の学習時間の目安
約300時間
司法書士の学習時間の目安
約3,000時間
宅建試験の難易度は?資格ランキングと私の受験経験をもとに3つのポイントを解説
【宅建士合格ブログ】難化が続く宅建試験。その難易度を把握できる3つのポイントを解説します。客観的なデータを挙げつつ私の実体験と考察も盛り込んで、わかりやすく伝えることを重視しました。

単純比較ではありますが、司法書士のほうが10倍くらい多く勉強しなければ合格できないのです。

もし「国家資格を取って箔をつけたい(履歴書の見栄えをよくしたい)」というのが資格を取りたい理由の1つなら、楽に取れる宅建士を選ぶのがよいでしょう。

宅建士のほうが司法書士よりも求人がある

宅建士のほうが司法書士よりも圧倒的に多くの求人があります。

ハローワークの求人検索で資格名を指定して全国の求人を検索した結果を次に示します(2021年7月26日時点)。

「宅地建物取引士」を指定した場合
4,868件
「司法書士」を指定した場合
143件

宅地建物取引士の求人募集が約4,800件あるのに対し、司法書士の求人募集はわずか約140件。

47都道府県で平均して考えると、宅建士は1都道府県あたり100件ほど求人があるのに対し、司法書士は3件くらいしかない計算です。かなり差がありますよね。

就職して仕事を得ることを重視するなら、就職・転職市場で需要のある宅建士を選ぶのがよいでしょう。

宅建士のほうが司法書士よりも将来性がある

これは私の推測もかなり入りますが、宅建士のほうが司法書士よりも将来性があります。

というより「司法書士の将来性に疑問の余地がある」と言ったほうが正確かもしれません。

司法書士の主要な業務は、登記申請の代理です。不動産や会社の権利関係について、当事者の依頼に基づいて法務局に登記を申請し、代行報酬をもらいます。

ところが、最近では「登記は司法書士に依頼せず、自分でやる」という人がかなり増えてきています。

そもそも登記は不動産売買の当事者や会社の設立者が自分でやれるものです。しかしながら、法令その他の知識がなければ適切な登記申請が難しいという側面もあり、そのため司法書士にお金を払って代行してもらうことが一般的でした。

でも今や、登記に必要な知識の多くがインターネットや書籍で手に入ってしまいます。登記を自分でやって費用を節約しようと考える人が増えるのは、必然です。

今後もこの傾向が拡大するとしたら、司法書士の仕事の未来は今よりも暗いものになると想像せざるを得ません。

その一方、宅建士の仕事は「自分でやれることを宅建士に代行してもらう」といった性質のものではなく、この先も需要が継続すると考えてよさそうです。

以上のことから、資格の将来性を重視する場合は宅建士を選ぶのがよいでしょう。

ダブルライセンスは可能?

宅建士と司法書士の両方の資格を持つこと(ダブルライセンス)は、可能か不可能かで言えば可能です。

実際にダブルライセンスを持っている人もいて、たとえば資格スクエアで宅建試験の講師を務める田中祐介先生は宅建士・司法書士の両方の試験に合格しています。

資格スクエア宅建講師 田中祐介先生の経歴・保有資格まとめ【実は苦労人】
【宅建士合格ブログ】資格スクエア宅建士講座の講師「田中祐介先生」の情報をまとめました。ただのイケメンかと思いきや、かなりの苦労人です。

宅建士・司法書士のダブルライセンスは可能ですし、それを目指すと決めた人はぜひ実現できるように頑張っていただければと思います。

ただ、私の個人的な見解は「宅建士・司法書士については、ダブルライセンスを積極的に狙うほどのメリットは無い。労力に見合わない」というものです。

そう考える理由を以下で説明していきます。

宅建士・司法書士兼業のニーズは無い

そもそも、不動産取引の仲介と登記申請の代理の両方を一人の人に依頼したいと思う人は、いません。

ダブルライセンスに対する顧客からのニーズが無いのです。

なぜでしょうか? 自分が不動産の売主だったらと考えてみてください。

もし契約と登記を1人の人に任せたら、不利な契約を無理やり結ばされた上、登記まで好きなように書き換えられてしまう恐れがあると気が付くでしょう。

大切な財産である土地・建物を売却するのですから、少しでもリスクを感じる相手には仕事を頼めませんよね。

だから、顧客視点では「不動産屋と代書屋は、別々のほうがいい」という結論になります。兼業している人に依頼しよう、とはならないのです。

実務上も、不動産仲介と登記申請は完全に別の事業者が行うのが普通です。

ついでに言うと、一般的に不動産会社は「司法書士資格を持った人材がほしい」とは思っていませんし、司法書士事務所も「宅建資格を持った人材がほしい」とは思っていません。

顧客ニーズがありませんので、求人のニーズもないのです。

スクール等の言葉に踊らされず、どちらかを目指そう

資格スクールや通信講座は「ダブルライセンスはメリットがあって有利!」だと言うでしょう。

それもそのはずで、彼らは「資格対策講座を1件でも多く売りたい」わけですから、資格を取れば取るほど人生が良いものになるという価値観をゴリゴリに押してきます。

でも実際には、先にお伝えしたように宅建士と司法書士の兼業家のニーズはありません。

ニーズがないということは、個々の資格がもたらす価値以上のものを顧客に提供することは期待できないということであり、それほどお金にもならないということです。

もし資格取得で人生を豊かにしたいなら、早めにどちらかの資格に絞って試験に合格し、実務経験を積んでその道のプロフェッショナルになることを目指すべきだと思います。

そのほうが時間もかかりませんし、確実性も高いです。

よくある質問

宅建士と司法書士に関するよくある質問に答えます。

平均年収の違いは?

宅建士にしろ司法書士にしろ、独立開業してしまえば自分の頑張り次第でいくらでも稼げてしまいます。

なので、ここでは「会社等に雇用されたときの年収」で比較してみます。

宅建士の年収は、以前の記事に書いたように「430万円~530万円」です。

【出典付き】宅建士の年収は?高年収を目指せる?関連資格との差や地域差の実態も解説
【宅建士合格ブログ】宅建士の年収・給料に関する情報まとめです。平均的な年収だけでなく、高年収を目指せる可能性や地域間格差についても指摘します。

他方、求人ボックスのある時点の調査によれば司法書士の平均年収は451万円です。

司法書士の平均年収(求人ボックス)

image credit: 求人ボックス

どちらも勤め人でありサラリーマンなので、日本人の平均給与かそれより少し良いくらいだと考えておくのがいいでしょう。

ただし、宅建士の場合は営業能力次第では非常に高い歩合を得ることも可能です。不動産取引は動くお金が大きいので、会社から支払われるインセンティブも大きくなり得ます。

一方、司法書士は依頼を受けて一定の法律事務を代行するのが仕事ですので、高い歩合を得るということは期待できません。

試験範囲は重なってる?

試験範囲は一部重なっています。両試験の範囲はおおよそ次の通り。

宅建士の試験範囲
民法(不動産登記法等の関連法を含む)、宅建業法、法令上の制限、税法、その他
司法書士の試験範囲
憲法、民法、刑法、商法・会社法、民事訴訟法、民事執行法、民事保全法、司法書士法、供託法、不動産登記法、商業登記法

特に民法と不動産登記法が両資格の試験範囲において重なっています。

ただし、司法書士試験の民法・不動産登記法の出題は宅建試験のそれよりもずっと難しいです。

その他の点では範囲の重複はあまりありません。したがって、試験範囲については「大部分が重なっていない」と考えておくのが妥当だと思います。

トリプルライセンスを目指すべき?

宅建と司法書士に加えてもう1つ(弁護士や行政書士、税理士、社労士などの)資格を取ってトリプルライセンスを目指そうとする人もいます。

しかしながら、私の考えではそういったトリプルライセンスは目指すべきではありません。

先にお伝えしたように、宅建と司法書士のダブルライセンス取得者ですら市場のニーズがないのです。

そこへさらに資格を追加したところで、ニーズが生まれることはありません。

* * *

いろいろなことに興味を持って勉強し、資格を取ることは確かに良いことだと私も思います。

とはいえ1つの士業資格を取るだけでも年単位の時間がかかってしまうんです。

人生は有限で、せいぜい80年くらいしか生きられません。にもかかわらず何年もかけてトリプルライセンスをとって、それが大した相乗効果も生まないというのであれば、コスパが悪すぎます。

早めに1つの士業に絞って資格を取り、実務を覚えて社会で活躍するほうが幸せになれるのではないでしょうか。

そういう意味で、トリプルライセンスを目指すよりもシングルライセンスに留めておくのがおすすめです。

この記事のまとめ

direction

今回は「宅建士と司法書士の違い」「宅建士と司法書士のどちらを取るべきか」「ダブルライセンスを目指すべきか」の3点をお伝えしました。

ポイントを復習しておきましょう。

  • 宅建士の役割は、不動産の取引が適正かつ円滑に行われるようにすること(契約の前工程)
  • 司法書士の役割は、取引によって変化した不動産に関する諸権利を不備なく登記すること(契約の後工程)
  • 宅建士と司法書士のどちらを取るかで悩むなら、難易度・求人数・将来性の観点から宅建士が良い
  • ダブルライセンスは可能だが、社会的ニーズが無いためおすすめできない

以上参考になれば嬉しいです。

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