宅建試験に独学で一発合格した宅建士杉山貴隆です。
今回は宅建の独学を効率よく進める方法についてお話ししたいと思います。学習効率化についてはお伝えしたいことがたくさんあるので、総論・各論1・各論2の全3回に分割します。各回のテーマは次の通り。
- 総論
- 学習全体の効率化
- 各論1
- インプット学習の効率化
- 各論2
- アウトプット学習の効率化
今回は第1回のテーマとして総論:学習全体の効率化を取り上げていきます。これから宅建試験の対策を始める人が以下を読むと学習の軸を定められるはずです。ぜひ参考にしてみてください。
【総論】学習全体を効率化する方法
宅建の独学を全体として効率化するのに有効な方法は次の3つです。
- ざっくりで良いので計画を立てる
- 毎日少しでも良いので継続する
- 不必要なことに手を出さない
一見しただけでは効率化との関連性がわかりにくいかもしれません。しかしいずれも重要です。以下で1つずつ見ていきましょう。
ざっくりで良いので計画を立てる
学習全体を効率化する方法の1つめはざっくりで良いので計画を立てることです。
「計画を立てろと言われても、国家試験の受験なんて初めてだし、どういう計画にすればいいのか…」って思いますよね。わかります。私も宅建がはじめての国家試験の受験でしたから。
でもここで言っているのは本当にざっくりとした計画の話で、単純に残り日数で300時間を消化する計画を立てようということです。
宅建試験に合格するためには300時間くらい勉強する必要があると言われています。なので300時間を試験日までの残り日数で割って1日あたりの勉強時間を求めてください。
たとえば試験日まで残り3ヶ月(90日)だったとしましょう。この場合300÷90=3.3ですから、1日あたり3.3時間(3時間18分)勉強すれば良いということになります。
実際には仕事や学業の関係で「1日あたり3.3時間もの勉強時間を確保するのは難しい」という人が多いでしょう。その場合は「平日はやや少なめに勉強して、その代わり土日に多めに勉強して取り返す」という具合に調整して帳尻を合わせます。
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このように1日あたりの勉強時間を決めておくのと決めておかないのとでは効率に相当な違いが出ます。
もし1日あたりの時間が決まっていなかったら、その日の気分で1時間だけ勉強してみたり、今日は調子が良いからと3時間勉強してみたりして、日によってかなりばらついてしまうでしょう。
そのような進め方では結局試験日までに合計で何時間勉強できるのか全く見えてきませんよね。おそらく合格に必要と言われている300時間を達成できずに終わります。結果的に不合格となり、かけた時間も全て水の泡。ものすごく非効率的です。
これに対して1日あたりの目安時間がおおよそ決まっていれば、人はその目標に向かって努力しようとします。目標が達成できない日もあると思いますが、少なくとも「今日は勉強が十分にできなかった」という認識を持つことはできます。
この認識があれば取りこぼした分を取り戻すために後日多く勉強するはずです。また「そもそも勉強が十分にできなかった原因は何か?」と自問自答し、原因を突き止めて潰すこともできます。
ざっくりとした学習計画があるだけで何かと対策が打ちやすいのです。日々改善を重ねていけるので、学習全体が自然と効率化します。
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「でも学習計画を立てるのであればもっと綿密な計画にするべきなんじゃない?」
そのように感じる人もいるでしょう。確かに「○月○日までにテキストを読み終えて、○月○日までに過去問を1周して…」というきめ細かい計画が立てられれば、それに越したことはありません。
でもそんな計画を立てたとして、その計画通りに行くでしょうか? おそらく無理ですよね。そもそも「テキストを読む」とか「過去問を1周する」といった各工程にどのくらい時間がかかりそうなのか検討もつかないのですから。
各工程の作業時間が見積もれないのであれば綿密な計画を立てることに大した意味はなく、やる必要もないでしょう。
以上述べたように、学習全体を効率化するためには標準的な学習時間とされる300時間を目標に立て、それを達成するための日々の学習時間を割り出すことが大切です。
学習計画に関しては独学に必要な期間についての解説記事も参考になると思います。ぜひ読んでみてください。
毎日少しでも良いので継続する
学習全体を効率化する方法の2つめは毎日少しでも良いので継続することです。
先に1日あたりの勉強時間を求めることが必要だと言いました。1日あたりの勉強時間が決まったら、毎日できるだけ欠かさずにそのノルマを消化しましょう。これは単に300時間という目標を達成する意味でも重要ですが、それ以上の価値があります。
というのも宅建の勉強は「筋トレと同じ」なんです。筋トレをするのであれば「できるだけ毎日、少しずつでもやったほうがよい」ということは何となくイメージを持てると思います。
筋トレにおいては日々の積み重ねこそが最大の効果を生み出すわけです。逆に「やったりやらなかったりする日がある」のはあまりよくありません。
今日全く筋トレをしなかった場合、翌日に2倍のトレーニングをしたとしても同じ効果は得られない。普段筋トレをしない人でも直観的にわかると思います。
上記のことは宅建の勉強にもそのまま当てはまります。「できるだけ毎日、少しずつでもやる」ほうが「日によってやったりやらなかったりする」よりも確実に良いです。
「なぜそうなのか?」と言われても、正直言ってわかりません。確固たる理論的な裏付けはないのですが経験則としてそう言えます。私の実体験としてそう思いますし、他の多くの合格者も同じことを言っています。
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さらに例えるなら、私は宅建試験はスポーツだと思っています。制限時間内に50問の問題を正確に解くスポーツです。
腕の筋肉や足の筋肉は使いませんが、脳という名前の筋肉を酷使します。脳は筋肉同様、使えば使うほど強くたくましくなりますし、使わない期間ができてしまうとそのぶん衰えます。衰えたぶんを取り戻そうと思うと、脳を使わなかった期間以上の時間が必要です。
宅建試験はスポーツであり、脳は筋肉である。このイメージが持てれば毎日少しずつ鍛えていくのが最も効率が良いと気づけるでしょう。日々のトレーニングで成長させた筋力を維持しつつ、さらにうまくこなせるように鍛錬し続けてください。
もちろん実際に毎日続けるのは難しいことなので「継続するための施策」はまた別途考える必要があるかもしれません。それはそれとして、ここで重要なのは「全体としてみたとき、毎日継続することが最も効率が良い」と知っておくことです。
不必要なことに手を出さない
学習全体を効率化する方法の3つめは不必要なことに手を出さないことです。
宅建の教材って本当に色々なものが出ていますよね。テキストだけでも10~20くらいはあるでしょう。講義が聞けるDVDも市販されていますし、無料のYouTube動画もあります。
問題集に関して言えば、テーマ別過去問題集、年度別過去問題集、一問一答集、予想問題集(予想模試)など。問題集アプリもありますね。
つい「全部をこなさなきゃ合格できない!」と思ってしまいそうになります。でもそれらを全部やるなんて不可能ですし非効率です。
なぜなら(このブログでは繰り返しお伝えしているように)宅建試験の合格に必要な学習は次の3つだけだから。
- 1. テキスト学習
- 市販の宅建試験対策の基本テキストを一読する
- 2. 過去問演習
- 年度別の過去問題集(10~12年分収録)を繰り返し解く
- 3. 予想問演習
- 夏頃に市販される予想模試を少なくとも1冊(可能なら3冊)繰り返し解く
上記に従えば必要な教材は「テキスト1冊」「過去問題集1冊」「予想問題集(予想模試)1~3冊」、以上です。これだけをやっていれば、かなりの確度で合格できます。
とすれば一問一答集を解くといった他のことはムダでしかなく、独学の効率化の観点から言うなら排除するべきです。
「いやいや、必要なのは3つだけなんて言われても信じられない。もっとやっておいたほうがいいんじゃないの?」
そう思う人もいるでしょう。でも私自身は上記の3つだけで合格しましたし、さらに複数の読者からこのブログで紹介されている学習法を参考に数か月間勉強して合格できたという報告をいただいています。
つまり上記3ステップで十分であることは実証済みなんです。宅建の独学を効率化させたい、最短ルートで合格したいと思うなら、余計なことに手を出さず上記3点を淡々とこなすのがおすすめです。
各ステップで具体的に何をすればいいのかを知りたい場合は宅建独学の流れを解説した記事も参照してみてください。
この記事のまとめ
今回は「宅建の独学を効率よく進める方法」の総論として学習全体の効率化の側面を述べてきました。この記事の要点を復習すると次の通りです。
- ざっくりで良いので計画を立てる
- 残り日数で300時間を消化する計画を立てよう
- 毎日少しでも良いので継続する
- 宅建試験はスポーツであり、脳は筋肉である
- 不必要なことに手を出さない
- 必要な教材は「テキスト1冊」「過去問題集1冊」「予想問題集(予想模試)1~3冊」のみ
続いては各論1:インプット学習の効率化についてお伝えします。ぜひそちらも読んでいただきあなたの独学に取り入れてください。