宅建試験に一発合格した宅建士杉山貴隆です。
今回は「宅建試験の合格はすごいの?」という疑問に答えます。私の回答として次の3点を述べていきます。
- 宅建試験の合格がすごいと言われる理由
- 宅建試験の合格がすごくないと言われる理由
- 既に宅建試験に合格している私がどう感じているか
宅建を詳しく知らない人にも伝わるようわかりやすくお伝えします。ぜひ最後まで読んでみてください。
宅建試験合格がすごい理由
宅建試験に合格するのがすごいと言われている理由は次の3つです。
- 合格率が約15%だからすごい
- 国家資格だからすごい
- 独占業務ができるからすごい
以下で詳しく見ていきましょう。
合格率が約15%だからすごい
宅建試験に合格できるのがすごいと言われる理由の1つめは合格率が約15%だからというものです。
合格率15%ということは10人が試験を受けたら8~9人は不合格になります。大部分の人が落ちてしまう試験で合格点をとれたら紛れもなく人並以上です。
ちなみに合格率15%というのは宅建試験を受けた人のうち上位15%という意味でもあります。これを別の視点で考えてみましょう。
英語のリスニング・リーディングの能力を測る試験でTOEICってありますよね(最近はTOEIC L&Rテストと呼ばれています)。TOEICを受ける人の上位15%は何点くらいのスコアなのかご存じでしょうか。
答えはおおよそ800点以上です。
TOEIC800点というとなかなかスゴいという印象を持つ人が多いと思います。新卒で外資に入社する人で800点も取っていたらかなり立派だとみなされるでしょう。
話を宅建に戻すと宅建試験は上位15%が合格するのですから、TOEICでたとえるなら800点以上をとれたことに相当します。となればやはりすごいと思わざるを得ません。
国家資格だからすごい
宅建試験に合格できるのがすごいと言われる理由の2つめは国家資格だからというものです。
宅建試験に合格すれば日本という国から「あなたは不動産取引に関する諸法令の専門的知識を持っている」と認めてもらえます。
これって単純にすごいことですよね。不動産取引のエキスパートであることを国が証明してくれるわけですから。
独占業務ができるからすごい
宅建試験に合格できるのがすごいと言われる理由の3つめは不動産取引に関わる独占業務ができるからというものです。
独占業務とは特定の資格を持った人にのみ実施することが認められている業務を指します。宅建資格者がすることのできる独占業務は次の3点。
- 重要事項説明
- 重要事項説明書(35条書面)への記名・押印
- 契約書(37条書面)への記名・押印
不動産屋で賃貸の部屋を借りる際、重要事項説明を受けたことがある人もいると思います。あれは法律で義務付けられた説明で、かつ宅建士にしかできない仕事なんです。
もし重要事項説明を省略したり宅建士以外の人がやったりすると、その不動産屋は法律違反となります。この違反には罰則もあります。
このように不動産取引の世界では特定の人にしか実施できない重要な業務があり、それができるのは宅建試験に合格して資格登録を済ませた人だけです。
誰にでもできるわけではない仕事ができようになるので、やはり宅建試験の合格はすごいと言えます。
宅建試験の合格がすごくない理由
次に、宅建試験の合格がすごくない理由についても3点見ていきましょう。
- 難易度が中くらいだからすごくない
- 5点免除制度があるからすごくない
- マークシートだからすごくない
以下で詳細を述べていきます。
難易度が中くらいだからすごくない
宅建試験に合格できるのがすごくないと言われる理由の1つめは他の国家試験と比較すると難易度が中くらいだからというものです。
資格難易度ランキングの記事でお伝えしたように、宅建試験より難しい国家試験はたくさんあります。
逆に宅建試験よりやさしい試験もたくさんあります。要するに宅建試験の難易度は国家資格全体で見れば中くらいなんです。そういう意味では宅建試験の合格はすごいとまでは言えません。
5点免除制度があるからすごくない
宅建試験に合格できるのがすごくないと言われる理由の2つめは5点免除制度があるからというものです。
宅建試験は1問1点、全50問、50点満点の試験です。合格点は例年35点前後で、合格点以上の点数を取るために毎年熾烈な闘いが繰り広げられています。
その一方で20,000円前後のお金を払って講習を受けることにより本試験で5問分が免除され、5点丸々もらえたのと同じ効果が得られる制度があったりもします。5点免除制度の記事で紹介した通りです。
もちろん5点免除は誰でも無制限に利用できるというものではなく、いくつかの要件を満たす必要はあります。とはいえそんなチートな制度を使って合格に近づけるという事実を考えると、宅建試験の合格はすごくないと感じてしまいます。
マークシートだからすごくない
宅建試験に合格できるのがすごくないと言われる理由の3つめはマークシートだからというものです。
宅建試験は4つの選択肢から1つを選ぶ四肢択一形式の試験であり、マークシートで回答します。マークシートで回答することを言い換えるなら適当に塗りつぶしても当たる場合があるということです。
実力だけなら合格点に届かなかったところを、勘で塗りつぶした問題が運よく正解して合格点がとれた!なんてことも普通にありえます。国家試験でそんなまぐれ合格の温床を許していいのか!という気もしますが、実態としてはそういうことも許されているわけです。
ちなみに宅建試験と比較されることの多い行政書士や司法書士といった資格の試験はマークシートだけでなく記述式の出題を取り入れており、配点もそれなりに大きいものとなっています。
宅建試験の場合は運の良さで合格することがありえるという意味で「すごくない」んです。
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以上、宅建試験の合格がすごいとされる理由とすごくないとされる理由をそれぞれ3つずつ確認してきました。すごい派・すごくない派のどちらにも納得できる理由がありますよね。
では宅建試験に合格した私の意見はどうかというところを最後にお話ししたいと思います。
独学一発合格した私の意見
宅建試験に独学一発合格した私はこんなふうに思っています。
- 宅建試験の合格は別にすごいというほどのものではない
- とはいえ実際に合格するのはそれなりに大変
- でもそのぶん合格したら人生を変えるほどのパワーが得られる!
以下でもう少し説明します。
すごいというほどではない
宅建試験はやはり他の法律系国家資格と比べればやさしい試験なので、合格したところですごいというほどのものではないよね、というのが私の正直な感想です。
宅建は300時間程度勉強すれば取れると言われています。その一方、司法書士や不動産鑑定士といった資格の取得にはその10倍の3000時間もの勉強が必要なんです。
司法書士・不動産鑑定士といったレベルの試験の合格なら「すごい!」と言い切れるのですが、それに比べれば宅建は全然すごいというほどのものではない。個人的にそう思っています。
合格するのは大変
とはいえ宅建試験に合格するのはそれりに大変で、簡単にできるものではないということも実感しています。
私の場合、確実に一発合格したいという気持ちがあったこともあり、結果的に400時間ほどかけて勉強しました。会社員を続けながら毎日少なくとも1時間、休日には少なくとも3~4時間といったペースで半年くらい勉強を続けたのですが、骨が折れる作業でした。
得たい結果を得るために勉強以外のやりたいことを何カ月も我慢しなければなりません。一定の覚悟と忍耐がなければ達成は難しいでしょう。それが宅建試験合格の大変なところだと思います。
試験合格は人生を変えるパワーがある
私自身は宅建試験に合格した後、人生を大きく変えることができましたので、試験合格に大きな力を感じています。
宅建試験を受験した当時の私の状況は次の通りでした。
- 年齢は30歳目前
- 職歴は1社のみ。たった半年だけ勤めて逃げるように退社
- 無職になって2ヶ月経過。貯金もどんどん減っていく
割と人生詰んでいました。再就職のために就活をしましたが、上記のような経歴の私を選考に通してくれるところはありません。私は途方に暮れていました。
そんな中でしたがコツコツ続けていた受験勉強の成果が実って合格。宅建試験の合格が評価され、すぐに不動産管理会社へ正社員として就職することが決まりました。
その後は中堅のIT企業や大手メーカーなどにも転職でき、正社員としてキャリアを積むことができました。詰みかけていた私の人生は宅建試験の合格をきっかけに大きく変わったんです。
以上の経験から私は宅建試験に合格することの影響力を強く感じています。
この記事のまとめ
今回は「宅建試験の合格はすごいのか」というテーマでお伝えしてきました。要点を復習していきましょう。
はじめに宅建試験の合格がすごい理由として次の3点を指摘しました。
- 合格率が約15%だからすごい
- 国家資格だからすごい
- 独占業務ができるからすごい
宅建試験の合格がすごくない理由として次の3点を取り上げました。
- 難易度が中くらいだからすごくない
- 5点免除制度があるからすごくない
- マークシートだからすごくない
上記を踏まえて、宅建試験に一発合格した私が感じていることも3点お話しさせていただきました。
- 宅建試験の合格は別にすごいというほどのものではない
- とはいえ実際に合格するのはそれなりに大変
- でもそのぶん合格したら人生を変えるほどのパワーが得られる!
宅建試験に合格することをすごいと言う人もいますし、すごくないと言う人もいます。評価は人それぞれなのでどれが正しいということもないでしょう。
一方で私のように宅建試験の合格で決定的に人生が変わった人は確実にいます。あなたがもし現状を打破したいと望んでいるなら、宅建試験はそのきっかけになり得るものです。
ぜひ勉強して合格してください。応援しています。
以上、参考になれば嬉しいです。
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次回は宅建の勉強時間の目安と推奨時間について見ていきましょう。次のブログカードをタップすると移動できます。