宅建試験に独学で一発合格した宅建士Kiryuです(*^o^*)
今回は宅建試験対策のおすすめテキストを厳選してご紹介します。
というのも、宅建のテキストってメジャーなものだけでも10冊くらいあり、マイナーなものまで含めると20冊くらいは出版されています。
これから勉強する側としては、「どれを読んだらいいのか、わからない!」と困ってしまいますよね。
そこでこの記事では、独学で一発合格した私が自信を持っておすすめできる「初心者向けの3冊」をピックアップしてレビューしました。
さらに、あなたが自らテキストを選ぶ際に役立つ「選択基準」と、「テキストを選ぶ際にやってはいけないNG行動」も合わせてお伝えしていきます。
ぜひ参考にしてみてください。
初心者におすすめの宅建テキスト3選
宅建試験に独学一発合格した私が初心者の方におすすめするテキストは、次の3つです。
上記の3冊であれば、どれを利用してもあなたを合格に導いてくれます。
とはいえ、3冊のどれにすればよいか迷うという人もいると思うので、より初心者向けだと思う順にランキング形式で紹介していきます。
【第1位】日建学院『どこでも学ぶ宅建士 基本テキスト』
初心者におすすめの宅建テキスト3選 ランキング第1位は、『どこでも学ぶ宅建士 基本テキスト』です。
『どこでも学ぶ宅建士 基本テキスト』は、大手資格対策予備校の日建学院が製作しています。
確認する限り2010年版が最も古く、10年以上にわたって読み継がれ、改訂が重ねられているテキストです。
本書の特徴は次の通り。
- 中高生が読んだとしても理解できる文章表現
- 抽象的な用語は具体例に置き換えて解説
- 図表やイラストが数多く、効果的に用いられている
第1の特徴は「中高生が読んだとしても理解できる文章表現」です。
「物を買ったから、お金を払わなければならない」というように、自分がすること(行為)について正常な判断ができる力を、意思能力といいます。
上記は第1章の最初の部分にある「意思能力」の解説ですが、仮に中学生くらいの子どもが読んだとしても意味がとれる、わかりやすい記述になっていることがわかると思います。
宅建試験は法律系国家試験です。そのため法律に関する難しい概念や制度(たとえば「成年被後見人」や「根抵当権」など)をひとつひとつ学んでいく必要があります。
そう聞いただけで身構えてしまうかもしれませんが、大丈夫。
『どこでも学ぶ宅建士』は最初から最後まで、徹底的にかみ砕いた表現で概念・制度を解説してくれますので、安心して読み続けることができます。
* * *
第2の特徴は「抽象的な用語は具体例に置き換えて解説」です。
上の画像の例からもわかるように、「例えば」という言葉とともに具体例に置き換えることが頻繁に行われています。
なぜ具体例に置き換えるのかというと、法律に関する専門用語があまりにも抽象的だからです。
法律は、現実に引き起こされるさまざまなケースに適用できなければなりません。そのため、多くの用語がいわば「あいまい」に定義されています。
初心者にとっては、あいまいでフワッとした用語はつかみどころがなく、理解しづらいと感じるものです。
そこで『どこでも学ぶ宅建士』では専門用語を具体例に置き換えて「要するにこういうことなんだよ」と解説しているのです。
なので、今まで法律のことなんて全く知らなかった!という人であっても、専門用語を無理なく脳にインプットできます。
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第3の特徴は「図表やイラストが数多く、効果的に用いられている」ことです。
上の画像から、『どこでも学ぶ宅建士』にはイラスト・図表などの視覚表現が豊富に取り入れられていることがわかると思います。
宅建試験の学習内容は、文章だけだと理解不可能な込み入った話題であることも多いです。
でも、図や表にまとめられた情報を目にすると「なんだ、そういうことか!」と意外なくらいあっさり理解できます。
『どこでも学ぶ宅建士』を読んでいくと、必要なところには必ず図解等の視覚表現が載っていますので、「文章を読むだけじゃなく、目で見て理解したい」と考える人には非常にオススメできます。
* * *
以上見たように、本書は「理解しやすい文章表現」「具体例に置き換えた解説」「豊富なイラスト・図表」の3拍子がそろった、とてもバランスの良いテキストです。
このクオリティの高さの秘密は、「日建学院が製作したテキストである」という点にあります。
日建学院は、全国区の資格試験対策予備校です。不動産系資格に強い学校として知られています。
事実、日建学院(通学講座)の宅建試験累計合格者数は約10万人。
そんな日建学院の合格ノウハウを盛り込んだのが本書だというわけです。
以上のことから、ランキング第1位の本書は宅建の独学を考えている全ての人におすすめできます。
初回受験の初心者の方はぜひ使いましょう。
また、受験が2回目以降でテキストの変更を考えているという人も、本書を選ぶことであやふやな知識がドンドン整理されていくはずです。
テキスト選びで迷ったときは、本書を選んでおいて間違いないですよ。
日建学院は、テキストだけでなく「入門マンガ」「過去問題集」「予想模試」といった関連教材をシリーズとして出版しています。
下記のボタンで検索可能です。
【第2位】ユーキャン『宅建士 速習レッスン』
初心者におすすめの宅建テキスト3選 ランキング第2位は、『宅建士 速習レッスン』です。
『宅建士 速習レッスン』は、大手資格対策通信講座のユーキャンが製作しています。
確認する限り2006年版が最も古く、約15年にわたって読み継がれ、支持され続けています。
本書の特徴は次の通り。
- 冒頭部分のガイダンスが丁寧
- 設例でイメージを湧かせてから解説するスタイル
- プチ過去問・予想問付き
第1の特徴は「冒頭部分のガイダンスが丁寧」です。
本書の冒頭部分は「科目概要」から始まります。
「科目概要」では、各科目の学習内容や本試験での出題数、勉強の指針が詳しく解説されています。
さらに「合格のための効果的学習方法」のセクションが設けられています。
ひとまず何をどのように進めればよいのかは、この学習方法のページで把握できます。
『宅建士 速習レッスン』は、以上のように冒頭部分で宅建試験の概要と学習の方針をじっくり解説してくれますので、宅建試験について全く何も知らない初心者の方であっても、迷うことなく学習のスタートを切ることが可能です。
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第2の特徴は「設例でイメージを湧かせてから解説するスタイル」です。
次の画像で、各論点の最初に「ケース⑥」といった囲み部分があることに注目してください。
『宅建士 速習レッスン』では「宅建業者Aは○○した」というような架空の状況を設定し、そのあとに解説を続けるというスタイルが多用されています。
なぜこのような方式をとっているのかというと、法律を学習するにあたっては、具体的な場面設定があるほうが理解が進みやすいからです。
先の日建学院のテキストでも抽象的な内容が具体例に置き換えられていましたが、こちらのユーキャンのテキストではより明示的に「どういうケースにおける話なのか」が設定されるという特徴があります。
抽象的な話はどうも苦手で、できるだけ現実に近いシーンを思い浮かべながら理解していきたいと考える人は、こちらのユーキャンのテキストを選ぶと良いでしょう。
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第3の特徴は「プチ過去問・予想問付き」です。
『宅建士 速習レッスン』では、各章の末尾に「過去&予想問題」が1ページついています。
「過去&予想問題」は○×式の練習問題で、過去の本試験に出たもの、または今後出題がありそうなものが出題されています。
テキストでインプットした知識をもとに本試験レベルの問題を解けるかどうか、ひとつの章が終わるごとに確認できるわけです。
本書は60の章で構成されているので、テキストを順番にこなしていくだけでも、自然に60ページ分の練習問題を解くことができ、実力アップにつながります。
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実を言うと、私が宅建試験の受験対策で利用したのがこの『宅建士 速習レッスン』でした。
当時の私にとって決め手になったのは「大手資格対策講座のユーキャンが製作している」という点。
通信講座を受講するお金は無いけれど、『宅建士 速習レッスン』を読み進めればユーキャン宅建士講座の講義を聞くのとそう変わらないはずだ!と考えたんです。
結果として、私は法律知識が全く無い状態から独学で一発合格できました。
また、実務でも役立てられるほど高いレベルの宅建関連知識を得ることもできました。
この経験から、「法律の予備知識はゼロに等しいが、独学をきっかけに法律の学習を深め、今後の不動産の仕事でも活かしたいと考えている人」に、本書をお勧めしたいと思います。
ユーキャンは、テキストだけでなく「入門マンガ」「過去問題集」「一問一答」といった関連教材をシリーズとして出版しています。
下記のボタンで検索可能です。
【第3位】LEC『出る順宅建士 合格テキスト』
初心者におすすめの宅建テキスト3選 ランキング第3位は、『出る順宅建士 合格テキスト』です。
確認する限り2002年版が最も古く、およそ20年にわたって読み継がれ、合格者を輩出し続けています。
本書の特徴は次の通り。
- 広く深く学習可能
- 出題傾向分析が詳細
- ウォーク問との並行学習が可能
第1の特徴は「広く深く学習可能」です。
本書は、画像からもわかる通り3巻構成です。総ページ数で言っても1100ページほどあり、一般的な宅建テキストの1.7~2倍ほどの分量があります。
そのため、記述されている情報量が他のテキストを圧倒しており、網羅的かつ掘り下げた解説を読んでいくことができます。
その具体例として、民法の「取得時効」を扱った箇所を取り上げましょう。
「取得時効」にどれくらいのページを割いているかを数えたところ、なんと6ページでした。これは、先の日建学院・ユーキャンのテキストに比べると約2倍の分量です。
このように、『出る順宅建士 合格テキスト』では宅建試験に関する広い範囲の論点のそれぞれを、深く掘り下げていると言えます。
このことは思いのほか重要です。
というのは、一般的なテキストを読んだ後に過去問に取り組むと、テキストに出ていない論点が意外とあることに気づくんです。
そういうときは、仕方がないのでネットや図書館等である程度自分で情報を調べなければなりません。
でも、もし『出る順宅建士 合格テキスト』を使っていれば、そういうことは最も起きにくいでしょう。
情報量が他とは比べ物にならないこのテキストを通読しておくことで、あらかじめ十分な知識を得た状態で過去問演習を進められるからです。
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第2の特徴は、「出題傾向分析が詳細」なことです。
本書の冒頭では、次のような傾向分析が科目ごとに提示されています。
この分析を見れば、各々のテーマが過去10年の間に何回出題されたのか、一目でわかります。たとえば、表によると「意思表示」はほぼ毎年出題されているようです。
とはいえ、この程度の分析なら、他のテキストにもよくあります。『出る順宅建士 合格テキスト』が違うのはここからで、なんと各章の扉ページでさらに詳細な出題傾向分析が提示されています。
上の画像では「意思表示」をさらにきめ細かい7つの論点に分けて、それらが過去10年間に出題されたか否かが一目でわかるようになっています。
上記の分析を見ると、「意思表示」の中でも繰り返し出題される内容とそうでないものとがありそうです。
学習者としては、こういう情報があれば「力の入れどころ・抜きどころ」を定量的に把握できるので、学習をすすめやすくなります。
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第3の特徴は「ウォーク問との並行学習が可能」なことです。
『出る順宅建士 合格テキスト』には姉妹書『出る順宅建士 ウォーク問』というテーマ別過去問題集があります(別売)。
『合格テキスト』のほうを読み進めていくと、論点ごとに『ウォーク問』の該当ページが記載されています。
これを利用すると、たとえば「テキストで1章分をインプットした後に、ウォーク問で過去問を解いてアウトプットする」という並行学習ができるわけです。
並行学習をすることで、単に過去問を解くことに慣れるだけでなく、「テキストの理解度チェック」や「記憶の定着促進」も同時に図れます。
インプット・アウトプットのサイクルを回しながら効率よく学習できる点は、『出る順宅建士 合格テキスト』を利用する大きなメリットだと言えるでしょう。
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以上見たように、『出る順宅建士 合格テキスト』は情報量・傾向分析・並行学習という3つの側面で他の宅建テキストとの差別化を行っています。
本書を使って学習を行えば、たとえ完全な初心者の状態から学習を初めても、宅建試験合格がかなり現実味のあるものになるはずです。
ただ、あなたもおそらく気づいているように、『出る順宅建士 合格テキスト』を使った学習はボリュームがかなりのものになります。
5~6か月程度の期間を確保できる場合に選択肢に入れる、というくらいがちょうどよいでしょう。
逆に言うと、それくらいの時間的余裕がある人は、積極的に『出る順宅建士 合格テキスト』を選んで学習するのが良いと思います。
LECは、テキスト・ウォーク問だけでなく「入門マンガ」「過去30年問題集」「予想模試」などの関連教材をシリーズとして出版しています。
下記のボタンで検索可能です。
なぜ上記の順位となったのか?
ここまでに紹介した3つのテキストは、どれも非常に優秀で、文字通り甲乙つけがたい基本書となっています。
それでも上記の通りに順位付けしたのは、以下の点を考慮したからです。
- 日建学院の『どこでも学ぶ宅建士』はオールマイティ。関連教材として過去問・予想模試も出版されており、シリーズとしての完成度も高い。ゆえに第1位にふさわしい
- ユーキャンの『宅建士 速習レッスン』も優れているが、文体がやや「格調高い」雰囲気で、人によってはなじみにくいと感じそう。また、シリーズの中に予想模試が無い点も考慮して、第2位とする
- LECの『出る順宅建士 合格テキスト』は網羅性の面でピカイチだが、学習開始時期によってこなせない物量になると思われるため、第3位とする
もしあなたがテキストを選ぶ際は、基本的には上記3つのうちどれを選んでも充実した学習が可能です。
ただ、「どれにすればいいか、なかなか決めがたい」という場合には、より上位のものを選んでおくのが無難な選択肢になります。
参考にしてみてください。
「その3つが良いというのはわかったけど、その他のテキストは比較検討をしていないの?」
そう疑問に思った方もいると思います。
もちろん、他のテキストも一応の検討対象にはなっています。
実際、この記事では2019年から2020年にかけて、「宅建士おすすめテキスト11冊比較ランキング」と題して、メジャーな11冊のテキストを買い集めて詳細にレビューし、ランク付けしていました。
テキスト | おすすめスコア |
---|---|
日建学院『どこでも学ぶ』 | 1800 |
ユーキャン『速習レッスン』 | 1600 |
LEC『出る順』 | 1600 |
木曽計行『わかって合格る』 | 1550 |
大澤茂雄『合格しようぜ!』 | 1500 |
駿台『うかる!』 | 1450 |
滝澤ななみ『みんなが欲しかった!』 | 1350 |
中村喜久夫『スッキリわかる』 | 1300 |
住宅新報出版『パーフェクト』 | 1200 |
宅建学院『らくらく』 | 1200 |
LEC『トリセツ』 | 1150 |
しかしながら、今回ランキングを改訂するにあたり、次の点を考慮して、上位3位以外についてはレビューしないことにしました。
- 書店で各テキストの最新版をチェックしたが、どのテキストもコアな部分は変わっておらず、したがってランキングの内容も以前とそれほど変わり映えしない
- 1位~3位のレビューはよく読まれるものの、4位以下のレビューは結局ほとんど読まれていない
- 私自身、それほど高く評価していない4位以下のテキストを購入して詳細にレビューするのはつらい(笑)
今年度は4位以下を取り除く代わりに、初心者の方が自分の力でテキストを選ぶ際に役立つ「選択基準」と、テキストを選ぶ際の「やってはいけないこと」を提示する、という方針に転換しています。
以下でそれらをお伝えしていますので、ぜひ残りの部分も読み進めていただき、あなたの教材選定に活かしていただけると幸いです。
宅建テキストはこう選ぼう(選択基準)
宅建テキストを選択する際に、私自身が重要視しており、あなたにも参考にしてほしいと思っている「選択基準」は次の3点です。
- 信頼性
- 大手資格対策講座が製作していること
- 実績
- 読み継がれた歴史があること
- 完成度
- シリーズとして充実していること
先に紹介した初心者におすすめの3冊は、数ある市販テキストの中でもこれらの基準を十二分に満たしています。
3つの基準について、以下でもう少し詳しく説明していきます。
【信頼性】大手資格対策講座が製作していること
宅建テキストを選ぶ基準の1つめは「信頼性」、言い換えれば「大手資格対策講座が製作していること」です。
宅建のテキストの著者が誰なのかという点をよくよく観察すると、次の3つのいずれかであることがわかります。
- 大手資格対策講座(LEC・TAC・ユーキャン・日建学院など)が著者になっている
- 個人が著者になっている
- その他の会社等が著者になっている
このうち、宅建の初心者は「大手資格対策講座が著者になっている」ものを選ぶべきです。
というのも、大手資格対策講座は「自社の講座や出版物を使ってくれた人を、宅建試験に合格させる」ことを使命としており、講座の威信をかけて最高品質のテキストを製作すると考えられるからです。
あなたが講座を運営する会社の社長だったらと想像してみてください。
その講座の看板を背負ったテキストを出すのですから、その内容・構成には細心の注意を払いますよね。
そして、可能な限りの人員とお金を投下して、優れたテキストを世に出そうと懸命に努力すると思います。
したがって、大手資格対策講座が製作する宅建テキストは、おのずと初心者向けで読みやすく、学習しやすいものになるのです。
別の見方をすると、「売り手と買い手の利害が一致している」とも言えます。
テキストを作って売る側である「多くの人を合格させたい」という目的意識と、テキストを買う側である私たちの「宅建に合格したい」という目的意識とが、完全に一致しているんです。
* * *
一方で、個人が著者になっているテキストについてはどうでしょうか。
作り手が個人の場合も、「多くの人を合格させたい」と考えてテキストを作っているとは思います。
しかしながら、製作に投下できる人員やお金は、大手資格対策講座に比べて限定されたものになるでしょう。
背負っている看板も「一人の個人」のものなので、大手資格対策講座のそれとは重みが違います。
個人が著者になっているテキストが一律に悪いということではありません。
しかし構造的に考えて、大手資格対策講座が製作するもののほうがより初心者向けで、より多くの人を合格させるものになりやすいと考えられます。
* * *
著者が「その他の会社等」の場合、すなわち「大手資格対策講座でも個人でもない」場合はどうでしょうか。
まず「小規模な対策講座」が著者になっている場合は、考え方としては個人と同じです。
背負う看板は相対的に小さく、テキスト製作にかける資金や人材の量も限定されていると考えられます。
他方、資格対策講座を運営しているわけではない何かしらの会社や個人がテキストを出版している場合もあります。
こういった会社・個人は、そもそも「多くの人を合格させたい」という目的意識を強く持っているかどうかが明確でないため、宅建テキストを選ぶ際には除外して考えたほうが良いでしょう。
【実績】読み継がれた歴史があること
宅建テキストを選ぶ基準の2つめは「実績」、言い換えれば「読み継がれた歴史があること」です。
本来、各テキストの「実績」は、そのテキストを使って合格した人の数(または合格した人の割合)を見るべきでしょう。
しかしながら、テキストを購入した人の何人が合格したのかを測るシステムは存在しませんし、今後もそういったシステムが出てくるとは考えにくいです。
とすれば、実績を推し量るための代わりの指標が必要ですが、それが「読み継がれてきた歴史」です。
一般的に、宅建のテキストは前年度版が改訂されて新年度版として出版されますが、その最初の年度が古いものほど、多くの人に長く読み継がれてきたと言えます。
長く読み継がれている事実があれば、次のことがわかります。
- そのテキストは、多くの人に支持されてきた(そうでなければ廃刊になるはず)
- また、多くの合格者を輩出してきた
- 改訂が重ねられることで、初心者にとって読みやすく、合格しやすいものに進化してきた
宅建は、毎年20万人以上が受験する人気の国家資格です。
そのため毎年のように新しいテキストが出版され、またいつの間にか消えていきます。
生まれては消えていく激流の中、一定の存在感を保って残り続けたテキストこそ、初心者が使うべき有用なテキストです。
【完成度】シリーズとして充実していること
宅建テキストを選ぶ基準の3つめは「完成度」、言い換えれば「シリーズとして充実していること」です。
テキストそのものの完成度は、ここでは問題にしません。
というのも、前に挙げた二つの基準「信頼性」と「実績」を満たしていれば、自然とテキストそのものの完成度は極限まで高いものになるからです。
とすれば、見るべきはテキストの「外側」になります。
「外側」とはすなわち、そのテキストが属するシリーズがどのくらい充実しているかという観点です。
* * *
宅建試験を独学しようとする場合、テキストだけでなく問題集などの他の教材を合わせて使うことがほとんどでしょう。
その際、基本的には同一のシリーズでテキストや問題集を揃えることが多いと思います(そのほうが一貫した方針で勉強できますし、教材間の相乗効果も期待できます)。
ということは、テキスト単体で評価するのではなく、同一シリーズ内でテキスト以外の教材がどの程度出版されているのかを考慮するべきです。
最低限、本試験10~12年分程度を収めた「過去問題集」はシリーズに含まれている必要があります。
過去問をマスターすることなしに宅建試験に合格することはほぼありえないからです。
* * *
その他の教材で優先順位が高いのは「予想問題集(予想模試)」だと考えています。
これは、私自身が「テキスト→過去問→予想問」という順番で学習するのが重要だと考えているためです。

* * *
「入門マンガ」や「問題集」についてはどうでしょうか。
これらは、私自身は絶対に必須とは思いませんが、必要としている初心者の方が多いことも事実です。
したがって、これらを備えていないよりは備えているもののほうが初心者向けのシリーズとして優れていると言えます。
* * *
以上のように、宅建試験のテキストを選ぶ際は、シリーズとしての「完成度」にも目をむけていくのが良いでしょう。
テキストを選ぶ際にやってはいけないNG行動
宅建試験の対策テキストを選ぶ際、「これだけはやってはいけない!」というNG行動もあります。
次の3点です。
- 実物を見ないで選んでしまう
- みんなが買っているという理由で選んでしまう
- 情報量が少ないテキストを選んでしまう
以下で詳しく見ていきましょう。
実物を見ないで選んでしまう
宅建試験の対策テキストを選ぶ際のNG行動の1つめは、「実物を見ないで選んでしまう」です。
あなたは今まさにテキストをどれにするのか検討中だと思いますが、ネットで見つけたオススメ情報を鵜呑みにして、実物を見ることなく購入しようとはしていないでしょうか。
確かに、ネットの評判を信じてAmazonでポチれば、時間も手間も節約できてとても気楽です。
「Amazonの試し読み機能で少しだけ中身も見れるのだし、それで十分じゃないか」と感じる方もいると思います。
でも、実物を見ないで購入することには次のような大きなリスクがあります。
- テキストの実際の分量がわからない
- 実はぶ厚過ぎるテキストかもしれないし、薄すぎるテキストかもしれない
- 全体の雰囲気がわからない
- 実際に読んでみると理解できない難しい文章が多いかもしれない。逆に、図やイラストばかりで解説が少なすぎるかもしれない
- 「この教材で勉強して合格する」という強い意志を持てない
- 何種類ものテキストを前に自分で比較して決めたわけではないので、勉強をやめて投げ出すハードルが低く、挫折しやすい
どうでしょうか? 確かにそうかも…と思えませんか。
3つのリスクは、めぐりめぐってひとつの大きなリスクに直結していきます。
「宅建試験に合格できない」という絶対に避けたいリスクです。
* * *
ちなみに、私自身は宅建以外にも管理業務主任者・簿記2級といった資格試験に独学で一発合格しています。
こういった資格試験の勉強をする際、私は必ず大きめの書店に何度か足を運び、いくつものテキストを自分で比較検討します。
そうすることで、自分に合っていると思える分量・雰囲気のテキストを選び出し、「このテキストで合格をゲットする!」と決断し、結果に結びつけてきました。
誤解してほしくないのですが、「書店で買え」と言いたいわけではありません(むしろ、書店の本は不特定多数の人がベタベタ触っているわけなので、避けた方が良いと思います)。
最終的にネットで購入する・しないはあなたの自由。
私が伝えたいことは、「実物を自分の目で見ることなく購入してはいけない」というただ一点です。
重要なので、ぜひ覚えておいてください。
みんなが買っているという理由で選んでしまう
宅建試験の対策テキストを選ぶ際のNG行動の2つめは、「みんなが買っているという理由で選んでしまう」です。
初心者の方はやってしまいがちですが、「売れ筋ランキングを見て1位のものを買う」ような行為は、絶対に避けるようにしましょう。
なぜか? 宅建試験の合格率を考えればわかります。
宅建試験の合格率は、ざっくり15%。10人いても1人か2人しか受かりません。
この数字から言えることは、「他人と同じことをしていたら勝てない。つまり、不合格になる」ということです。
このテキストはよく売れているみたいだし、口コミや評判も良いし、確かに別に悪くはなさそうだから、これにしておこう。
そんな考えで選んでいると、間違いなく「多数派のうちの一人」として埋もれてしまうことでしょう。
このことはテキスト選びに限らず、問題集を選ぶ際や勉強の進め方に関しても言えます。
「みんながやっていること」を同じようにやっている限り、良い結果を手にすることはできません。
大切なのは、他人の意見を参考にしつつも、自分の頭で「どうすれば上位15%以内に入れるのか」を考えて、実行することです。
テキスト選びにあてはめるなら、「どのテキストが自分に最も適していて、自分の力を最大限引き出してくれそうか」という視点を持つこと。
決して、「みんなが買っているから」を基準にして選んではいけないのです。
情報量が少ないテキストを選んでしまう
宅建試験の対策テキストを選ぶ際のNG行動の3つめは、「情報量が少ないテキストを選んでしまう」です。
初心者にウケることを狙って、意図的に情報量を減らしているテキストがあります。
文字を大きくしたりイラストを過剰に用いることで、読みやすさ・楽しさ・勉強のしやすさを演出しているテキストがあります。
この種のテキストは、確かに素早く読み終えることができるかもしれませんし、「勉強している感」も得やすいかもしれません。
でも、こういったテキストを使った場合、結局は後で苦労すると断言できます。
なぜなら、過去問演習を始めた段階で「問題が全然解けない」事態に陥り、さらに「テキストに戻って復習しても、情報不足でやっぱり解けない」という悪循環に陥ってしまうからです。
* * *
過去問が解けないという状況は、良質なテキストを使っていてもある程度は起こります。
ただし、質の良いテキストを使っているのなら部分的に読み直すだけで解けることが多いですし、万が一テキストだけでは足りなくても、そこに記載されている情報をもとに少しGoogle検索すれば必要な知識は得られます。
ところが、そもそも情報量が不足したテキストを使っている人は、テキストを見ても何の記載も見つけられず、そのためどのように情報を探せば良いのかも判然としません。
テキストで楽をしたぶんのツケが、利子付きで返ってくるのが怖いところです。
* * *
宅建試験の合格に必要な情報は、「少なくともこのくらい」という目安の分量があります。
テキストのページ数にして、650~700ページほど。このくらいのボリュームがあればOKです。
でも、もしあなたが選ぼうとしているテキストが650ページより少ない場合は、必要な情報が網羅されていないのではと疑ったほうが良いでしょう。
後で大きな苦労を背負いたくない。もしそう願うなら、情報量が少ないテキストを選ぶことは厳禁です。
この記事のまとめ
今回は「初心者におすすめの宅建テキスト3選」というテーマでお伝えしました。
記事のポイントを復習しておきましょう。
まず、初心者におすすめの宅建テキストは次の3冊です。
次に、宅建テキストを選択する際に重視するべき「選択基準」として次の3点を挙げました。
- 信頼性
- 大手資格対策講座が製作していること
- 実績
- 読み継がれた歴史があること
- 完成度
- シリーズとして充実していること
最後に、宅建試験の対策テキストを選ぶ際、「これだけはやってはいけない!」というNG行動として次の3つを指摘しました。
- 実物を見ないで選んでしまう
- みんなが買っているという理由で選んでしまう
- 情報量が少ないテキストを選んでしまう
以上となります。
ここまでかなり長い話になりましたが、読んでいただきありがとうございます。
自分にあったテキストを見極めることができたら、さっそく手に入れて、学習を始めていきましょう。
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コメント
テキストがたくさんありすぎて迷っていたところです。とても参考になりました。ありがとうございます。
コメントありがとうございます。
4月から開始するならまだまだ余裕ですね。
試験勉強、頑張ってくださいね!
独学で勉強を始めるにあたり、数多くのテキストの中からどれを使用すべきかとても悩んでいました。
ここまで多くのテキストを比較してある記事は他にないので、安心して使用するテキストを決めることができました。
この記事に出会えて本当によかったです。
勉強頑張ります。ありがとうございました。
コメントありがとうございます!
お役に立てたようで私としてもとても嬉しいです。
さくら様の合格を応援しています(^^)
独学で勉強することを決意しましたが参考書選びに困っていました。本当に助けられました!!勉強頑張ります!!
くくさん、コメントありがとうございます!
1月から参考書選びを始められるなんてスゴいです。これからコツコツ勉強していけばきっと良い結果を勝ち取れると思います!
応援しています(*^o^*)