宅建試験一発合格済みの宅建士杉山貴隆です。
この記事を読んでいるあなたは宅建試験を再度受験したが、また落ちてしまった人の一人でしょうか。そうだとすれば一つ断言できることがあります。
あなたはあなた自身の勉強法を根本的に見直す必要があります。そうしないと絶対に合格できません。
そう言われても納得できないことでしょう。それに具体的にどうすれば良いのかという疑問もあると思います。そこでこの記事では宅建試験に4回落ちた後、勉強方法を見直して5回目の受験で合格した人の話を共有します。
その体験談からあなたの試験対策においてどのような改善が必要なのか、一緒に考えていきましょう。
不屈の精神で合格を勝ち取った男の話
ここで取り上げるのは私が最近知ったある男性の受験体験談です。彼がどのように不合格のスパイラルに陥り、そこからどうやって這い上がり合格を勝ち取ったのかを見ていきます。
(ちなみに実はその男性は乗り越えるのも困難なハンディキャップを持っていたのですが、その話は記事の最後にまわすことにします。)
3年連続の不合格
その男性は宅建士の資格を取りたいと考えて2008年に最初の受験をしました。しかし結果は不合格でした。
さらに学習を続けて翌年2009年に再び受験しました。しかしあえなく2度目の不合格。3度目の正直!ということで翌2010年にも受験したのですが、またしても結果は不合格となりました。
3年続けて受験したにも関わらず全ての年で不合格。その散々な結果に心が折れてしまったのでしょう。男性はその後数年にわたり受験をすることなく過ごしました。
4回目の不合格
時は移り変わって、2014年。男性はスタディング宅建士講座(旧称:通勤講座)という試験対策講座に出会いました。提供されていた音声講座を繰り返し聞くことで実力を高めていきます。
これならいける!と確信し4度目の受験に挑みました。テレビドラマや映画なら、今度こそ合格していたはずです。しかし現実は非情なものでした。彼につきつけられた結果はまたしても不合格だったのです。
彼は奈落の底に突き落とされボロボロになってしまいました。ふたたび月日が流れます。
勉強方法を見直して挑んだ5回目
数年が経過し2017年。心の傷も癒えた頃だったのでしょうか。驚くべきことに彼は「もう一度受験しよう」と決意したのです。なんとしてもこの資格を取るという熱意が再び燃え出したのでした。
彼は2014年に受講して若干の手ごたえを感じていたスタディング宅建士講座を改めて受講することにしました。ただし同じ講座を使いつつもこれまで彼が実践してきたのとは全く異なるやり方で努力を積み重ねることにしました。
そうして迎えた2017年度宅地建物取引士試験。その結果は見事合格! 悲願の合格通知書をついに彼は手にすることができたのです。
合格につながった勉強法は?
普通の人なら4回も受験に失敗した時点で「自分には無理だ」「センスが無かった」などと言って諦めそうなものです。しかし男性は「自分はやれる」という不屈の精神を持ち、投げ出すことをしませんでした。
そればかりでなく男性は自分のそれまでの勉強法をキッパリと捨て改めました。このことが受験5回目の合格という結果に直結したようです。
実のところどんな学習方法に切り替えたのでしょうか? 彼の言葉を引用します。
2017年、スタディング宅建士講座を再受講しました。講座を一度聴き、テキストを二度読み、あとはスマート問題集とセレクト過去問集だけを繰り返し解きました。
余計なことはせずスマート問題集の○×と、セレクト過去問集の解説を何度も読みました。
その結果、今年は36点で合格することができました(5回目)。
合格できて嬉しいという気持ちもありますが、最初から過去問を繰り返して解くという継続練習ができなかったことが悔しいです。
今後の受講する皆様、講座内容を深めるためにも問題は反復継続し、セレクト過去問集を極めることができれば必ず合格します。 [出典]
合格した年に彼が熱心に取り組んだのは問題をとにかく繰り返し解くアウトプット学習でした。
アウトプット学習の重要性
上記の男性の体験からもわかるように、また私自身もこのブログで繰り返し訴えているように、宅建試験攻略にとって本当に何よりも何よりも重要なのはアウトプット学習です。
もちろん講師による講義を集中して聞いたりテキストを読み込んだりすることも最初のうちは大切だと思います。でもそれは文字通り最初だけ。
講義やテキストで宅建試験の全体像をおおよそつかめたら、その後は直ちにアウトプット学習に移らなくてはなりません。つまり「問題集を解く」「過去問を解く」といったアウトプットの訓練をしないとダメなんです。
アウトプット学習を勧めると「でも、まだ解けるレベルじゃないから…」といって尻込みする人がいますが、それは違います。正解できなくて良いんです。というかどれだけインプットしていようともアウトプットの段階になれば最初は正解できないのが普通です。
宅建試験の問題は解かなければ解けるようにはならないですし解けば解くほど解けるようになる性質のものなんです。
「そう言われても納得できない」と思うかもしれませんが、実際に宅建試験の勉強をして合格した私はそう確信しています。
断言しますがテキストを30回読んでも試験問題を解けるようには絶対ならないですよ。でも過去問12年分を30回解いたら試験に受かる可能性は極めて高くなります。
アウトプットが必要な理由
「それじゃあ、なぜアウトプット学習がそんなに効果あるの?理由を説明して」
という人がいるかもしれません。アウトプット学習が効果的である理由は簡単です。宅建試験は問題を解く試験だからです。
短距離走にたとえて考えてみる
たとえて言えば短距離走で勝つためには短距離を早く走る練習に最も重きを置くのが当然ですよね。
もちろん本や論文を読んで「短距離走の上達法」を知ることも大切かもしれません。でもそれは最初の数時間で済ませれば良いこと。残りの時間は走る練習に費やすべきです。誰にでも分かる簡単な理屈だと思います。
そしてそれは宅建試験も同じことなんです。問題を解く試験で勝つためには問題を解く練習に最も多くの時間を割かねばならない。アウトプットの重要性とはそういうことです。
九九にたとえて考えてみる
もうひとつ別のたとえを出してみます。あなたは「かけ算」できますよね? 8×3と言われれば答えは24だってすぐに分かると思います。
ところで、なぜあなたはかけ算の問題が解けるのでしょうか?算数の教科書を一生懸命読んだからでしょうか? もちろん違いますよね。
あなたがかけ算の問題を解けるのは小学生の時に九九の暗唱を何度も何度も繰り返したからであるはずです。
宅建試験だってそれと同じ。8×3と言われたら24と条件反射で答えが出てくるのと同じくらいに過去問10年分くらいの全ての選択肢についてそれぞれの○×と理由がパッと言えるくらいになる必要があるんです。
そのために問題を繰り返し繰り返し解いてアウトプットして宅建の試験問題を解く動作を頭と体に浸みこませなければならないんです。
「宅建と九九は違う」のか?
「いや、宅建試験と九九は違うでしょ。宅建試験では色々な選択肢や論点が組み合わさって1つの問になるんだから、九九みたいに条件反射で答えられるほど簡単ではないと思う」
そういう反論の声もありそうです。でもこう考えてみてください。より複雑なかけ算、たとえば347×792みたいなかけ算だって、それを解けるためには結局「九九ができる」ことが必要ですよね。
九九を条件反射的に正確に・スピーディに暗唱できるようになってはじめて桁の多いかけ算を解けるようになるわけです。宅建試験の難しい問題もそれと同じこと。
設問の選択肢ごとの正誤と理由づけを、条件反射レベルで脳から瞬時に引き出せるようになっておくことは、一問でも多く正解するための必須事項です。それができるようになるためにはアウトプットの訓練が欠かせません。
* * *
…とはいえここまで言っても多くの人は面倒くさがってアウトプットの訓練なんてしないんですけどね。アウトプット学習重視の学習スタイルは多くの人にとってやり始めるハードルが高いようで、どんなに勧めても実際にやる人はごくわずかです。
しかし、だからこそ逆にチャンスであるという見方になります。つまりアウトプット学習で修行を積めば、それをしなかった大多数の人々をササッと追い抜いて合格レベルに到達できることでしょう。
実はこれこそが宅建試験の知られざる最も実用的な攻略法だと私は考えています。
再受験対策に適した学習法
ここまでの話で宅建試験の合格のためにはアウトプット学習に時間を割くことが最も重要なのだとおわかりいただけたと思います。
ここから先はアウトプット学習を取り入れつつどのように試験対策を実践していけばよいのかをもう少し具体的に私の考えをお伝えします。
独学は捨てる
まず捨てて欲しいのは独学で合格できるという発想です。
宅建試験で1度ならず2度・3度と落ちる人の中には、理由も無く独学にこだわっている人がいます。あなたがそういうこだわりを持っていたら、今すぐやめてください。
たしかに宅建試験は独学でも合格できる試験です。あなたもそう聞いたことがあるからこそ独学を続けてきたのかもしれません。
でも「独学で合格できる」という説には「ただし勉強のセンスがある人に限る」という但し書きがつきます。「勉強のセンスがある人」というのは学校のクラスに1人か2人、やたら頭の良い人がいますよね。そういう人のことを指しています。
あなたはあなた自身を自己評価してみて勉強のセンスがあると思うでしょうか。もしそうは思えないということであれば、独学で試験に挑むのは登山の装備無しで富士山に登るようなもの。遅かれ早かれ遭難してしまうことが目に見えています。
ではどうするべきなのか? 山の頂上へあなたをガイドする通信講座というツールに目を向けてください。
通信講座は年月をかけて合格ノウハウを蓄積し、独自の知見に基づいた受験指導を行い、毎年数多くの受講生を合格へと導いています。そんな実績ある講座を、その気になれば数万円の料金で受講できるのです。
再受験者におすすめの通信講座(1)
いくつもある通信講座の中で再受験をする人に適しているものはどれなのでしょうか?
第一に勧めたいのは先の体験談の男性が利用していたスタディング宅建士講座です。彼が体験談の中で語っているように、余計なことをせず講座内の問題集を解くことをひたむきに続ければ、あなたも彼が経験した合格へのルートを同じようにたどれるはず。
スタディング宅建士講座の講義時間は30時間程度におさえられています。インプットの時間は必要最小限で済むでしょう。
その後のアウトプット学習用教材としてスタディング宅建士講座には「スマート問題集」や「セレクト過去問集」が用意されています。問題演習の際に使用するシステムはとても良く設計されており、繰り返しアウトプット学習を行うのに適しています。
私が受講した際のレビュー記事で詳しく紹介しています。ぜひ一度読んでみてください。
ところで、スタディング宅建士講座には再受験した人の合格実績が他にもあるのでしょうか。1回以上受験に失敗し、その後スタディングの受講で合格した人の口コミを合格者の声で確認できます。
今年2回目の挑戦、合格点ギリギリで受かりました。昨年は某予備校のDVD講座を受講したもののただ聞き流すだけになってしまい、今考えると必要最低限の知識さえ身についていなかったように思います。
その反省を踏まえ、このスタディングでは講座を聞いたらすぐ問題に取り組み、知識の整理や定着を図ることができました。[出典]
今回3回目にして合格出来ました。過去2回は、独学で解説書や過去問題集で勉強してました。試験になると全然理解できていない事がよくわかりました。
中々まとまった時間が取れない中で、空いた時間に出来るこの講座が良いと思い利用させて頂きました。
[出典]
再受験者におすすめの通信講座(2)
もう1つおすすめしたい講座は、大手資格対策講座のフォーサイトが提供しているフォーサイト宅建士講座(バリューセット2または3)です。
この講座ではいっそうインプット講義の時間が絞られており、およそ12時間程となっています。その後は過去問題集等を使ってアウトプット学習をするのですが、とてもありがたいことに過去問題集に関する解説講義が用意されています。
一般的にテキストに対する解説講義はありますが、過去問題集に対する解説講義はありません。しかし学習者側からすれば試験問題をどのように読み解き、どのように考えて答えを出せば良いのかは分からないわけです。
その点フォーサイトは過去問題集用の講義が約6時間分あるため、講師の指導のもとで解答力を養うことができます。
再受験者の合格実績も気になるところですが、過去3回受験に失敗した複数の受講生からフォーサイトを使って合格したという声が寄せられています。
フォーサイト宅建士講座は例年高い合格率を維持しており、利用を検討する価値は十分すぎるくらいです。
私自身もフォーサイト宅建士講座を購入・使用してレビュー記事を書きました。興味のある方はぜひ読んでみてください。
通学はダメなの?
ここで「通学講座はダメなの?」と思った方もいるのではないでしょうか。LECやTACなど資格試験対策を重点的に行っている予備校もありますよね。
私の答えとしては通学講座も良いと思います。このブログで通学講座を勧めていないのは単に私が利用したことが無く、あまり多くのことを知らないからに過ぎません。
強いて言うなら通学講座は通信講座の何倍もお金がかかる上、都市部の人にしか利用できないというデメリットがあります。なので私は多くの人に利用しやすい通信講座の方をお勧めしています。
お金の問題が無く、都市部在住で、通学のほうがより自分に合っていそうだと思える方は通学講座を選択してください。その際はアウトプットを重視した講座になっているかどうか調べることを忘れずに。
この記事のまとめ
今回は再受験で落ちてしまった人に向けて「宅建試験の勉強法」についてお話ししてきました。この記事のポイントをまとめます。
- 宅建試験に繰り返し落ちた人であってもアウトプット重視の勉強法に切り替えることで合格できる
- アウトプットを重視しなければならない理由は宅建試験が「問題を解く試験」だからである
- 再受験対策に適した通信講座として、体験談の男性が利用していたスタディング宅建士講座や、過去問の解き方を解説する講義を備えたフォーサイト宅建士講座がある
最後に5回目の受験で合格した先の男性のハンディキャップについて触れておきたいと思います。私は彼が乗り越えるのも困難なハンディキャップを持っていたと言いました。それは何だったのか。
実は男性は視覚障害者なのです。しかも全盲。つまり全く目が見えません。
目が見えなくても宅建試験を受験することは一応できます。日本の国家試験は何かしら体に不自由のある人が受験を希望する場合、予め申し出ることで相応の措置がとられるケースが多いです。男性もそうやって受験したのでしょう。
そうは言っても目の見えないことが試験対策において非常に高いハードルになることは間違いありません。そもそも視覚障害を持った人用の宅建の教材なんて無いわけです。
彼はスタディングの音声講座を聴くことで受講しました。WEBテキストや問題集はブラウザの読み上げ機能などを活用したのだと思います。それらは目の見える人用の教材ですので、彼にとって使いにくい点も多々あったはず。
男性の学習環境は超絶ハードモードだったに違いありませんが、それでも彼は困難を乗り越えて輝かしい「合格」の2文字を勝ち取りました。何度落ちても諦めない心と学習法を見直すという思い切りの良さを見習いたいと心の底から思います。
「…自分も次こそは合格したい。だからアウトプット学習を頑張ろう」
あなたもそう思えたのではないでしょうか。ぜひその気持ちを忘れずにもう一度試験勉強に取り組んでいきましょう。
あなたが不合格という結果に屈することなく淡々と過去の失敗を克服すれば、未来の成功をきっとつかむことができる。私はそう信じています。
以上、参考になれば嬉しいです。