宅建試験に一発合格した宅建士杉山貴隆です。
宅建試験は何点満点の試験かご存じでしょうか。答えは50点満点です。では宅建試験の合格点(合格基準点)は何点でしょうか?
実は合格点は毎年変わります。今年の合格点が去年より高かったり低かったりするんです。「毎年変わるなら何点とれば良いのかわからない」と思うかもしれませんが、過去の合格点を見ていくと「おおよそこのくらい」という点数の目安がわかります。
そこで今回は宅建試験の合格点とこれまでの推移、そして予想合格点について見ていきましょう。
宅建試験の合格点とは
そもそも宅建試験の合格点とは試験合格・不合格の基準となる点数のことです。合格基準点あるいは合格ラインとも呼ばれます。
たとえばある年の合格点が50点満点中35点であれば、35点以上の受験者は合格し、35点未満の受験者は不合格となります。でも翌年は35点が基準点になるとは限らない…というわけです。
例年、宅建試験が終わった後は今年の合格点は何点になるのかという話題が大きな関心を集めます。以下、合格点に関する各種の疑問に答えます。
2022年までの合格点の推移は?
宅建試験が現在と同じ全50問・50点満点になった1981年(昭和56年)以降、2022年度までの合格点の推移は以下の通りです。
実施年度 | 合格点 |
---|---|
1981年(昭和56年) | 35 |
1982年(昭和57年) | 35 |
1983年(昭和58年) | 30 |
1984年(昭和59年) | 31 |
1985年(昭和60年) | 32 |
1986年(昭和61年) | 33 |
1987年(昭和62年) | 35 |
1988年(昭和63年) | 35 |
1989年(平成元年) | 33 |
1990年(平成2年) | 26 |
1991年(平成3年) | 34 |
1992年(平成4年) | 32 |
1993年(平成5年) | 33 |
1994年(平成6年) | 33 |
1995年(平成7年) | 28 |
1996年(平成8年) | 32 |
1997年(平成9年) | 34 |
1998年(平成10年) | 30 |
1999年(平成11年) | 30 |
2000年(平成12年) | 30 |
2001年(平成13年) | 34 |
2002年(平成14年) | 36 |
2003年(平成15年) | 35 |
2004年(平成16年) | 32 |
2005年(平成17年) | 33 |
2006年 (平成18年) | 34 |
2007年(平成19年) | 35 |
2008年(平成20年) | 33 |
2009年(平成21年) | 33 |
2010年(平成22年) | 36 |
2011年(平成23年) | 36 |
2012年(平成24年) | 33 |
2013年(平成25年) | 33 |
2014年(平成26年) | 32 |
2015年(平成27年) | 31 |
2016年(平成28年) | 35 |
2017年(平成29年) | 35 |
2018年(平成30年) | 37 |
2019年(令和元年) | 35 |
2020年(令和2年)10月試験 | 38 |
2020年(令和2年)12月試験 | 36 |
2021年(令和3年)10月試験 | 34 |
2021年(令和3年)12月試験 | 34 |
2022年(令和4年) | 36 |
上のグラフと表から次のことがわかります。
- 直近約40年間では宅建試験の合格点は30点から36点の幅にほぼ収まっている(30点を下回ったのは2回だけ。36点を上回ったのも2回だけ)
- 2019年まで明確な上昇傾向・下降傾向はみられず、「30点から36点の幅」を行ったり来たりしていた
- 2020年10月試験で過去最高の38点が記録されたことから、やや上昇傾向と判断できる
- 出現頻度で見ると、最も多く現れた合格点は33点(9回出現)および35点(9回出現)である
結局、満点のうち何割の正答率があればいいの?
結局合格するためには何点とればいいのかというと宅建試験に合格するには50点満点中7割(35点)の正答率があれば良いと言われることが多いです。
とはいえ合格点は毎年異なり、35点より高い年もあります。8割(40点)以上得点できれば合格はほぼ確実ですが、宅建試験で40点以上を成績を出すには相当な勉強が必要です。
科目ごとの合格点は?
宅建試験は「宅建業法」「民法(権利関係)」「法令上の制限」「税・その他」の4科目から出題されますが、科目別の合格点は特に設定されていません。
したがって、たとえば税・その他科目が0点であっても、他の3科目の合計で合格点以上の点数が取れていれば合格します。
2023年度の合格点はいつわかる?
正式な合格点は例年、合格発表日の午前9時半以降に試験実施団体RETIO(不動産適正取引推進機構)のホームページで確認できます。
合格発表日を含め、宅建試験のスケジュールについて知りたい場合は宅建試験のスケジュール解説記事を参照してください。
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なお合格点の正式発表よりも9時間ほど前の深夜0時頃、住宅系の新聞社の公式サイトまたはSNSで合格点の速報値が発表されることがあります。合格点の速報値を知りたい場合は下記リンク先をチェックしておきましょう。
- 住宅新報
- 住宅新報web「資格・実務」カテゴリ
Facebook
Twitter - 週刊住宅タイムズ
- 週刊住宅タイムズ公式サイト
Facebook
Twitter
ただし毎年必ず速報値が発表されるわけではないので、上記をチェックしていても空振りに終わる可能性もあります。
この「速報値」がどのような性質のものかは、あまり明らかになっていません。
おそらく試験実施団体から住宅系新聞社に対して合格点の事前通知があるのでしょう。そしてその情報解禁日が試験当日(0時)に設定されているのではないかと推測しています。
合格点の決め方は?
宅建試験の合格点は得点順で上位3万人程度が合格者となるように決められます。おおむね次のような決め方をイメージしていただければOKです。
- 宅建試験が終了し、約20万人の受験生の答案が回収・採点される
- 採点結果に基づき、受験生の受験番号を得点の高い順に並べ替える
- 合格点を40点と仮決めする。そうすると合格者が1万人くらいしか出ないので仮の合格点を少しずつ下げていく
- 最終的に合格者が3万人程度となるような点数を見極め、それを正式な合格点として決定する
5問免除者の合格点は?
登録講習を受講した5問免除対象者の合格点は一般受験者の合格点から5点引いた点数です。たとえば一般の受験者の合格点が35点であれば、そこから5点引いた30点が5問免除対象者の合格点となります。
5問免除(5点免除)について詳しく知りたい場合は5問免除制度解説記事を読んでみてください。
予想合格点とは
宅建試験の予想合格点とは資格スクールや通信講座が本試験後に発表する合格点の予想です。予想合格点は試験当日中か、遅くとも翌日頃には各講座から発表されます。
どうやって予想するのか
「えっ!合格点の予想なんてできるの!?」と驚いてしまうかもしれませんが「その年の試験問題」と「多数の受験生の解答情報」があれば統計学的に予想可能です。
その年の試験問題は本試験終了後に試験実施団体のサイト等で公開されます。受験生の解答情報(受験生がどの問をどの選択肢で解答したか)は各予備校が受講生等に呼び掛けて収集しています。
予想は当たるの? 的中率は?
予想を的中させるスクール・通信講座は毎年いくつもあります。特に受験生の解答情報を得やすい大手スクール(LEC・TACなど)が出した予想の的中率はそこそこ高いです。
といっても多くのスクール・通信講座が35±1点という具合に幅を持たせた予想をするので、その幅の中におさまるという意味での「的中」です。幅の無い予想を出す予想を出すスクール・通信講座も無くはないのですが、残念ながら外れることが多いように見えます。
2023年の予想合格点を知る方法
例年、資格スクールや通信講座が宅建試験の予想合格点を解答速報と合わせてウェブサイト等で配信しますので見逃さないようにしましょう。
主要な速報サイトを次の記事でまとめています。最新年度の予想合格点を知るためにぜひチェックしてください。
予想合格点について私が思うこと
個人的には、宅建試験を受験するなら予想合格点で出てくるような数字を軽く上回るくらいの点数を取れるように、十分な学習をした上で試験に臨むのが良いと思います。
というのも、試験が終了した時点であなたが予想合格点前後の点数しかとれそうにない場合、合格発表日まで毎日毎日各スクール・講座の予想合格点を見て「自分は合格できているのか?できていないのか?」と悶々と過ごすことになります。
そんなのイヤじゃないですか? それよりも自己採点を終えた瞬間に「この点数ならどう考えても合格している!」と確信したくはないでしょうか。合格を確信できれば合格発表日までとても明るく前向きな気持ちで過ごせます。
私自身は、試験当日の夜に自己採点をして50点満点中40点とれたことがわかったので、その後は精神的にかなり楽でした。私が取り組んだ勉強法は勉強法の解説記事で詳しくお伝えしています。ぜひ参考にしてみてください。
よくある質問
宅建試験の合格点と予想合格点に関するよくある質問に答えます。
そもそも宅建試験に合格するってすごいの?
「宅建試験の合格がすごいと言える理由」もあれば「宅建試験の合格はすごくないと言える理由」もあります。すごい?すごくない?解説記事で一般的な意見と私の意見とをお伝えしました。ぜひ目を通していただければと思います。
宅建試験の合格率は何%? 低い理由は?
宅建試験の合格率はざっと15%前後であり、政策的な理由によって低く抑えられています。
もう少しかみ砕いていうと、国が「きちんと勉強したトップクラスの知識を持つ人々だけを宅建士として認めよう」という方針をとっているため、毎年15%前後という低いところに合格率が設定されています。
より詳しくは宅建試験の合格率解説記事をチェックしてみてください。
合格発表日に自分の点数はわかる?
宅建試験を受験した人は自分の点数が何点だったのかをぜひとも知りたいですよね。しかし宅建試験の得点が合格発表日に受験者本人に通知されることはありません。電話等で問い合わせても教えてはもらえないでしょう。
どうしても必要な場合、個人情報開示請求をすることで得点のわかる書面を受け取れることもあるようです(有償)。詳しい手続きや料金については試験実施団体に問い合わせてみてください。
宅建が簡単すぎるって言う人もいるけど本当?
宅建試験が簡単すぎるというのは何十年も昔の話です。今ではそう簡単に合格できる試験ではなくなっています。
詳しくは「宅建は簡単すぎる」は噓!の記事で解説しました。参考にしてください。
宅建の試験日や申し込み手順を知りたい
宅建試験の試験日や申込手順の概要は宅建試験のスケジュール解説記事と宅建試験の申し込み方法解説記事で概要をお伝えしています。
この記事のまとめ
今回は宅建試験の合格点・予想合格点について解説しました。この記事の要点を復習しましょう。
- 宅建試験の合格点とは試験合格・不合格の基準となる点数のことである。合格基準点・合格ラインとも呼ばれる
- 直近約40年間では宅建試験の合格点は30点から36点の幅にほぼ収まっている(ただし近年やや上昇傾向)
- 宅建試験の予想合格点とは資格スクールや通信講座が発表する合格点の予想である
宅建試験は50点満点のうちの7割程度が合格点になることが多いですが、だからといって7割の得点を狙うのはあまり賢いとは言えません。安全圏の8割正解をぜひ目指しましょう。
以上参考になれば嬉しいです。
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次回は宅建試験の問題の特徴とおすすめの解き方を解説します。次の記事をタップすると移動できます。