宅建試験に独学で一発合格した宅建士杉山貴隆です。
「宅建試験に合格するのは簡単」と言う人がいます。「宅建士なんて誰でも取れる資格だ」と言っている人もいます。でもそれは本当なのでしょうか?
今回は宅建は簡単すぎるという主張に対する私の意見をお伝えします。客観的な指標をもとにお伝えするのはもちろん、私の経験から感じていることも語ります。
この記事の最後には宅建試験に合格すれば人生が変わるという希望をあなたに贈ります。ぜひ参考にしてみてください。
「宅建は簡単すぎる」は嘘
最初に結論をお伝えすると「宅建は簡単すぎる」という主張は嘘です。宅建試験の合格が簡単でないことは客観的なデータからも私自身の主観的体験からもはっきりしています。
以下で「宅建は簡単すぎる」が嘘だと言える根拠を見ていきましょう。
【根拠1】宅建試験の合格率
「宅建は簡単すぎる」が嘘だと言える根拠の1つめは宅建試験の合格率が例年たったの15%前後であることです。
言い換えるなら、もし100人が宅建試験を受験したとするとその中で合格できるのはたったの15人くらい。あとの85人は不合格となります。
もし宅建が簡単だというのなら100人中60人は受かってもよさそうなものです。もし宅建が簡単すぎるというのなら100人中80人は受かってもよさそうなものです。
しかし実際には合格する人は圧倒的少人数に限られます。したがって宅建試験が簡単だとは到底言えません。
ちなみにもう少し事実に近い数字もお伝えしておきます。宅建試験は毎年約20万人が受験します。そして合格するのが3万人程度。残りの17万人が不合格となります。
年に1回しか実施されない試験で10万人を超える人々が不合格者として脱落していくのです。思ったより過酷な現実ではないでしょうか。
宅建試験の合格率の推移をまとめた記事もご覧ください。宅建試験創設から60年間の合格率をグラフで示しています。
【根拠2】合格に必要な勉強時間
「宅建は簡単すぎる」が嘘だと言える根拠の2つめは宅建試験に合格するのにかかる時間です。
宅建試験の合格には300時間前後の学習が必要だと言われています。毎日2時間勉強したとしても150日かかる計算です。
つまり5か月にわたって毎日2時間の勉強を続けなければ合格できないとされているのです。
「簡単」とか「簡単すぎる」と言えるのはどんなに多くても100時間以内の勉強で済むような場合ではないでしょうか。宅建の場合はその3倍かかるのですから、やはり簡単だとは言えません。
しかも宅建試験の勉強をする人の多くはフルタイムで働いている社会人です。典型的な社会人は週5日間は会社に拘束され、1日あたり8~10時間勤務しています。
そんな人が半年間にわたって毎日2時間もの時間を勉強に充てるのは至難の業です。このことからも宅建が簡単であるという評価が妥当でないとわかります。
宅建の勉強時間についての記事もチェックしてみてください。一般的な目安について考察しつつ、私の推奨時間を述べています。
【根拠3】連続不合格も珍しくない
「宅建は簡単すぎる」が嘘だと言える根拠の3つめは宅建試験に数年間連続で不合格になる人が珍しくないことです。
宅建試験を受験する人の多くは不動産会社に勤めている人です。会社から取得を求められるため、合格するまで繰り返し受験する人がたくさんいます。
どのくらいの人が連続で不合格になるのかについて明確なデータはありません。しかしちょっとした計算である程度の感覚をつかむことはできるでしょう。
先ほどお伝えしたように宅建試験の合格率はおよそ15%。逆に言うと不合格率85%です。そうすると計算上、2回連続で不合格になる確率は85%×85%=約72%にもなります。
同様に3回連続不合格になる確率は85%×85%×85%=約61%。3回続けて落ちることも十分ありえそうですから宅建が簡単だとは全然言えません。
※数学的に厳密な計算ではないので、あくまで参考にとどめてください。
宅建試験に何度も落ちている人向けに宅建試験の勉強法の記事を書きました。この記事では4回連続不合格というつらい経験を乗り越え、5回目で見事合格を勝ち取ったある男性の話を紹介しています。ぜひご覧ください。
【根拠4】私の実体験
「宅建は簡単すぎる」が嘘だと言える根拠の4つめは知識ゼロの状態から学習し合格できた私の実体験です。
私の場合、毎朝早起きして仕事に行く前の1時間程度を宅建の勉強に充てました。残業が多い会社で働いていて夜は勉強できなかったからです。
しかし平日の勉強時間だけでは全く足りないと思い、休日は一日中引きこもって勉強していました。こうして平日と休日の合計で学習時間を確保していました。
テキストとにらめっこし、過去問を解いて解説を読み、不明点はネットで検索するという作業を半年ほど続けました。その間趣味も遊びもできず、精神的にはギリギリの状態でした。
宅建試験の本番が終わった直後にはもう2度と国家試験なんて受験しないと決意したくらいです。(実際には宅建の受験経験を活かして翌々年にマンション管理系国家資格「管理業務主任者試験」を受験し一発合格しています。)
私の経験から言えることは半年くらいは自分のやりたいことを我慢し、ひたすら宅建のことだけ考えるくらいでないと宅建試験には合格できないということです。
それくらいの覚悟は要ります。なので宅建試験は簡単ではありません。
簡単すぎると言われる理由
ここまで見てきたように宅建試験は簡単に合格できるものではありません。したがって宅建資格も簡単に取得できるものではありません。
それにも関わらずなぜ「宅建は簡単すぎる」と言う人が後を絶たないのでしょうか? それにはいくつかの理由があります。
昔は簡単だった
宅建が簡単すぎると言われる理由の1つめは昔は実際に簡単だったことです。
合格率の記事で改めてお伝えしますが、宅建試験がはじめて実施された1958年から最初の5年間の合格率は60%を超えていました。そして25年ほどをかけてじわじわと20%を下回る水準に下がってきたという経緯があります。
もっと言うと最初の15年くらいは法令集の持ち込みが認められていたりもしました。また問題数についても当初はたったの30問だったものが、段階を経て現在の50問にまで増えています。
要するに昔の宅建試験は本当に簡単だったのです。そのころのイメージをひきずっているため現在でも簡単だと言われることがあるわけです。
他の国家試験に比べれば難易度が低い
宅建試験が簡単すぎると言われる理由の2つめは他の国家試験に比べれば難易度が低いことです。
資格の難易度ランキングの記事でお伝えしたように、同じ法律系国家資格でも宅建より難しいものはいくつもあります。たとえば司法書士や不動産鑑定士といった資格になると勉強時間は3,000時間、合格率は3~5%なんていう水準になります。
宅建試験は勉強時間が300時間、合格率が15%前後ですから、たしかに司法書士・不動産鑑定士と比べればずっとやさしいです。
(とはいえ普通の人が仕事や家事の合間を縫って300時間も勉強して合格するのは大変で、その事実が変わらない以上宅建が簡単だということにはなりません。)
まぐれで受かった人もいる
宅建試験が簡単すぎると言われる理由の3つめはまぐれで受かった人もいることです。
宅建試験がマークシート方式の試験だということはあなたも知っていることでしょう。他の国家試験だと記述式問題が含まれていることもよくあるのですが、宅建試験は全問マークシートです。
マークシートということは適当にマークしていてもたまたま当たった問題が多ければ合格してしまうということ。ちょこっと勉強してなんとなく受験したら合格したという奇跡を時として許してしまうのが宅建試験なんです。
そうやって合格した人が「宅建試験なんて簡単だ!」と言いふらすことがあり、それを信じてしまう人もいます。しかし再現性の無い方法で偶然合格する人がいるからといって宅建試験が簡単であることにはなりません。
宅建は簡単じゃない。でも…
ここまでお伝えしてきたことから宅建試験が簡単に合格できるものではないということはお分かりいただけたと思います。でも私が本当に伝えたいのはそんなことじゃないんです。
私が心の底からあなたに伝えたいことは宅建試験は独学でも合格できるし、一発合格だって可能だし、合格すれば未来が変わる!ということです。
以下で説明していきます。
独学で合格できる
宅建試験はその気になれば独学でも合格できる試験です。私は実際に独学で合格しています。そのノウハウは独学勉強法の記事に詰め込みました。
もちろん誰でも独学で合格できるのかと問われれば完全に肯定することはできません。独学で合格しやすいのは主に自分一人で勉強することに慣れている人です。
自分一人で勉強することに慣れていない人の場合は標準的な学習時間よりもずっと多くの時間がかかってしまうでしょう。とはいえ時間的コストを受け入れられるなら独学合格は十分に現実味を帯びてきます。
いずれにしても独学合格は私にだってできたのですし、私以外にも独学で合格する人が毎年たくさんいます。あなたにだって不可能ではありません。
一発合格できる
宅建試験はその気になれば一発合格が可能な試験です。私は実際に一発で合格しています。そのノウハウも独学勉強法の記事に書いておきました。
どうすれば一発合格できるかを一言で言うと最初から50点満点中の40点台を狙って勉強すれば良いのです。毎年多くの受験生が「合格点(35点前後)」を取ることを目指すから落ちてしまいます。なのでその逆を行きます。
「あわよくば満点を取る!」くらいの意気込みで勉強しましょう。そうすれば試験当日に何があっても合格点プラス数点は取れます。
いずれにしても一発合格は私にだってできたのですし、私以外にも初回受験で合格する人が毎年たくさんいます。あなたにだって不可能ではありません。
合格後は未来が変わる
宅建試験に合格すれば未来が変わります。ここでは少しだけ私の個人的な話をさせてください。
私が宅建試験を受験したのは30歳目前の年齢でした。その頃生まれて初めて定職に就いたのですが、勤めた会社はよくあるブラック企業で、私は追い詰められて半年で退職しました。
再就職のため何社にも履歴書を送りましたが、書類選考で落とされるばかりで全然うまくいかず。貯金も底をつきかけており、それでいて奨学金の返済はしなければならない状況でした。
もうダメだ、人生詰んだ…と思いました。
しかし宅建試験に合格したことで全てが好転しました。試験に合格した旨を履歴書に書いて応募したところ、即座に不動産管理会社に正社員として就職することが決まったのです。
その不動産会社で数年勤めた後、IT業界に正社員として転職することもできました。その後は大手メーカー等にも正社員として転職できました。
どの企業へ面接に行っても宅建資格のことが話題になりました。宅建は私の印象アップに大いに貢献してくれたようです。
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といっても宅建資格そのものに圧倒的な価値があるというわけではないとも思っています。私にとって重要だったのは宅建合格という出来事が自分に信念を与えてくれたことです。
私は宅建のおかげで「行動すればその分だけ人生を変えられる」と確信できました。そのことが人生を大きく変える原動力になったと考えています。この辺りの話はアラサー職歴なしの私の末路という記事で詳述しています。
私は宅建試験の合格をきっかけに人生を変えられましたし、私以外にも少なからずそういう人はいるはずです。あなたの人生も宅建合格できっと変わります。
「できることなら自分も宅建に合格したい。でも時間的制約が本当に厳しいし独学も多分無理。どうすれば良いのかわからない…」
そう感じている人は通信講座の合格戦略に従うという手もあります。通信講座は受講生を合格させるために長年にわたってノウハウを蓄積しています。受講料を支払ってそれを利用させてもらうのです。
代表的な通信講座を私が自腹で購入・受講してレビューしています。ぜひ参考にしてください。
この記事のまとめ
今回は「宅建試験は簡単すぎる」という嘘について私の考えをお伝えしました。この記事の要点を復習しましょう。
- 合格率や必要な勉強時間といった指標から見ても宅建試験の合格は簡単ではない
- 宅建が簡単すぎると評価されることには過去の状況や他資格との比較といった事情がある
- 宅建試験は簡単とは言えないが、独学合格は可能であり、一発合格も可能であり、合格すれば人生が変わる
くどいようですが、宅建試験は簡単ではありません。でも誰にでも簡単にできることじゃないからこそ価値があるとも言えます。
もしあなたが宅建試験に合格したいなら今日から死に物狂いで取り組んでいきましょう。数か月から半年くらい頑張れば、人生を変えるきっかけをきっとつかめます。
以上、参考になれば嬉しいです。
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次回は宅建試験の合格率について詳細に解説します。下のブログカードをタップすると移動できます。